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祝辞
『Mとの出会いは、僕らがまだ幼稚園の年中さんだった頃でしょうか。たしかマレーシアだったか、Mは帰国子女として外国からやってきました。遠くからやってきた新入りに、僕は興味津々だったのでしょう。異国での話を根掘り葉掘り聞いていると、Mは一枚の写真を見せてくれました。そこには両親に挟まれ、ライオンの赤ちゃん抱いているMの姿。ディズニーアニメのライオンキングが公開されたばかりの頃で、凄まじいライオン人気を博していたけど、赤ちゃんライオンに負けずとも劣らないほどMは可愛らしい少年だった。当時のMは、まだ背丈がちょっと小さくて、こんがり日焼けした肌にまん丸とした目が印象的な少年で、日本の生活に馴染むためだったのか僕達にいちいちくっ付いてきた。よく喋るし人懐っこい性格のMはすぐに溶け込んでいたように思う。僕達が先に入っていた幼稚園のサッカーチームにもMはやってきて、そのままそこで小学校を卒業するまで一緒にサッカーをした。お互い違う小学校に通うようになってからは、顔を合わせるのは週に三回の練習の日だけになった。変わらず仲は良かったけど、他のメンバー同様、チームメイトの一人という感じだった。あの一件が起こるまでは、確かそうだったと思う。
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