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【後天性吃音】吃音カウンセリングで考え方が変わった話

社会人になって数年後、8年ぶりに吃音が再発。
もがき苦しんだ時、初めてプロの力に頼りました。

私が頼ったのは『吃音専門のカウンセリング』
そこで学んだこと、効果について書き留めておきたいと思います( ‘-‘ )ง✧


私の吃音歴

要約するとこんな感じです。

・小学校高学年から連発が始まり、やがて難発へ
・中学校以降の学生時代は、吃音に意識は行くものの症状は収まる
・社会人2年目までは仕事で一切支障なく、3年目の転職後に難発が再発

吃音のきっかけが明確にある、後天性の吃音です。
そして、吃音以外のバックボーンは以下。

・長女。超亭主関白の父と、気分屋で強い母の元で育つ
・幼い頃から自分よりも周囲を気にかける性格
・学生時代は吃音もあり人間関係には基本消極的
・周りを最優先で生きてきた結果、本来の感情がわからなくなる

後天性吃音で、何らかのコンプレックスがあったり、自分の感情や意見を周りに言えない…これからお話しする内容は、そんな方へなにかの参考になるのではと思っています。

ちなみに、社会人3年目で吃音が再発したときの状況はこんな感じでした。

・電話の出だしで社名、名前を名乗れない
・自己紹介で名前が言えない
・吃音に意識を取られ、言いたいことが伝えられない
・難発により沈黙、相手を待たせることが怖い

うーん、地獄。
転職したばかりで覚えることも沢山あるのに吃音…もう仕事にならない!ということでカウンセリングを受け始めました。


教えてもらったのは『根本的な思考の変換』

ある吃音カウンセリングの門を叩き体験セッションを受けた際、始めに言われたのはこちら。

『吃音を治そうとしているうちは変わりません。
吃音を恐れてしまう根本的な原因を突き止め、認め、受け入れることで初めて緩和されます。』

…(´;ㅿ;`)ガクガク
お金をかけて直そうとここに来たのですが…となりました(笑)

吃音の知見を持つ様々な方の発信を見ると、皆さん同じようなことをおっしゃっていますよね。

生活の中で吃りに意識を向けているうちは吃り、
「こういうもんだ」と受け入れた時、緩和していく。と。

私の場合は、自己を否定し抑圧する精神面も吃音の原因の一つだったので、それを見抜いた先生があえて初回に言ってくれたんだと、今になれば理解できます。

そのため、1年の中のカウンセリングでやったことは思考と実践
吃音に対するアプローチよりも前に、根本的な私自身の思考の変換に時間をかけました。
その中の、ほんの一部と得た効果を参考までにお話しします。
(あくまで私個人の事例である点、ご了承ください)


長期的改善方法

・新しい考え方、認知を増やす

『自分の事も認められない、吃音も嫌だ』
そんな風に問題に対し主観的にしか見れていなかった私。
自分の友達が同じ状況だったらどう思うか?なんて声をかけるか?
主観と客観で同じ物事に対しての感じ方の違いを感じる、思考の多角化とその掘り下げをしました。

時には難発が出ている自分を録画して(めちゃくちゃ嫌だった)、思っていたよりも吃りに見えないことを発見したり、悩んでいる自分を俯瞰して見れるようになりました。

・苦手な状況と感情の考察

吃音が出やすい場面や過去にトラウマがある場面を挙げ、その時自分は何を感じどう行動してしまうか?何に対して恐怖を覚えるか(どうなることを予測しているか)?の掘り下げをします。
トラウマがある場面については、本当は自分はどうしたかったのか?何が言えなかったのか?どのように伝えればよいのか?を考えました。

吃音が出る場面については、自分の予期不安が吃音を誘発していること、
トラウマの場面では、解決策があるということが分かり、次同じ場面が来た時のお守り(対策)ができたような気持ちでした。

・周囲に打ち明ける

特に吃音が出る環境にいる人に打ち明けることです。
社会人3年目での再発は、主に職場でした。
電話に出るときに社名が言えない、名前も詰まる、それを狭いオフィスの中で耐える。(今考えても地獄…)
今まで、家族や親友など心を開いた人にしか打ち明けてこなかったので、かなり抵抗がありました。

なので、吃音が少し落ち着いてきたタイミングでの打ち明けになってしまったのですが、その後職場での症状は大幅に減ったのを覚えています。
『隠そう(吃らないようにしよう)』と思うから吃りやすくなり、
『吃音を知られている』という諦め(受容)がうまれて吃りが減っていった
んですね。


一時的テクニック

「吃音が出そう…どうしても抑えたい!」というときに使っていた、一時的なテクニックです。
ちなみに使いすぎると効かなくなるし、結局逃げるようになるので少しだけ記載します。

・最初の一文字目をあえて引きのばす
電話で吃音が怖くて、喉がキュッとなり難発になってしまうときに有効でした。

・電話の時鏡に映る自分の目と目を合わせるようにする
吃音以外のものに集中するというもので、これも一時的には効果的でした。


カウンセリングを経て、現在

カウンセリングを受け職場での症状が大幅になくなったので、私は1年で終了しました。
カウンセリング後の変化は以下の通り。

・電話の出だしで社名、名前を名乗れない
 →テンプレのように言える
・自己紹介で名前が言えない
 →9割方言える
・吃音に意識を取られ、言いたいことが伝えられない
 →伝えたいことに集中、多少吃音が出ても意識を持っていかれない
・難発により沈黙、相手を待たせることが怖い
 →難発より連発が増えた。多少待たせても言いたいことを言える

もちろん、全部が改善されたわけではなく、今でも「あ、吃りそう」という予期不安は出てくるし、難発で言うことを諦めたり言い換えたりもします。
自分の体調や精神面が弱っていると、吃音であることが悲しくなります。

でも、以前と違うのは『ちゃんと吃音を感じて認める』が基本スタンスであること。
そして吃音が増えた時、『悪化した』ではなく『そういう時』だと冷静にとらえることができるようになりました。

ちょっと挑戦できそうだなというときはあえて連発しに行き、それによる嘲笑もないので自信につながる。
電話で連発して焦る自分と、普通に話した内容を受け取る相手との温度差で、後から笑ってしまう余裕すらあります(笑)


吃音はそれだけでなく、根本的な価値観や考え方に大きく影響されて出てくるものだと思っています。
であれば、これからも長い付き合いになるに違いない。
吃音をひっくるめて自分を認めてあげて、時に悲しんで時に挑戦し、このnoteみたく吃音を活用してやる!位の気持ちで生きていこうと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました*


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