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「エフェメラル・デイズ」宮崎笑子

 どこで手に入れたのか覚えていない。覚えていないということは場所が限られる。たぶん、秋葉原のHUBである。きっとぼくはだいぶ酔っていただろう。
 なので、本作が横浜を舞台にした小説集であったことを聞いたか聞いていないかも判然としていない。結果的にご本人のツイートが回ってきてぼくはそれを知ることとなり、今回読むこととなった。

 なのでぼくは宮崎氏に会った記憶すらほとんどなく、なんどかテキレボ関係のタイムラインになるときにリツイートでツイートを見かける程度である。どういった文章を書かれるのかも含めて気になった。この装丁はシンプルでありながら趣向を凝らしていて非常にすてきである。また、描かれている小説はすべて横浜の、おしなべていうとあまり光が当てられていない部分で、前回ご紹介した「PortRay」で書かれている横浜と印象が全く異なる。ぼくの知る、横浜というまちの薄汚さや薄っぺらさ、極度に肥大化した都市という情景が非常に鮮明に描かれている。かたられる物語もどこか非日常を帯びていて非常に好感が持てた。横浜のこの風景をあててくるというのは、相当に横浜を知っていないとできない芸当である。みなとみらいや元町といった、象徴的な横浜というランドマークではなく、横浜というひとつのまちを非常に写実的にうつしとっている。この描写には非常にあこがれがある。それでいて横浜という複雑なまちに対する感情のねじれを感じさせないのがいっとうすばらしいとぼくは思う。もっとも、これは横浜にある程度以上関わっている人間でないと出てこないような感想かもしれないけれど。
 ランドマークタワーから伸びる影を追っていったような、そんな趣のある小説集であった。

おすしを~~~~~よこせ!!!!!!!!おすしをよこせ!!!!!!!よこせ~~~~~~!!!!!!!おすしを~~~~~~~~~!!!!!!!!!!よこせ~~~~!