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Youの仕事は何ですか? Part1: コミュニティマーケティング

このnoteの目的は、コミュニティに関して内省し、言語化することでした。ところが、いそがしいを理由に9月、10月と活動報告ばかりになっていました。このことを反省し、この数日考えている「Youの仕事は何ですか?」を書き留めてみようと思います。時間は1時間を目処に。なお、内容が深刻に受け止められるかもしれませんが、いたって深刻な状況でも、なにか大きな組織変更があって対応に追われているわけではありませんので、ご心配無用です。

コミュニティ担当のお仕事

外資系で働いているとそこそこあるのですが、組織変更や新しくマネージャの入れ替わりにともない、新任の上級マネージャー、またはとなりのマネージャーなどに自分の仕事を説明しなければならないケースがあります。もしくは、組織ごと移動して、移動先の組織のメンバーにプレゼンする、なんていうケースもあります。よく外資系はJD(Job Description=業務内容)が明確で、KPI(Key Performance Indicator=目標設定)がはっきりしている、と言われますが、逆の立場からすると、上述のような状況になった時にJDとKPIがはっきりしていないと、社内における自分の価値を説明できないんですよね。そこで直属のライン上のマネジメントへの説明で、もし「?」と思われるようだとポジションごと(つまり仕事そのものが)なくなる、なんていう泣くに泣けないケースもあります。(このような状況ではないので心配することはないのですが)ポジションが無くなることを「ポジション クローズ」と呼んでいて、そうなったら社内で他の空いているポジションを探して応募するか、他の会社にいくことになります。それまでの仕事の成果は関係ないです。(まぁ、日本においては労使関係はいろいろなケースがあるので断言はできませんが、自分はそう思っています)

よって、Youの仕事は何ですか?には明確に答えられるものを日頃から用意しておくことが肝要です。それが定期的なレポートのベースデータになります。KPIを提示するのであれば、その数値がどう推移しているかは「必須」であり、今日思いついてもすぐには使えないからです。月次のレポートなどにはKPIデータの推移は必須であり、そのデータを継続的に、効率的に収集するための仕組みも考えておかなくてはいけません。

話がかなり飛びましたが、そんなわけもあってこのnoteを使いながら、自分の仕事を内省し、外部の人が見るということを前提に言語化し公開して、フィードバックや反応などをいただきながら、更に内省をして、、、を繰り返しています。そんな中でコミュニティ担当者のお仕事はまずは大きく2つにわけることができると感じています。1つめは「コミュニティマーケティング」、2つめは「コミュニティエンゲージメント」です。2つめのコミュニティエンゲージメントは「コミュニティマネジメント」とも言えますが、誤解を産まないように補足するとベンダーによる「コミュニティの管理」はできないんです。上下関係や、主従、労使の関係じゃないので、「こうして」という命令はできませんし、従う理由もないんです。よって、マネジメントではなくエンゲージメントのほうがしっくりくると思っています。

コミュニティマーケティング

・アウトプットカルチャーの醸成

Youの仕事は何ですか?の問いに答えるための「コミュニティマーケティング」ですが、AWSJのユーザーコミュニティであるJAWS-UGの凄さはコミュニティ活動にマーケティングの要素を取り込んでいるところだと感じています。JAWS-UGがマーケティングたるべきその理由は、このnoteの記事にも何度も出てきている「アウトプットの文化」であり、ユーザーみずから積極的にコミュニティ活動の内容をソーシャルやブログなどのツールを使って一般公開することで、結果的にAWSの知見・体験をアウトプットすることになり、それはベンダー(AWS)にもメリットがあるのはもちろんのこと、アウトプットしているご本人(Builder, Developer, Engineer またはAWSが好きな人全部)にも好影響があることをJAWS-UGが「組織として学んでいる」ことが大きいと感じています。羨ましいと思われるでしょうが、ベンダー側である私が「みなさん、アウトプットしてください」と言わずとも、JAWS-UG各支部の運営の皆さんが自分たちのために「アウトプットしましょう」と言ってくれるのです。

すでに文化としてコミュニティ内に根付いていれば、こんなに頼もしいことはありませんが、もし「アウトプット?なんで?」となっているようであれば、双方へのメリットを地道に伝えて、理解してもらって、それを普通に取り入れてくれるような人を育てるか、すでにそのメリットを理解している人を見つけることをしなければなりません。これはコミュニティ担当の最初で最大の仕事でしょう。私の場合はJAWS-UGの大先輩たちとAWSのOB/OGの皆さんの努力によってすでに根付いていたので、時々「リマインダー」のように唱えるだけで、本当にありがたいことだと感じています。大切なのは、この素晴らしい文化を維持するために、時々「唱える」必要があることです。以下のマンガのAWS開発日誌Season3で、ななこがJAWS-UGに参加して、最後にJAWS DAYSでセッション登壇するまでのストーリーは一貫して「アウトプット」の重要性を訴求しています。その時々にあった手法で訴求するのもマーケターの醍醐味ですよね。

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・社内マーケティング

決して十分にできているわけではありませんが、AWS社内におけるJAWS-UGの認知度を上げる活動(=社内マーケティング)も重要です。コミュニティマーケティングよりも結果的にはコミュニティエンゲージメントの要素が強いのですが、社内でJAWS-UGの認知度を上げるためにwikiなどの情報集約ページを作成し、協力者を探し、社内コミュニティをつくって、JAWS-UGを支援する、という活動をしないとコミュニティ担当ひとりでは「まわりません」。(AWSJにおいてコミュニティ担当という役割で、評価対象の仕事としてコミュニティと関わっているのは私だけです。)

AWSの他のSAさんといった社員は、登壇はともかく、勉強会に顔をだす、イベントに参加するなどのユーザーコミュニティへの参加は完全な「ボランティア」です。以下のように JAWS DAYS のAWSブースで立っている「私以外の」AWS社員のほとんどは、自らの意志で参加を決めている「ボランティア」なんです。仕事として参加しろ、というような指示が上司からきて動いている人はほとんどいないんです。

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自分がAWSJにジョインして作ったのが「JAWS Ambassador」です。基本、JAWS-UGへの参加や支援は、良い意味で社員のボランティアベースでしたが、それゆえに実態がつかめていませんでした。そこで、手間にはなるのですが、JAWS-UGの勉強会やイベントに参加された記録をとるようにして、その結果の多い方から JAWS Ambassadorとしてささやかな表彰をさせてもらう制度です。Phone Toolと呼ばれるアイコンも作成し、JAWS Ambassadorになると社内のプロファイルにそのアイコンが追加されます。年に1度、その時に選出されたAmbassadorにはノベルティを進呈しています。毎年着用できるものとして、JAWS-UGのイベントで着ていけるようにしています。このように社員の参加、支援の状況をなんとか把握し、そのような社員も表彰する制度にして、社内でJAWS-UGを愛する「コミュニティ」を作っています。

・社外マーケティング

アウトプットカルチャーがコミュニティマーケテイングを支える肝なのですが、ステージが変わるとその手法でささる層も変わってくるんだろうな、というのがこの2年くらいの学びです。そもそもはコミュニティマーケティングにより市場での認知度を高める、エンスー(enthusiasm)で熱心な人達がいることを知らしめるわけですが、Outputした情報を拾う人もまたアンテナを張っている人であり、アーリーアダプターや、マジョリティ層であっても比較的アーリーアダプター側に近い人たちだと言えます。

10年前になんで本屋のアマゾンがレンタルサーバーやってるの?と言われたころ、ユーザーコミュニティであるJAWS-UGから発信されたリアルなユーザーの体験談や評価は、当時何者かよくわからなかったAWSに信頼をいただける力強い支援でした。大手企業、金融業界、政府といった巨大な組織がAWSを使うようになった今、ユーザーコミュニティとは縁遠かった人たちがAWSを、そしてクラウドを使うようになりつつあります。

Getting more customers to recognize this amazing customers

今度はAWSがユーザーコミュニティにいる素晴らしい人たちをさらに多くの人たちに知ってもらうように動く時期になったのだと感じています。

今年に入ってから、毎月AWSジャパンが発行しているニュースレターにはJAWS-UGの支部紹介コーナーを常設し、ニュースレターのトップが紹介支部のキャラクターロゴになることもあります。また、FBとTwitterのAWSJ公式アカウントが7月より毎週その週にやる支部の勉強会の紹介投稿をしています。

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と、かなり長くなったので2つめの「コミュニティエンゲージメント」については別の投稿にしたいと思います。

3737文字 120分(1時間じゃたりなかった、見積もり甘い)


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