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第5回  神々の誕生神話

  混沌とした世界から天と地が初めて別れたとき、3柱(神様は1柱2柱と数えます)の神様が現れます。次に2柱の神様、その次に2柱、その後5組の10神の神様が現れます。
  名前はそれぞれ、長たらしい名前がありますが、最後の2神を除いて、あまり重要でないので書きません。この10神の最後に現れる2柱の神様が日本神話で最も重要な神様で、伊邪那岐(イザナギ)伊邪那美(イザナミ)の2神です。この2柱の神様は、兄妹でありながら、夫婦でもあります。

みとのまぐわい

 みとのまぐわいとは、交接のこと、交接とは性交のことです。古事記は結構エロチックな部分が多々あります。(笑)

 天上界の天津神一同はイザナギイザナミに油や海月(くらげ)のように、漂っている国土を固めよと命じます。イザナギイザナミは天の沼矛(あまのぬぼこ)で、漂っている国土をかき回します。すると沼矛の先端から塩のしずくが、積もって島ができました。この島を淤能碁呂島(オノゴロシマ)と言います。早速2神は、島に降り立ち御柱を立てます。

 イザナギイザナミに尋ねます。「おまえの体はどう言う風にできたか」イザナミは「私の体は出来上がってはいますが、たりない部分があります」と答えます。すると「俺の体には余っている部分がある」「この俺の余った部分でおまえのたりない部分を塞ごうと思う」とイザナギは言います。それは「楽しそう」とイザナミは答えます。

 こうしして2神は御柱の周りを廻って出会います。イザナミは右回りイザナギは左回りに回ります。するとイザナミイザナギを見て、「なんて美しい男でしょう」と言います。イザナミも「なんと美しい女だ」と返します。2神はまぐわいます。そうして最初の子供を生み出します。しかし、生まれた子は骨のない水蛭子(ヒルコ)でした。ヒルコは葦の船に入れて海に流されてしまいます。

 イザナギイザナミはどうしたものかと、天津神に相談します。天津神は女が先に声を掛けたのが良くなかった、やり直せと命じます。そこで今度はイザナギが先に「なんと美しい女だ」と声を掛けます。次にイザナミは「なんて美しい男でしょう」と言い、まぐわいます。

 そうして、2神は淡路島をはじめに八つの島をその後、六つ島を生み出します。国を生み終わると次々と神様を生み出します。その神々も神を生み出します。こうして沢山の神様が誕生します。最後にイザナギは火の神、火之迦具土(ヒノカグツチ)を生みますが、女陰を火傷して死んでしまいます。
 イザナミは嘆き悲しみます。そして怒りに任せて、息子であるヒノカグツチを斬り殺してしまいます。


 僕は、水蛭子(ヒルコ)の話がなぜ挿入されているのか、気になります。このエピソードは不要じゃ無いかと思ってしまいます、何か意味があるのでしょうか。
 沢山の島を生み出すイザナキの女陰が、火傷位で死んでしまうのも変な気がします。最もこの話は「古事記」には有りますが「日本書紀」には書かれていません。



黄泉の国(よみのくに)

 死んでしまったイザナギは、黄泉の国に旅立ちます。黄泉の国は死者の世界です。イザナギは嘆き悲しみます。イザナミが恋しく、黄泉の国に妻を訪ねます。「まだ国つくりが終わっていない」「一緒に帰って、国を作ろう」と誘います。

イザナギは黄泉の国の神に相談します」と言い、その間はけして、私を見ないでくださいと答えて奥にさがります。イザナギは入口で待ちますが、長く待たされます。待ちきれなくなって、イザナギは意を決して、内に入っていきました。すると美しかったイザナキミの体にはウジがはい、8柱の雷神が湧き出していました。その姿にイザナミは恐ろしくなって、逃げ出します。するとイザナミは恥ずかしい姿を見られて怒ります。配下の黄泉醜女(ヨモツシコメ)にイザナギを追わせます。イザナギは必死に逃げます。
  イザナギは髪飾りの葛を投げ捨てます。すると葡萄の実がなります。ヨモツシコメがそれを食べている間に逃げます。さらい追いかけてくると櫛を投げます。するとそこから竹の子が生えてきました。

 ヨモツシコメが竹の子を食べている間にさらに逃げます。するとイザナミは8雷神に追わせます。イザナギは剣を振るって逃げます。黄泉の国の入口、黄泉比良坂にたどり着きました。そして入口になっていた、桃の実を追っ手に投げつけました。それで、ようやく追っ手は退散しました。すると最後にはイザナギ自身が追ってきました。イザナミは巨岩で黄泉の国の入口を塞ぎます。イザナミは「愛しい夫がそのようなことをするのなら、貴男の国の人間を1日1000人殺します」と言います。イザナギは「愛しい妻がそのようなことをするのなら、1日1500人を誕生させる」と答えました。そうして、イザナギイザナミは決別します。

 

黄泉比良坂

 黄泉比良坂と言われている場所は、島根県松江市東出雲町にあります。静かな木立の中に、黄泉の国の入口を塞いだとされる、大きな岩が有ります。地区の人々が大切に管理しており、神秘的な雰囲気を醸し出しています。
 霊験あらたかなバワースポットとして、全国から多くの人々が訪れています。

禊(みそぎ)

  黄泉の国から逃げ帰ったイザナミは筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小門(おど)の阿波岐原(あわきがはら)にむかい、黄泉の国で汚れた体を清めるため、みそぎを行います。

 すると脱ぎ捨てた衣服や装飾品から沢山の神々が誕生します。清めの水からも沢山の神が生まれます。最後に顔を洗うと右目から月読命(ツキヨミノミコト),左目から天照大御神(アマテラスオオミカミ)、鼻からは健速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)の3神が生まれます。

 イザナミツキヨミノミコトに夜の世界を治めるように、アマテラスオオミカミには高天原を治めるように命じます。そして、スサノオノミコトには海原を治めるように命じました。

こうして、アマテラスとスサノオノの日本神話界の2大スターが誕生しました。


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