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授業内創作台本① 「サラダ記念日」から連想されるイメージより

【俵万智 「サラダ記念日 」より引用】

〜課題〜
プリントに記載されている短歌
(俵万智 「サラダ記念日」より引用)
から連想されるイメージを作品にして発表する。

作成期間 2週間
上演時間制限 20分

私の班は戯曲を創作し、演劇作品として発表しました。
他の授業課題に追われながらの作成だったので
実際に稽古できたのは5.6回程度だったかと思います。

戯曲を書くのは昨年の授業課題の自画像(1人芝居)以来だったのですが、不安要素は投げ捨てといて好きなように書きました。

遅ればせながら
一緒に作品を作った班員の皆様
どうもありがとうございました!

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「楽しかったね」と答える人のいる孤独

脚本 スズキ ナナ




男       主人公。20代後半。
         女1と付き合っている。
         女2、女3と浮気をしている。

女1     男の彼女。20代後半。
         男とは付き合って半年となる。

女2     男と不倫している。30代後半。
         既婚者。画家。
         夫は海外に出張中。

女3     男の愛人。20代後半。
         本人は自分が愛人扱いされている事を
         知らない。

シーン1  海辺の恋人

舞台は外に開けたテラス。
頭上には青空が広がっている。
辺りには使い古された木製のベンチやテーブル
箱型の舞台装置などが転がっている。

無造作に置かれているように見えるそれらは
浜辺になったり、ある家の一室になったり、リビングになったりする。

舞台上には男・女1・女2が板付きで存在している。
女2は絵を描き続けている。


夜の九十九里浜。

海辺。

砂浜に腰掛ける男と女1。


女1 楽しかったね

男   楽しかったね

女1 また行こうね

男   また行けたらいいね

女1 次はどこ行く?

男   どこ行こうか

女1 んー、山登りとかどうかな?

男   いいんじゃないかな

女1   …やっぱりお家で映画にしよっか

男    そうだね

女1   お泊まりしてもいい?

男    俺は別にいいよ

女1   …

男 …

女1   ねぇ、

男 …

女1   私の事好き?

男   …愛してるよ

女1  好き?

男 …

女1 …そっか。

男 …

女1 いつからなの?

男 …

女1 いつから被ってた?

男 …

女1 黙ってないで何か言ってよ!

男   君が好きだった

女1  …

男   好きだった

女1 …

男   …

女1 花火

男 …

女1 花火、しよう。


波の音だけが響く

シーン2 思い出は抽象的に

女2が海の絵を描いている

(筆は手持ち花火)


女2 ねぇ、

男 …

女2 ねぇーってばー!

男 なにー

女2 ちょっときてー

男 んー


女の部屋に入る男

女2 みてみて

男 あ、この前の?

女2 そう。

男 こんな綺麗だったっけ

女2 いいじゃん絵なんだから。

    思い出くらい美化しておきたいの。

男 写真じゃダメなの?

女2 写真は事実しか残してくれないでしょ。

     私は、残したいと思った記憶だけ
     勝手に握りしめていたいの。

男  …じゃあ君の記憶の中で
      俺はこんなかっこよく泳げてる事に
       なってるんだね。

女2  ふふ(笑う) そう。
       あんな汚ったない泳ぎ方初めて見た。
       溺れるより酷かったよ?

       逆に誇張して残してやろうかと思ったけど。

男  汚いとはなんだよ。

    犬かきをばかにしちゃいけないよ。

女2 犬かきって


笑い合うふたり。


男   晴れてる時にまた行こう

女2 えー私はもういいかな。

男   じゃあ山登りは?

女2 えヤダヤダ虫いんじゃん

男   えー、じゃあ家で映画観よう

女2  あー…

男   そのまま泊まってきなよ。
      この前香水欲しいって言ってたじゃん。

      実は、こっそり買ってきたんだ。
      俺この匂いめっちゃ好きでさ、

女2  ねぇ。

男 …ん?

女2 もうやめよう?

男 …え?

女2 お互いさ、もう十分楽しんだでしょ

男 …

女2 もう潮時。

     そろそろ夫も日本に帰ってくるし。

     あたしももう戻らなきゃ。

男   …でも、まだ帰って来ないんでしょ。もう少しさ、

女2 あなたもいいひと見つかるといいね。

     さようなら。


     女2、また絵を描き続ける。

     取り残される男。

シーン3 待っていた愛人


     

     呼び鈴が鳴る。
     男の自宅。

     3、4回鳴った後男がドアを開ける。

     女3が立っている。


男   …おかえり。

女3 …ただいま。

男   …今日何してたの

女3  …病院行ってきた

男    え?なんで?

女3  …赤ちゃんできてた。

男  …え

女3  3週目だって。

      まだ見た目はわかんないけど、

      どんどんお腹も大きくなり始めますよって。

男    どうすんの、それ。

      まさか、産まないよね?

女3  …え?

男    あ、いやその、俺らそんなつもり全然なかったし、

     ほら、そういう準備とかさ、
     俺ら全然してないじゃん。

     だからまだ

女3  それってなに。

男  …。


   女3、男が隠していた女2に贈る香水を取り出す。

女3  6月くらいからだったよね。

男    君のだよ。

      中々渡すタイミング無くて。

女    私こういうの好きじゃないでしょ。

男    …そっか。


  女、男の手を取り自分のお腹に当てる。

シーン4 線香花火


      テレサ・テンの「愛人」が流れる。

      女1が線香花火を付ける。

      独りで線香花火の火を見つめる。

      女2が筆の線香花火を続けて燃やす。

      女達の姿が花火の火で照らされる。
      男の手に女3のお腹の温もりが
      じわじわと広がっていく。

      「愛人」と花火の音と波の音が重なっていく。

      男はどうすることも無く、
     ただただその光景を見つめている。

      その背中には孤独の影が
      花火の照り返しのように広がっている…。

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最高まで読んで頂き、誠にありがとうございました!
宜しければご感想・ご意見
いつでもお待ちしております。


スズキ ナナ

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