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「ぽぽぽぽ」 へにゃらぽっちぽー

 ということで、2冊目にはぽ氏ことへにゃらぽっちぽー氏の作品。見てわかる通りまさかの4冊目だが最初に読んだ氏の作品はこれなので、これを最初に語るまでである。

 しかしこの作品を読んで即座に感想を書こうと思ったのだがなかなか書けないので今ぼくはすさまじい勢いでウォッカをがぶ飲みしてこれを書いている。途中から支離滅裂になるかもしれないが気にしないでほしい。

 いや、この作品に関してはこう、素面ではうまいこと語れないと思ったからこうしたまでである。それほどまでにこのへにゃらぽっちぽーという書き手は特殊である。ぼくら書き手が剣やこぶしの腕を磨いているさなか、ぽ氏が使ってくるのは銃、飛び道具なのである。端的にいうと、ずるい、ということになるのだが、しかしかれがほんとうにすごいのは、銃を使うためにわざわざカーボーイの衣装を自前で仕入れてしかも首から「ぼくはカーボーイです」と書かれた札をわざわざ下げるようなところがあって、つまり早撃ちで書き手たちを銃殺していってもだれも文句を言えないというところがすごいのである。自分で書いていてなにを言っているのかわからないのだがほんとうにそういう感じなのだから許してほしい。悔しかったら読むがいいよ、ほんとに。ぽ氏はどこでも出没する。つぎ出没するのは、あなたの街かもしれない。みなさんもおちかくのへにゃらぽっちぽーからこの本を買おうな。

 とかふざけたことを言っている場合でもない。いや言っている場合でもあるが。まあどっちでもいいや。

 この「ぽぽぽぽ」は文字通りへにゃらぽっちぽー氏の4作目にあたるのだが、それまでのものを読んでいないのでなんともいえないがこの4作目は非常に尖っている。へにゃらぽっちぽーワールドならぬへにゃらぽっちぽーバースである。初手の「おんがくまつり」からしてすさまじい。こちらが想像していたへにゃらぽっちぽーを数段上回って積分したみたいな世界観を突き出してくる。おすし屋さんで卵焼きを頼んだらたこわさの軍艦が出てきた感じだ。じぶんでも何を書いているのかよくわからないがそういうものなんだ。いいかみんなこれはそういうものなんだよ。とにかく「ぽ」を見たら買いだ、ぜひはない。このへにゃらぽっちぽーワールドはへにゃらぽっちぽーでした作ることのできない、まさに「小説界のロックンロール」なのである。

 登場するのはおもに兄妹のふたり。それもなんだか実態があるのかないのか、ひじょうに抽象的にえがかれている存在だ。へにゃらぽっちぽー氏は「へにゃらぽっちぽー」としかいわないしへにゃぽちゃんも「にゃぽ」としかいわない。それでもふしぎと(ふしぎではないけれどふしぎと)かれらの言いたいことは伝わってくるのである。これはことばというものの多元的な要素を端的に表現したものにすぎない。彼の小説はまるで魔術である。そしてきわめて純度が高く、他の世界、たとえば現実の世界とけっしてまじりあわない。この徹底ぶりである。

 ぼくは現実の、つまりこの作品を売っているほうのへにゃらぽっちぽー氏を知っている。かれはおすしを素手で食べるし強くて小さい煙草を吸う。そしておそだちがよい。ロックだ。ロックを体現している男がそこにいるのである。そのかれが書くもの、それはどうしたって必然的にロックの調子を帯びてしまうのだ。この「ここは南の島です」を見よ。読んでいくと「いや●●県じゃねえか」とつっこみをいれてしまうだろうが、それでもここで語られていることの面白さはまったく減衰しないのである。マジカルである。魔術師へにゃらぽっちぽーなのである。

 ぼくは生まれながらにして剣士であるからかれのものまねはできないが、しかし同じ、何かと戦うものとして、その作品に敬意を示さざるをえない。

おすしを~~~~~よこせ!!!!!!!!おすしをよこせ!!!!!!!よこせ~~~~~~!!!!!!!おすしを~~~~~~~~~!!!!!!!!!!よこせ~~~~!