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【通勤電車の詩】小さかったぼくの儚い願い

子供の頃は自家用車なんかなかったから移動はもっぱら電車だった。
親父に連れられて出掛けるのだが、小さかったぼくは電車から景色を眺めて楽しんでいた。

扉の近くに立って、両手の指をガラス窓の端に引っ掛けて、ぼくの目が辛うじて窓の下の方から出る。
扉の外から見たら、ぼくの頭だけが見えているような状態だ。

たまにやってくる電車があった。
なぜかその電車は窓の位置が高い。
その頃のぼくの身長では外が見えなかった。
その電車がホームに入ってくるとがっかりしたことを覚えている。

ある日のこと、ぼくの天敵と言えるあの電車がホームに入ってきた。
ぼくは親父に電車を一本遅らせてくれと嘆願したが、見事に却下された。


▼「通勤電車の詩」はこんなふうに生まれました▼


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