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働く私のHOPE(J-HOPE②)

2021年の年が明けて、数年ぶりの冬らしい寒さに年度末という時期になった。仕事柄、冬と年度末はどちらも忙しくなる要素が揃っているのだが、今年の繁忙期は、作業用BGMがホビくんだらけになっている。

ノンストップで走り抜けないといけないこの時期、ホビくんの音楽が聴きたくなる理由。
J-HOPEと働くということについて、考えてみた話。


1. 働く人、J-HOPE

ホビくんって、ものすごく仕事人間だし、言葉は悪いが社畜体質だ。
私は勝手にそんなイメージを持っている。


まずそもそも、仕事が好きすぎる。BTS含めて歌手のような表現者はみんなそういうところがあるのだろうけど、ステージの上のホビくんは特に、そこに立つために生まれてきた人のように見える。

ホビくんは、BTSのデビューから世界的な人気を獲得するまでの過程を「前だけ見てた」と表現する(ボンボヤ2でのユンギとの会話でも出てくるように)。
きっと信じられないくらいの努力をして、時に挫折を味わって、そうして進んできたはずなのに、なんかそういう過程をひっくるめて、「前だけ見てたよね」って言えるのは多分それが本当に彼の感想だからなのだと思う。

また、weverseの記事で、「僕は今まで大きな試練がなかった」なんて言っている。


嘘だろ、と思うけど、多分本当にそういう自覚がないのだと思う。

以前ホビくんに関する別の記事でも書いたけど、彼は当たり前のように仕事をしすぎている故に、普段から自分の努力を主張することをほとんどしない気がする。
だからこそ彼がたまに昔を振り返って「J-HOPEはすごく頑張った子なんですよ」なんて言うと泣けてしまうのだが、
基本的に、息をするように仕事をしているから、あんまり日々「頑張ってる」自覚がないように見える。


ホビくんは小さな頃から、自分はステージに立つ人間だと思っていたそうだ。
もしかすると、彼にとっての仕事はイコール歩んできた人生なのかも知れない。だから「前だけ見てた」し、「僕は壁にぶつかったことがない」と言うのかなと思う。
多分、彼にとってそれは強がりや嘘ではないのだろう。

はじめは語感からなんとなくだったと本人が話していたJ-HOPEという名前だが、「希望」なんて他者の感情ありきの大それたものを仕事上の名前に入れてしまった彼は、それをもはや自分の人生の一つの形にしているようにみえる。

アイドルという仕事は、J-HOPEという一つのペルソナは、ある意味ホビくんの人生そのものなのかなと思う。


2. 緩急のバランス

ステージの上でほとんど隙を見せない「仕事人間」なホビくんだけど、ステージ以外の場所では、あくまで仕事の範疇で適度に「手を抜いている」ように見える。

Run BTS!はいろんなゲームをこなすバラエティ番組だが、ホビくんはだいたいいつも「僕ゲームは苦手なんだよね…」とかわいく言いつつ(実際苦手で個人戦になると割となんでもうまくできない)、
時々自分の得意なことがあれば本気で勝ちに行くけど、基本的には無理せず程よく、みんなで楽しくできればいいや、みたいなスタンスだ。

またVLIVEをすれば、ホビくんは黙って一人で自分のことをしていたりもする。時々カメラの前に戻ってきては一言二言話して、また自分の作業に戻る。
(纏う雰囲気はゆるくて、服装もなんだかラフなので、これは素っぽい…とドキドキしてしまう。)

そういう、働いてるけど、適度に緩く、息を抜く場面を持っていること。これもまた、うまく働く秘訣であるように見える。


以前別の記事にも書いたことだが、私はアイドルの「J-HOPE」と「ホソクさん」は分かれてるわけではないと思っている。ホビくんは生きてきた人生がイコール仕事のような人で、彼の歩く道そのものが「J-HOPE」なのだと考えている。

おそらく彼は常にちゃんと自分は見られる仕事をしている人だという自覚がある。それを分かった上で、今ここは自分の一番全力を出す場所なのかを判断しているのだと思う。

彼が思うここだけは絶対に落とさない「一番重要な瞬間」を外さないために、他の部分は適度に緩く。そして、その緩急がファンを惹きつけていることも、多分ちゃっかり分かっているのかもしれない。


3. 体は資本

ホビくんは、ステージのパフォーマンスは圧巻、それでいてどの瞬間を切り取っても絵になる人だ。だからこそ、BREAK THE SILENCE:DOCU SERIESを見ていて、印象的だった場面がある。
公演で全力を出し切りそれでも自分はまだ足りない、もっと早く成長したいと涙を浮かべるマンネのジョングクを、ジミンくんは必死で慰めていたのに、ホビくんは違った。

「全力を出し切ることも大事だし、ファンもそれを分かってる。けど、体力を調整することも考えないといけない。ジョングクが舞台に上がれなくなったらどうするんだ。それをよく考えてほしい。」

潤んだ瞳でホビくんの言葉を聞くジョングクの隣で、はじめは笑顔だったジミンくんがスーッと真顔になっていくことからも、言葉の重みがわかる。

あまりにも重いアドバイスだったので、RMから「どうしてうちの子のやる気を奪おうとするんだ?」なんて言われていたけど、実はものすごく重要な言葉だ。
ホビくんは、同じダンス担当として、表現者としてのジョングクの思いも分かりつつも、きっとあの場で言わずにはいられなかったのだろう。

自分を限界ギリギリまで追い込む人は、その瞬間はいいかもしれないけど、長い目で見た時に良い仕事をできない。
限界のかっこよさを見せる公演があって、また限界ギリギリまで追い込んだ後にも公演がある。その全てが誰かにとってその一回きりなのだから、途中で壊れることは結果として多くの人を悲しませることになってしまう。

ホビくんはおそらく、それを明確に理解している。彼自身も言っていたけど、小さい頃からダンスの練習をし続け、上京してから始めて作曲作業も初めた彼だからこそ言える言葉だ。
(そして、ジョングクにアドバイスしつつも彼の気持ちに理解を示すところがまた素晴らしい。)

また、どうも2018年くらいからホビくんは目標に「健康」を掲げている。
みんな健康でライブをしたい。一に健康、二に健康。
きっと彼はこの先も、チーム全員がパフォーマンスを最大限続けていけることを、一番優先して考えているのだと思う。
(彼がそんな風に思うようになったのは、どういう理由からだろう。それもまた考えてしまう。)

日々の練習も全て、彼が考える「一番重要な瞬間」に力を出すために最も重要なことは、健康だからだ。

私自身、仕事がとても好きだ。
働いていると、生きている実感がする。なんてことない自分が、その瞬間だけ誰かの役に立てる実感がある。

だけど、私が仕事が好きだなと思う瞬間は、限界ギリギリまで自分を擦り減らしている時じゃない。
ほんの少しの余裕、周りを見て、三食美味しいご飯を食べて、少し先のことを語れるだけの余白がないと、仕事を好きだとは言えない気がする。
もちろん時には寝る間も惜しんで限界まで自分を追い込む瞬間はあるけど、それをずっと続けていると擦り減る。もしかしてたまには必要になるかもしれないその瞬間までは、できるだけ日々健康でいたい。

体を壊さないように頑張って、健康でいること。
当たり前のようだけど、とても重要な、これも働くために必要なことだ。


4. 前向きな諦め

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私が一番ホビくんから頑張る力をもらえると思うのが、彼の曲から感じる「前向きな諦め」のような姿勢だ。


共感してくれる人がどのくらいいるか分からないけど、少なくとも私は、仕事をする中で唐突に「あれ、なんでこれやってんだろう?」の感情に支配される時がある。少しの虚無感と切迫感を持って、「なんで?なんで?」の問いのループに嵌る瞬間がある。
行き着く先はいつも
「私はこの仕事、本当にやりたくてやってるのかな。」
そういう「仕事と自分」に関する本質的な問いかけだ。


一般人の私にもたまにやってくるこの問いかけだけど、
アイドルは、それも世界的スターであるBTSのみんなは、自身の持つアイドルとしてのペルソナも含めて、
「自分のやるべきことはなんだろう?」
「アイドルである自分は何者だろう?」
そんな、「仕事と自分」に関する問いを自身に突きつける機会が、私たちより遥かに多いと思う。

その問いは、彼らであるからこそ、とても重い問いかけなのだと思う。
目標や生きる意味、自我にまで深く考え込まなければいけないくらい、アイドルにとっての「仕事と自分」の問いかけは重い。自分の中でその問いに答えを出すためには、どれだけのエネルギーがいるのだろう。

そんな本質的な問いの片鱗は、彼らの作る歌のあらゆるところで見て取れる。
だけどそんな重い問いかけを抱えながらも、ホビくんの作る歌の着地点は、ひたすらに前向きだ。

『Outro:EGO』にこんな歌詞がある。

だけど世の中には変わらない真実があるだろ
時間は前に流れていくけれど方向は定まっていないもの

『Outro:EGO』は自分のアイドルとしてのペルソナと向き合いつつも、人生の一つの形として受け入れる曲だと思っている。
どうしたってつきまとう「仕事と自分の在り方」「なぜこの仕事をやっていくのか?」
その問いへの答えを明確に示すことはなくても、それらは全て「運命の選択」だと言い切り、そして「時間はここから前にしか流れていかないから進め」と言う。
アイドル(=働く自分)としての自分も全て自分だ、ここからしか未来は始まらないから、とにかく進め、と。

もしかしたら問題は解決していないかもしれない。自己への問いかけや自分の本質を探す過程はきっと今後も必要で、でもとにかく進もう。
そういう、重苦しくて本質的な、考え込んでしまうようなことに対して、向き合いつつも「前向きに明るく諦める」姿勢。これがJ-HOPEの魅力だと思う。

アルバム『BE』収録の『병/Dis-ease』も同じく、仕事人間の自分に突然訪れた休みに戸惑う様子が綴られている曲だが、そんな仕事人間の自分を仕方ないなと受け入れつつ、まあとりあえずまた前に進もうよ、と締め括られる。


スポットライトが当たる場所以外で働いてる私も、日常のある瞬間に、仕事と自分に関する重い問いかけが頭を支配する。思い始めると、手が止まる。じっとパソコンの画面を見つめて数分経っていた、なんてこともある。
対価として金銭を得ているかどうかに関わらず、これは自分がすべきことなのか、したかったことなのか、そんな疑問が頭の中に湧くことは確かにある。

けれどそんな時に、ホビくんの「前向きな諦め」は私のスイッチを切り替えてくれる。
正解は分からない。でも少なくともいずれかの瞬間の自分の選択の先に、今がある。だからまずは「とにかく、手を動かして、前に進みながら考えよう」、と。

考え続ける。でも考え込みすぎず、手を動かしながら考える。
つらい瞬間苦しい瞬間があると、まずは前向きに諦めてみる。なんか分からないけど私が選んだ先に今があるから、まずは進みながら次のことを考えよう。
だってこんな悩みを持っているのは、私だけじゃない。

다 똑같은 사람이야 ain't so special
(他の奴らとなんも変わらない 別に特別じゃねぇよ)

ホビくんのおかげで私はまた、「とにかくやろう」の気持ちを取り戻す。


5. 働く私とJ-HOPE

働くということについて考える時、いつもふとよぎる言葉がある。安野モヨコの漫画「働きマン」という作品の帯の言葉だ。

僕らはみんな、働くために生きている!

この漫画が連載していた当時私はまだ中学生とかだったと思う。当時の私がどんな感想を抱いたかはもう思い出せないけど、何故かこの帯の言葉は(少しニュアンスが違っていたが)覚えていた。ものすごくキャッチーだけど、ちょっとげんなりするような言葉でもある。
働きすぎが問題になり、ワークライフバランスが叫ばれる中、それでも私がある瞬間にこの言葉を思い出すのはなぜだろう。
それはやっぱり働く時、ある瞬間に心の奥底に火がつく瞬間があるからだろう。

嫌なことがあっても、なんでこんなことしてるのか分からなくても、でも仕事をする。
生きるためにお金が必要だから働いてるはずなのに、働くために生きているように思うこともあるし、働くことで生きている実感を覚えることもある。

こんな矛盾していて、明言し難い感情を抱いていて、それにいちいち悩むこともあるけど、明日になればやっぱり私は「とにかく、手を動かしながら考えよう」と思うし、その瞬間の私に力をくれるのはJ-HOPEの音楽なのだと思う。

だからこれからも、多分どうしようもないこともあるけど、
手を抜くところは適当に、ここぞというところは本気で、そしてできるだけ健康に、前向きに悩みつつ仕事をできればいいなと思う。

そしていつかホビくんに会える日が来たら、それがステージと客席の距離でいいから、心からのお礼を伝えられたらいい。

日々働く私の希望、J-HOPEに感謝を込めて。

2021.02.14




(※これは私個人の思考を整理したもので、特定の個人の人格を記載したものではありません)

※ @luv_musik_ 様より和訳お借りしました。

https://ameblo.jp/translatemusic/entry-12639349501.html



https://ameblo.jp/translatemusic/entry-12624296155.html



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