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不妊治療のはなし⑧~初めての胚盤胞移植と妊娠判定~

こんにちは、ながつまさゆみです。
前回の記事で採卵した卵子のうち、たった1つだけ胚盤胞まで成長した過程をお話ししました。
いよいよ今回はその胚盤胞を移植した際の経験談です。

前回のお話はこちら↓

迎えた移植当日

たった一つだけ移植可能な胚盤胞まで育ったものの、グレードも低いし、もう一度採卵した方が良いのか?と私は悩んでいました。

しかし、クリニックの先生からは1つでも移植できるまで育ったのだから、次のサイクルで移植にチャレンジすることを勧められます
その際あまり詳しい着床率などの話はなく、移植できる胚盤胞があるのだから当然移植するでしょ!という勢いで説明され、私はその勢いに押されて、「じゃあ移植します」と返事をしていました(笑)

2021年3月4日
私の移植日が決まりました。
血液検査の結果には全く問題なし。
自然周期だともう少し早い日程での移植が好ましかったのですが、薬で少しコントロールして仕事を休みやすい日に調整しました。

当日、移植を待つ間に改めて培養士の方から受精卵の成長状況について説明がありました。

グレード3CCの胚盤胞は、着床率が20%を下回ること
あくまでも着床率なので、そこから更に無事出産に至る確率は下がること
(一般的に初期流産の可能性は15%程度と言われています。)
成功確率は決して高いとは言えないため、クリニックによっては廃棄しているグレードであること
このクリニックでは先生の方針で、5人に1人は妊娠出来る可能性があるのであれば挑戦する価値があると考え、移植を実施していること

このような説明をされました。

この場に来ているので、今更やっぱり移植止めます、という選択肢はないものの、改めてこれを言われたときにはとても複雑な気持ちになりました。

5人に1人は妊娠出来る、とは言うものの、逆に言えば5人に4人は失敗するのに、ウン十万以上の費用をかけることが果たして正しいのか?
それでも挑戦してみましょう!というのはクリニック側のエゴで、患者の意思はあまり尊重されていないのではないか?

そんな気持ちになりました…。

もちろん先生は患者の妊娠を願って、最良の提案をしてくださっているということは分かっているのですが、
それにしても低い成功確率に対して支払う対価が高すぎやしないか…
この説明を聞いて、何だか急に移植に対するモチベーションが下がってしまいました。

もうどうせダメ元だ~と半分やけくそな気持ちでそのまま移植を実施。
採卵の際には鈍痛がありましたが、移植は全く痛みはなく、随分あっさりと終わりました。

クリニックでの妊娠判定は移植の11日後。
この11日間は、採卵後に受精卵の成長状況を聞くのを待っていた1週間と同じくらい長くてソワソワする1週間でした。

やってしまったフライング検査

体外受精、顕微授精などの不妊治療での妊娠でも、市販の妊娠検査薬は正しく反応をします。
よく何度もクリニックでの判定前にフライングで自己検査をしてしまった…という治療経験者の体験談を拝見していました。

早く検査しようがクリニックで正式に検査しようが結果は変わらないんだから、そんなに何回もやっても仕方ない、と少し冷めた見方をしていた私。
しかし、結局どうしても11日は待てず、家にちょうど妊娠検査薬も余っていたので移植から8日目にフライング検査をしてしまいました(笑)

妊娠検査薬は陰性でした。

まぁグレードが低いし、20%以下ということは今回は失敗する可能性の方が圧倒的に高いのだから予想していた通りの結果です。
とはいえやはり凹みました。
そして、それまでは自転車に乗るのを控えたり、腹圧をかけないようにしたり、日常生活の中で色々気を遣っていたのですが、
そういったこと全てがどうでもよくなり、
気晴らしにその翌日ゴルフの打ちっぱなしに行ったり、クリニックでの妊娠判定の数日後に飲み会の予定を入れたりしました。

※ゴルフは腰をひねる動きを伴うので、妊娠中は避けるべきスポーツです。

もうどうせダメだろうと思って聞いた妊娠判定

フライング検査により陰性であることを知った私は、とても投げやりな気持ちでクリニックでの妊娠判定を聞きに行きました。
次のサイクルでは高刺激で一気に採卵してほしいということをはっきり伝えなきゃ、とか
次の採卵が出来る日程はいつ頃になりそうか、仕事はどう調整をしようか、とかそんなことばかり考えていました。

採血し、検査結果が出るまで1時間弱待った末、診察室に呼ばれて伝えられたことは…

「おめでとうございます。無事ちゃんと着床して育ってますよ。」

…本当ですか?

私は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたと思います。
本当に信じられませんでした。。。

あれよあれよと今後の通院スケジュールについて伝えられ、妊娠継続するためのホルモン補充の飲み薬や貼り薬の説明がされ、
まるで夢の中のような、何だか地に足がついていないような感覚のまま、一通りの説明と支払いが終わり、クリニックを後にしました。

そして現実味がまだない中、夫と治療の経過を常に相談・報告していた友人に、判定結果を伝えたのでした…。

何故妊娠検査薬は陰性だったのか?

一体、この間のフライング検査は何だったのか?
それは私が妊娠検査薬の結果の見方を正しく理解していなかったからだと思います。

妊娠検査薬は判定サインの窓のところに印が出るか出ないかで陽性・陰性の判断をします。
この印、例え薄くても印が出ていれば陽性という判断になるのですが、
私はハッキリ印が出ていないと陰性だという基準で判断をしていました。

使った検査薬はすぐ捨ててしまったので、もちろん後から見返すことは出来ませんでしたが、
後から思い返してみればごく薄~くラインが浮き出ていたのを私が陰性と判断したのではないかと。

まぁ、出来ていると思っていて陰性、というパターンだと相当ダメージが大きかったと思うので、逆パターンの勘違いで良かったです。

結果がすべて

よく、結果を重視するか、プロセスを重視するかという話があります。

私は不妊治療に関しては、どうしても結果が全てという気持ちになりがちだな、と当事者になってみて思いました。
例え結果が出なくても、努力したプロセスに意味がある、と思うには金銭的負担が大きすぎるし、自分たちの努力ではどうにもできないことが多すぎるからです。

結局はお金を払って、他人(先生や培養士の方)に委ねるしかない。
自分で出来ることはクリニック選びくらいで、もちろん生活習慣を見直すなどの小さな努力は出来るのですが、
結局は専門家である先生の考えや方針に従うことしか出来ないので、
結果が出ればそのクリニックを選んで良かった
結果が出なければ違う方法やクリニックに変えれば良かった

という結論になってしまうのです。

私は本当にたまたま1回目の顕微授精で運よく授かることが出来たので、今こうして自分の体験を語ることが出来ていますが
本当に運が良かったというだけで、もし上手くいかずに何度もチャレンジすることになっていたとしたら、最初から不妊治療になんてチャレンジしなければよかった、溝に大金を捨てただけだったという気持ちになっていたと思います。

そう考えると本当に不妊治療ってしんどい。

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結婚したら子供を持つのが当たり前で、子供が出来ないのは可哀そう。
女性の幸せは結婚、出産、育児である。
人は子を育てて初めて本当の意味で大人になれる。
―――

こういう考えは徐々になくなってきてはいるものの、まだまだ根付いていると思います。

そんな先入観や偏見がなくなり、世間体を気にしてではなく、本当にその個々人の意思で子を持つ・持たないの選択をしやすい世の中になり、
自分の意思で子供が欲しいと心から願う人は今以上に高度な治療を、出来るだけ経済的・精神的負担少なく受けられるような、
そんな世界がこれからもっと実現していけば良いですね。

今日はここまでにしたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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