パンケーキを頭に乗っけてる女の子がいるんですね
ここで登場する女の子の名前は、グルメット小禄ちゃんです。
小禄ちゃんはフライパンでパンケーキを焼いています。
パンケーキの片面が焼き上がったのでえいっとひっくり返すわけですよ。
そしたら、落っこちてこなくて、行方不明になるのです。小禄ちゃんは、まあそのうち出てくるだろうってことで次のパンケーキを焼き始めます。
そのパンケーキはどこにいったのかというと、小禄ちゃんの頭の上にべちゃっと乗っかっています。普通気づくだろ。と思うんだけど、気づかないもんなんですね。
気を取り直して、2枚目のパンケーキを焼き始め、片面が焼き上がったタイミングで、さっきみたいに、えいっとひっくり返した時に、1枚目を焼いた時に頭に乗っていたパンケーキがずるっと落ちてフライパンに落ちたんです。
そうすると、フライパンにはパンケーキが2枚乗っかるという不思議な状況になるはずですがそうはならなかったんですね。なんでかっていうと、かわりに今なげたパンケーキが頭に乗っかったからです。
ここで状況を整理すると、
・1枚目のパンケーキは、頭の上に居座った後、フライパンに落ちる
・2枚目のパンケーキは、頭の上にある
という状況です。
そんなこんなで、何枚かパンケーキを焼くたびにこのローテーションが繰り返され、最終的に頭には1枚パンケーキが乗かった状態でお料理が終わるわけです。
そして小禄ちゃんはこう思います
「最初に投げたパンケーキどこいっちゃったんだろう?」
いや、違うんですね、最初に投げたパンケーキは、最初に焼き上がったパンケーキで、行方不明になったと思い込んでるパンケーキは、最後に投げたパンケーキなんですよ。
もしお友達が頭にパンケーキを乗っけていたらどう思いますか?
そんな質問をされても困るわ。
それが正しい答えです。なので、お友達は(ああ、なんか頭にパンケーキ乗っけてるなあ)と思うだけで特になにか言うわけでもなく普通に接するわけです。それが自然です。
なぜなら、小禄ちゃんがあまりにも自然にパンケーキを頭に乗せているからです。
さらに、なぜ小禄ちゃんがあまりにも自然にパンケーキを頭に乗せているかというと、頭にパンケーキが乗っかっていることに気づいていないからです。
頭にパンケーキが乗っかってる状態でメガネでもさせば普通気づくだろって思うんですけど、気づかないことだってあるんですよ。(ないと思うけど)
そんなこんなで、フライパンを片付けようという事になった時に、頭にあったパンケーキがずるっと落ちてフライパンに乗っかるわけです。
「ああよかった、行方不明になっていたパンケーキがやっとみつかった」
小禄ちゃんはそうやって安心するわけですが、よく考えてください。パンケーキの生地は、片面は焼けてなくてベタベタな状態です。そんなベッタベタが頭に乗っかっていたのだから、頭の上も当然ベッタベタなわけです。こんな話ちっともめでたくはないのです。
しかし、このお話には続きがあります。
この後小禄ちゃんは急な用事で呼ばれます
小禄ちゃんは急な用事で呼ばれます。
行くときは晴れていたので傘など持っていない小禄ちゃんは、途中えぐいほどの量の雨に見舞われます。
頭にべったり塗られていたパンケーキの生地はきれいさっぱり洗い流され、あとに残ったのはずぶぬれの小禄ちゃんだけです。
ここだけ見て判断してください
これは、ただずぶ濡れなだけの女の子(子?)です
この子が、さっきまで、半焼けのホットケーキを頭に乗せていて、ベッタベッタな頭だったのが大雨で流れ落ちて、何事もなかったかのようにただ濡れてるだけみたいに見える。だなんてことを誰が想像できるでしょうか?
小禄ちゃん本人もそんなことには気づいていません。(たぶん、雨に濡れてアンラッキーだった。とだけしか思っていないでしょう)
このように、自分を取り巻く環境がとても異常な状況に見舞われていたとしても、自分が全く気づかなければ気づかないまま何事もなかったかのように世界は動いているものなのです。
・・・みたいな話を書き留めたのが、ブレーズ・パスカルの「パンセ」なんじゃないかな。と思います。
終わりですがなにか?
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