Music For Cats
読んでの通り、猫のための音楽の効果を実感したお話。
我が家は毎年、年明け早々一大イベントが待っている。
絶対女王、猫のまる陛下を年に一度のワクチン接種にお連れしなければならない。
ちょー大変。
何が大変かというと、まる陛下の性質とか生育歴とか雌の用心深さとかが相まって、とにかく行きの車の中から大変なのである。
キャリーバッグに入れるのはそれほど苦労はないのだけれど、車に積んで動き出した瞬間からとても不安そうな悲し気な声で鳴き続ける。
これはどこの猫様も同じかもしれない。
しかし彼女は、そのあまりに普段と違う環境の変化のため、不安のあまり大も小も、「ぐわぉ~ん」といった妙な声とともにお漏らしされてしまうのである。病院に着くまでのほんの10分ほどの間に。
気高い絶対女王《まる》陛下にとってはなんという屈辱、しかし毎年漏れなくお漏らしされる。
だからキャリーバッグの中敷きはペットシートでくるみ、トイレットペーパーやらバスタオルやらゴミ袋やら大荷物で、しかもオットと私の二人がかりでまるを病院に連れて行くのが常だ。ほんと大変。
しかし今年、私ははた!と気づいた。
そういえばスマホに「猫のための音楽」とやらが入っているではないか。
以前、これを聞かせると多くの猫がリラックスし、スピーカーにスリスリしたり流れる音楽と一緒に喉をゴロゴロ鳴らしたりするという映像をテレビで見て、購入してみたのだ。
iTunes Storeからデータで購入したその音楽を、買った当初まる女王にお聞かせしてみたが、女王陛下は不審げに横目でご覧になったきりプイとそっぽを向かれ、テレビで見たようなステキな結果には全くならなかった。
その後時々思い出してはまる陛下にお聞かせしても、全くの効果なし。
なんだよな~。
しかし、今はどうだ?!
病院に運ばれる途中、走る車に積まれたキャリーバッグの中で、例年のように不安げにわおわおと鳴くまる陛下。
そこへスマホの音量を最大にして、件の「Music For Cats」を流してみた。
するとどうであろう、まる陛下は鳴きやまれ、何となく落ち着いているではないか。
ちょっと覗くとキャリーバッグの中で香箱など組まれている。
「おおお!」
効果覿面とはこのこと。
淑女の中の淑女、まる女王にとって致命的なお漏らしも、今年はせずに済んだ。
猫のための音楽、おそるべし!
・・・・とまでいくかどうかはちょっと分からない。
その日は珍しく、病院に連れていく日の午前中に大も小もトイレをすませ、お腹がさっぱりしていたのかもしれない。
新しい猫を飼うに当たって、キャリーケースを大きめのものに変えていたのがよかったのかもしれない。
だがとにかく、その音楽をお聞かせ申し上げたところ、まる陛下がいつもより落ち着きを取り戻したように見えることは確かだ。
これはその紹介動画である。その動画のバックに流れているのが「Music For Cats」だ。
私が持っているのは5曲入り50分のもの。
↓スクショ
どの曲も、チェロなどのゆったりと落ち着いた旋律に加えて猫の喉を鳴らす音や爪を研ぐ音などが入っている。
人間が聞いても、なんだかまったりと心が落ち着く。
まる女王陛下の詳しいことは記事冒頭のリンクでお読みいただくとして、彼女はいったん思い込んだら梃子でも動かない。
例1 冬の夜は私の布団の中で眠っていたが、ある日私がうっかり強いメントール臭のするバームを足に塗って寝てから、絶対に私の布団には入ろうとしなくなった。(これは私にとって大変悲しい出来事だけれど、理由がわかっていて納得も反省もしている。)
例2 ずっとお気に入りだったキャットタワーの最上階のバスケット。
ふと気づくと全くそこに入らなくなっていた。理由は不明。
オットは背が高いのでまるをそこに乗っけてみるのだが、バスケットの縁に四つ足を踏ん張って絶対中に入ろうとなさらない。
あんなにお好きだった場所なのに、なぜ?
例3 これは推測なのだけれど。
まる陛下は室内のトイレがあまりお好きでない。できるだけ近寄りたくないと思っておられるようだ。
それは幼い頃一度膀胱炎にかかったことが原因ではなかろうか。
おしっこをするたびとても痛がった。家のトイレに入っておしっこをしようとするのだが、痛すぎて悲鳴を上げていた。
トイレをしたいのに痛くてできない辛さ。
まるはその痛さを「トイレのせいだ」と思っているのではないか。
膀胱炎の最中は、10秒に1回くらいトイレを試み、赤い血の混じったおしっこがぽちっとほんの1滴。まるは痛さに悲鳴を上げる。新聞で全部覆ったソファの上やバスタブの中、そして猫トイレの中でそんな様子だった。
見ているこちらも切なかった。
お薬(たいそう苦いらしい)を飲ませるのも大変だった。
幸いにも膀胱炎は2週間ほどで治り、以来まる陛下のお食事は下部尿路疾患対応のカリカリがメインだ。
今もまる陛下は家でトイレを済ませると、砂でなく近くの壁のあたりをざりざりし、(おかげで我が家のそのあたりの壁紙はビリビリで、ガードのためダンボールが張られている)、その後逃げるようにトイレから走り去る。
その後、すっきりのあまりか家中を弾丸のように駆け巡るのだけれど、それは猫には割とある行動のようだ。
その行動ではなく、トイレを済ませた後逃げるようにトイレから遠ざかるのは、そしてそれ以前にできるだけトイレに行かないようにしているのは、小さい頃トイレで痛い思いをしたという記憶のせいではないかと思っている。
上でまるを病院に連れて行くにあたって、「珍しくトイレを済ませていた」と書いた。実はまるは、おしっこを1日1回もしくは2日に1回しかしない猫だ。
ちょっとびっくりだけれど、本当のことだ。
病院の先生にお聞きしたけれど、元々猫は砂漠の生き物で、水分をあまりとらないしおしっこもそれほどしない生き物、全く出ないならともかく出ていれば問題ないとのこと。
事実8年以上まる陛下はそれで元気に過ごしておられる。
猫特有の習性かもしれないけれど、小さい頃の記憶に基づいたトイレへの思い込みもあるのではないだろうか。
最近はないけれど、陛下は少し前まではよく脱走されていた。
外に出てまる陛下が真っ先にすることは、庭と続きになった畑の土を思う存分掘り返してトイレをなさることだった。
やはり家のトイレが嫌なのだろうか・・・。小さい頃の記憶など関係なく、人工的なトイレより土でしたいのかもしれない。それを思うと室内飼いにしている申し訳なさとその是非に思い至ってしまうのだけれど、もうそこは腹をくくって割り切るしかない。
あれ?なんだかトイレの話になってしまったけれど、まる陛下は思い込みが強く、いったん嫌となったらず――――っとそのことを覚えておられる猫だという話だ。
とにかくそんな絶対女王まる陛下のワクチン接種が、猫のための音楽で今年は思いがけず楽だったという話だ。
ひょっとしたら去年既にその音楽は持っていたのかもしれない。いつから持っているのか思い出せないけれど、今年初めて思いついて、使ってみてよかったので、来年も、それから夏の《さん》の時にも使ってみよう。
そうそう、まるの使わなくなったキャットタワーの最上階のバスケット、今は《さん》がお気に入りで使ってくれている。
まるが入っていた時にちょっと動かしたことが気に入らず、まる陛下が絶対に使わなくなった猫用のベッドも、フレキシブルな《さん》がお気に入りで使ってくれている。
やれやれ。
お読みいただきありがとうございます。楽しんでいただけたなら嬉しいです😆サポート、本と猫に使えたらいいなぁ、と思っています。もしよければよろしくお願いします❗️