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アトリエの陽射し

こちとら役者なんて仕事を10年やってるもんで、1ヶ月の休みなんか容易いもんである。それくらいの期間なら好き好んで家に引き篭もることだってあるんだから。と高を括っていたが、スーパーとコンビニだけの外出はさすがにしんどくなってきた。果たしてこれがいつまで続くのかという疑問も自分を擦り減らす要因だろう。もっぱら食が唯一の楽しみを担い、僕は着実に太ってきている。鏡に写るだらしない上半身をしばらく見つめ、仕方無しにランニングに出掛けた。そして、すぐに気付く。ああ、また骨だ。骨が剥き出しだ。実際に剥き出してるわけじゃない。僕は不健康な引き篭り生活を送っていると、不意に肉がなくなり骨が剥き出されているような感覚に陥るのだ。踵の肉や皮が無くなって、コツコツと骨で走っている感じ。いつもより肉が付いているはずなのに、なんで骨になるんだよ。いつもちょびっとだけ死を感じる瞬間だ。
今回は、過去に少しだけ触れたアトリエ教室の話を書こうと思う。それはずっと忘れられないもので、そっと隠しておきたいもので、きっと恥ずかしいものだけど、まだ記憶がある内に書こうと思う。

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2018~2022年までtumblrに掲載されていたアーカイブ記事と未公開記事をまとめたエッセイ集。

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