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【創作大賞2024ミステリー小説部門】ハイウェイ・ホーク

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創作大賞2024ミステリー小説部門参加作品「ハイウェイ・ホーク」 世の中には誰も手出しできない特別な空間がある。その空間を支配するものは、鷹のように鋭い嘴と爪を持っている。
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記事一覧

「ハイウェイ・ホーク」終了のご挨拶

「ハイウェイ・ホーク」をご愛読いただき、誠にありがとうございました。 ハイウェイ・ホーク…

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「ハイウェイ・ホーク」第三章 鷹の目(6/6)最終話【創作大賞2024ミステリー小説部…

 すでに一時間が過ぎた。待つことが苦手な品川だが、我慢に我慢を重ね、やっと待ち人が現れて…

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「ハイウェイ・ホーク」第三章 鷹の目(5/6)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 安井はバカにする木場田を無視して梯子を昇り出した。木場田もその後に続いた。二人は懐中電…

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「ハイウェイ・ホーク」第三章 鷹の目(4/6)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

「それでどないすんねん、やっさん」 「実は、今日、刑事がやって来ていろいろと聞かれました…

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「ハイウェイ・ホーク」第三章 鷹の目(3/6)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 谷川たちは東出から紹介された管理事務所の責任者から、南京錠の鍵のことについて情報を得る…

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「ハイウェイ・ホーク」第三章 鷹の目(2/6)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 二人はそのまま歩き続け、下り線側のサービスエリア内に入ろうとすると、横方向にスライドさ…

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「ハイウェイ・ホーク」第三章 鷹の目(1/6)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 現金が強奪された当日に、公団本社内に設置されていた緊急対策本部は大阪府警に移された。その日は報道機関に対するプレス発表も行われ、犯人を目の前にして取り逃がした大阪府警の面子は丸つぶれになった。  翌日の朝から捜査会議が行われた。無論、容疑者グループを取り逃がした水川と谷川への風当たりはきつかった。谷川が一昨日の報告を一通り終えると、堰を切ったように質問が浴びせられた。 「なぜ、覆面パトカーを先行させ、追跡を一台のみで行ったのか」 「容疑者グループがサービスエリアで接触してく

「ハイウェイ・ホーク」第二章 運命(7/7)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 数日後、安井のチーム四人は夜間規制の仕事を終えて、明け方の四時ごろに大阪支店に戻ってき…

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「ハイウェイ・ホーク」第二章 運命(6/7)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 葬儀が始まると、明日香のすすり泣く声が聞こえた。人間の涙とは尽きないものなのだろうか。…

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「ハイウェイ・ホーク」第二章 運命(5/7)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 安井はアパートに帰宅すると、いつも通り夜の十時ごろに就寝した。明け方の四時頃に安井の携…

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「ハイウェイ・ホーク」第二章 運命(4/7)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

「なんや嫌な目で見て行きよったなぁ。あいつら、おれらがどんな危険な仕事してるかなんて知り…

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「ハイウェイ・ホーク」第二章 運命(3/7)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

「品川ぁー、何やってんだあ!」  トラックの窓を開けて安井の檄が飛ぶ。 「すんませーん」 …

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「ハイウェイ・ホーク」第二章 運命(2/7)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

「発煙筒のチェックが終わったら、すぐに出発するかぁ。今日は昼めしが食べられそうだな」 「…

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「ハイウェイ・ホーク」第二章 運命(1/7)【創作大賞2024ミステリー小説部門】

 運命の日。その日もいつもと同じように午前八時のラジオ体操から始まった。安井をはじめ社員たちは、硬い体を無理やりくねくねと折り曲げ眠気を覚ます。それから朝礼が始まる。いつもの指差し呼称のセリフが機械的に口から発せられる。安井はいつもラジオ体操までに朝食を済ませておく。社員の中には朝食を食べずに出社ぎりぎりまで寝ている者もいる。安井はいつものように会社の近くにあるコンビニでパンとカフェオレを買って食べた。この仕事は夜勤も多い。夜勤があった翌日は午後からの出社になる。その時は寝不