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初めてアイドル現場に行ったとき、変な理由で泣いたこと

初めて地下アイドルのライブを観たとき、ステージを舞うカラフルな色と滴る汗を見つめているうちに、涙が溜まって頬をつたった。
私は、泣いていた。
でもその理由は曲が良かったとか、頑張る姿に感動したとか、そんな綺麗なものなんかじゃない。

「~~そういうわけで、本当にかわいくてね、推しメン〜ってなるの!ともかくまいるんもおいでよ!」
そこまで言うなら...と、友達に連れていかれたのが私の人生初・アイドル現場デビューだった。

誘ってくれた友達は、自分自身のことが好きだと思う。「私ってかわいいし運良くてなんやかんや上手くいくし結局勝ち組なんよな〜!」とかよくおちゃらけて言っていた。「ほんと天才だよね、私たち!」と私も一緒にすごい存在ってことにしてくれる、そういう所が大好きなのだけど、兎にも角にも自分の事が1番好きなタイプだと思っていた。

そんな子が、知らん女のために、全国色んなところに行って、毎回何枚も何枚もチェキを撮って、推しメン!とかいいながら熱狂しているらしい。
いや、普通にめちゃくちゃおどろくんだが。

あの子でもアイドルを好きになるのならば、何かを応援することに夢中になったことがない私でも、好きになれるのかもしれない。

推しという存在に興味と憧れがあった。そして、私の知らない私がいるかもしれない事にも興味があった。だから私は、新たな私との会合を楽しみに、そのアイドル現場へと足を運んだ。

SEが流れる。ステージがはじまる。
ステージ横から出てきた彼女たちは、思っていた以上に普通の子達だった。もちろん可愛いんだけど...周りにも居そうというか。非日常な感じはしない。こんなこと言ったらファンの人に殺されるかもしれないけれど、歌もダンスもルックスも、何かが秀でてるとか、めちゃくちゃ上手いとかでは無いように見受けられた。

だからこそ、思った。
この子達は選んだんだ、アイドルになることを。

アイドルになりたくて、そのための選択をしたから今、私の目線より少し上、この見上げるステージに立っているんだ。

......もしも。
もしも、選択する勇気さえあれば。私にも、あそこに立つ資格が、あったかもしれない。

烏滸がましいなと思いつつ
そんな思考が脳裏に浮かんだ。

黄色の子が目配せをした。あー、あの人に向けてだな。特定の1人を見すぎないように、全体をバランスよく見ているんだな。ピンクの子、表情を変わるのかわいいな、もっと変化大きくても良さそう。緑の子くらい楽しそうにやるのは見てる側的に大事ぽい。あ、今緑の子が友達にレス送った、友達が騒いでる。なるほど、これが嬉しいってやつなのか。これが特別ってやつなのか。

ふーん。
気がつけば、オタク目線ではなく、なぜかステージ目線で俯瞰している自分がいた。

どうしよう。わたし、やっぱり応援するんじゃなくて、応援されたいかもしれない。

そう気づいた時、色んな感情が溢れてきた。
そんなこと言っても会社を辞めるのか?そんな勇気は自分にあるか?可愛さなんて今後減ってく一方なんだからもうこういう事はやめると決めただろ、憧れるな、いいなと思うな、アイドルなんか諦めろ、わたしがなれるわけない、でもなんかこれならなれそうかもしれない、そんなわけないでしょ過信するなっ!

...でも
この子達、グループに入れて嬉しかっただろうな。合格発表で喜んで、タワレコでCD出せて、手の込んだMVがあって、衣装もかわいくて。

それは、いいなぁ。

私は泣いていた。
頑張る姿に心打たれたとか、歌詞が良くてとか、そういうのじゃなくて。
憧れて、くやしくて。
そんな変な理由で、ぼろぼろ泣いた。


憧れとか、好きだとか、嫌いだとか。感情は勝手に発生してしまうものだ。それを表に出すかどうかは意思があれば選択出来るけど、産まれてくる感情は制御出来ない。

感情に蓋をして、合理的に安全に生きていく道もあったけど、私は忍耐力がまったくないから無理だった。程なくして、アイドルをしてみることになりました。

わたしね、よく、''アイドルよりお給仕の方がすきだったからメイドしてる、もうアイドルはしないかな''って言っているけどね、

1回、歌って踊るアイドルになれて、本当によかったよ。

与えられた機会とみんなのおかげで、私はあの時憧れた、くやしくて泣いた景色を、少しは見ることが出来ました。やってみてもっと好きなことに気がついただけで、無くてはならない大切な経験です。

ライブアイドル、やってよかったな。
ありがとう。

懐かしい写真をぺたり。

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以下削った記事。

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