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「こぐま座アルファ星」東堂冴

 とんでもないものを読んでしまった。

 本作に対する感想は、はっきりと言ってしまえば上記の1文に収束する。本作は東堂冴氏の代表作でありながら、もしかすると最高傑作になってしまうのではないかという気すらするほどの、極めて完成度の高い小説である。これほど完璧に書き込まれた青春小説をぼくは知らない。中高一貫校の弓道部という箱庭を本作は完璧に書き表している。また、タイトルが「ポラリス」でも「北極星」でもなく「こぐま座アルファ星」であるというところがいっとう強い。ポラリスは二等星であるが、いっとう輝いているとしか言いようがないのである。

 氏の作風は、他の合同誌掲載作やそのツイートなどから察するに猛烈な知性を感じさせる。本作はその猛烈さを巧みに抑え込みながら、主要登場人物を群像劇的な手法を用いずに全員しっかりと書ききっているというところにぼくは「非商業小説」の域を超えつつあると思ってしまった。これほどまでに鮮明に、明晰に、冷酷にほど近い文体ですべてをしっかりとつまびらかにして書くことができるということを本作は証明している。小説の一行一文一文字に至るまでその「過不足のなさ」に関して、プロの作品を除けば、本作以上のものを見たことがないし、おそらく今後見ることがないのではないかとすら思ってしまうのである。

 ここまでの文章で、ぼくがいかに何も説明していないかということ、そして「見たことがない」の連発からもわかるように、本作はぼくの語るべきレベルをはるかに超えてしまっている。ぼく個人の力として極めて忸怩たる思いではあるが、本作をカテゴリ4に据えざるを得ない。ぜひ、それがいかなる小説であるのかを、読んで確かめてほしい。

おすしを~~~~~よこせ!!!!!!!!おすしをよこせ!!!!!!!よこせ~~~~~~!!!!!!!おすしを~~~~~~~~~!!!!!!!!!!よこせ~~~~!