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ふれあいーん

小さくなる薬なるものを飲み、掌サイズになったバカ殿が女中さんの眠る布団の中に潜り込む。志村けんさんのコミカルな動きが可笑しくてゲラゲラ笑っている気持ち半分、「いいぞ!バカ殿!もっといけー!!」と若き白石少年は未知なる世界への知的好奇心を掻き立てられた。俺もいつかバカ殿みたいな冒険がしたい!それこそが僕が芸能界に入ったきっかけである。って言うのは嘘だけれど、嘘とも言い切れない。それほど僕の心に焼き付いているのだから。
兎にも角にも、僕は芸能界という未知なる樹海に足を踏み入れてしまった。この道を進めば樹海を抜けることが出来る。色んな大人に色んな言葉を授けられても、いつも無視して道を間違える。いや、本当は正しい道なんてなかったのかもしれない。俺はこんなところで何をやっているのだろう。誰のために。そんな行軍が一年ほど続いた頃、僕は新たな門をくぐる。

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1,317字

2018~2022年までtumblrに掲載されていたアーカイブ記事と未公開記事をまとめたエッセイ集。

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