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「蒼のデクストラ」深海いわし(雨の庭)

 いつどのようにして手に入れたのか忘れてしまったが、きらきらとした対になる短編集、ということで紅い表紙のものと一緒に買った記憶だけはかすかに覚えている。たぶん、だいぶ前に買った。
 ぼくは深海いわし氏のことをよく知らないし、この短編集が最初の作品となった。どうやらファンタジーを中心に活動されているかたらしい。そういえばフォローしていた。
 この作品集は、表紙の通り蒼を基調とした短編を集めたもので、中には同一世界線(もしくは、その原型を感じることができるもの)のものであったり、ストーリーとして同じ構造線をなぞるようなものもあり、深海いわし氏の「ごうがふかいな」を堪能するものとしてはお手軽でありまた非常に優れていると思われる。
 蒼、というタイトルとその表紙の色が示すように、本作は水や空といった冷たいモチーフが多く登場する。よくよく考えれば氏のペンネームも完全な水属性(深海、にいわし、である)なわけで、なるほどこちらのほうがお得意なのだろうな、などと想像を巡らせてしまった。しかしぼくは対となる紅いほうを読んでいない。装丁からして、本作と対になるもののように思うので、こちらもすぐ読んでみようと思う。いずれにしても、大いなる空、ほの暗い海、降りしきる雨、そのすべて、向こう側に退廃と神秘を見いだすような作品群であり、非常に良質であった。文章も読みやすく、くせが少ない。読み進めるのにちょうどいい硬さであり、しかも作品ごとによって結構幅がある。氏は長編を書いているらしいが、それもまた、気になると感じた。

おすしを~~~~~よこせ!!!!!!!!おすしをよこせ!!!!!!!よこせ~~~~~~!!!!!!!おすしを~~~~~~~~~!!!!!!!!!!よこせ~~~~!