令和3年の総括

 今年もこの季節がやってきた。つまり、年度総括のお時間である。
 ぼくが組織した(といってもほぼ個人活動なのだが)「日本ごうがふかいな協会」は会計年度と暦年をそろえている。つまり1月に年度を開始し、12月で決算を迎えるということになっている。そのため、年の瀬でこのような記事を書く時も、当然ながら決算を見こんだようなものを作れればと思っている。もっとも、実際の会計整理は10月を最後に止まっているので、まずはここから手をつけて、年末年始で棚卸しをするところからといったところだろうか。そんなこんなでいつものようにまとまりがなく、年間活動概要となってしまうが、お付き合いいただきたい。

創作関係の主な出来事


 まず、同人界隈、そして創作活動においての主な出来事であるが、下記イベントに参加した。


 ちょっとそこの路地入ったとこ文庫(第1回)
 テキレボEX
 尼崎文学だらけ
 はなけっと
 ブックハンターセンダイ


 すべて委託である。つまり、ぼくは昨年から引き続き2年間、対面でのイベントに出展しておらず、さらにいえば、ここから最低でも3年は対面のイベントに出ることはないものと思われる。理由については後述する。
 いずれのイベントもそれなりの実績をあげ、それ以外にも通信でいくつか頒布が出たことは個人的には良好だったと思われる。
 また、協会発行の頒布物として以下を作成した。

 震える真珠
 しん・まんまるびより(ぷらす)
 幻石(新装版)
 現石


 いずれも珠玉の出来であり満足ではあった。
 しかし、対面頒布の規模を想定していると委託でいくら運営のバックアップがあろうが、こちらがいくら告知しようが、全く出ないような気分になってきてしまう。実際、ここまでの頒布実績は3年前の2割にも満たない。もちろん昨今の事情もあるので単純な比較はできないし、3年前のイベント参加水準は絶対に保てないのであるが、もう「たくさん作って読み手を待ち続ける」というフェイズは終わったのだな、と深く思った。
 公募については新津意次名義で千葉文学賞に参加し、二次選考まで通過した。三次選考を経て審査員の最終選考に向かうので、もう一息といったところだったかもしれない。地方文学賞であり、かつ応募規定がかなり厳しいので原稿も相当な労力をかけたのだが、無事(?)いいあんばいのところで止まってしまった。下読みいただいた方にはここで申し訳ないが感謝の意を表したい。
 また、ここまで記載したものの収録でないもので、下記の小説を執筆した。


 驟雨、あとを濁さず


 ひざのうらはやおの代表作となるものと思われる。その前作「震える真珠」と比較すると、近いロケーションを使用しているのにここまで差異が出てくるかというくらいの差があることに我ながら驚く。この初稿については現在カクヨムで掲載中である。この小説を書くことで、ひざのうらはやおにおける純文学の小説は一応は書き切ったというところになるのかと思っている。もう少ししたらネタが出てくるのかもしれないが、今のところこれが「全力投球」である。そのわりになかなか「読めない」小説でもあると思うが、もし純文学を読むのに苦にならないかたは読んでいただければ幸いである。
 なお、発表済みの「猫にコンドーム」「飛んで火に入る」にこの「驟雨、あとを濁さず」を追加して「統合」したものを「宇佐見小説集 驟雨、あとを濁さず」として来春ごろに刊行しようと試みている。後述する年間購読の対象にもちろん含まれているので、こちらもぜひとも楽しみにしていただければ幸いだ。
 会計報告としては決算書として別途報告するため、ここでは割愛する。

それ以外の主な出来事


 昨年末に浦安から津田沼に引っ越した。諸事情により、といったところである。それ以降もぼくの身辺はめまぐるしく変わり続け、来年の春でどうにか一段落を迎えそうな雰囲気である。これについては個人の事情であることから一切の公表を控える。また、たとえばその事象に関して何らかのアクションを起こすということはご遠慮願いたい。できることならそういうことからは遠ざかった身分でありたかったので。
 それに伴って、同人関係の在庫を抱えておくことが困難になり、また、即売会等のイベントの会場に出向くこと自体が相当困難になってしまった。前述した「対面での頒布が難しい」というのはこの私的な出来事に起因している。ぼくはそれを「選んだ」ので、仕方がないことであるが、であるならば、その範囲の中でできることをやろうと考えている。そのため、来年については下記のような手段でみなさんに頒布できればと考えている。


年間購読について


 知り合いの書き手が行っていた年間購読プランというものも本協会も考え、それに従ってできあがった新刊を購読者に送付することで、イベントによらず頒布物を頒布する仕組みを考えた。前述の都合で在庫を置くことが困難になってしまったので、年間購読者に対し優先的に頒布リソースを振り分け、それ以外に関しては品切れや絶版を余儀なくさせるという方法にシフトすることとした。
 以前は、そういったことが起こらないように余裕を持った部数を印刷していたが、次作、つまり「宇佐見小説集 驟雨、あとを濁さず」以降は年間購読による受注生産というのが主となる。すなわち、通販であろうが委託イベントであろうがそういった場所に出される「フリー」の部数はほぼほぼ存在せず、本協会の頒布物は原則として年間購読においてのみ取り扱われるものと考えていただいてかまわない。
 もちろん、委託イベントに全く出ないわけではなく、また、通販も行わないわけではない。ただ、在庫をおいておくことが出来ない関係上、少なくとも初版に関しては年間購読者を優先とした極少部数で対応し、その端数で出た余部を超えた需要についてはよほどのことがなければ切り捨てるということを来年は行っていかなくてはならない。この点に関しては従来の読み手の皆さんに対してお詫びをさせていただきたい。年間購読という、送付先を限定した郵送によるサービスを利用しなければ来年の本協会の頒布物の確保が非常に困難になることが予想されるからである。この活動をはじめてそれなりに経過したぼくですら、昨今の流れと在庫の状況は「全く読めない」ので、このような形で半ば受注生産のようなスタイルで頒布していくしかなく、苦渋の決断であったことは申し添えたい。
 年間購読に関しては本協会の広報ブログの記事を参照いただきたい。


https://houhounoteiyudetaro.hatenablog.com/entry/2021/12/08/202210

まとめ


 令和3年は同人活動に完全復帰こそしたものの、実質的に活動方針を大幅に見直さざるを得ないほど私生活ががらりと変わった一年であった。以後のことを見据え粛々と、淡々と活動を続けていく所存である。
 ひとつ申し添えるとするならば、書き手のみなさんは、たとえば今なんのためらいもなく対面のイベントに出られたり、いくらでも原稿が出来る時間があったり、無尽蔵に各地に遠征できるような資金があったり、そのどれもがなかったりしていると思われる。ぼくが今まで享受してきたこれらの圧倒的創作リソースは当然ながら長く続くものではなく、だからこそぼくは「持続可能な同人活動」に目を向け、探求を続けてきた。そういった中で自らがここまで急激な制約にぶつかるとは残念なことに全く予想できなかった。書き手のみなさんにぜひとも留意していただきたいのは、今あなたが書いていられる環境は「当たり前」でも、「永遠に続く」ものでもなく、むしろある日あっけなくなくなってしまうような不安定なものであり、だからこそ大切にすべきであるということである。この辺のメッセージについては、たとえば「おもちくんメソッド」の新版などを用いて細かく書いていきたい、とか思っている。あくまで予定であるが。
 そういうわけで、令和3年の総括としたいと思う。

おすしを~~~~~よこせ!!!!!!!!おすしをよこせ!!!!!!!よこせ~~~~~~!!!!!!!おすしを~~~~~~~~~!!!!!!!!!!よこせ~~~~!