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両親の話を、何となく

こにゃにゃちは。
静香・ランドリーです。

4月末に生まれた4匹の子猫が、とうとう結界を破ってリビングへと侵入し始めました。柵を飛び越えるようになったのであります。

何と表現すべきか・・・妙な光景が繰り広げられているのですよ。

76歳の父が、膝の痛みと闘いながら子猫たちを追いかけております。
笑顔で。
なぜ笑っておるか父よ。貴殿は猫が嫌いではなかったのか。

子猫の鳴き声を聞いて舌打ちしておったではないか。

何があった・・・痴呆か?!

子猫たちの暴れ具合よりも、父の顔面がカオス。
若干の不気味さを感じます。

その調子で筆者にも笑いかけてくれれば良いものを。
娘に優しくしなさい、この Almost 後期高齢者めが。

なぁんて思いながら、つらつらと書き連ねる昼下がり。
平和ですね。いや世間では色々と事件や事故が発生しているけれども。
少なくとも、我が家のリビングは平和です。

昭和のオトンは厄介な男

スパスパとタバコを吸い、麻雀チャンネルを真剣な眼差しで見つめる男。
起きる時間は毎朝バラバラ、いつも『一番ツライのは自分だ』と言わんばかりの表情を浮かべ、人の話は聞かない男。
男気を履き違え、連帯保証人になった上に多重負債を抱えた男。
生活に困窮しながらも、貧乏なるままに身を任せた男。
上げ膳据え膳、それでも新しいメニューには決して箸をつけない男。
筆者のタイピング音に唸る男。
そして、母が家にいないと必ず不機嫌になる男。

理不尽の塊、それが我が父です。

物心ついた頃から、筆者は父が苦手でした。一緒に過ごした記憶もなければ、きちんと話をした記憶もありません。
目を合わせることも皆無。

それでも筆者が実家に残って世話をする理由、それは母の存在があるから。
母は、スーパーお母ちゃんなのであります。

昭和のオカンはひたすらに強い

頭が切れて働き者、加えて美人。とにかく評判の良い母です。
ご近所にも人気で、毎週のように野菜や果物をいただきます。仕事から帰ってきたら、袋いっぱいのミカンやレタスが玄関先に置いてあったことも。それはまるでお供物のようでした。
「あなたは地蔵か?」と本人に尋ねたほどです。

弱音を吐くこともなく、常に家族のことを考える強い女。

筆者も、社会の荒波にもまれながら離婚を経験し、45歳になった今、母と話す内容が少しづつ変わってきました。ひとりの女性として母を捉えることも増えたように思います。
で。
ここ十数年で学んだのは、彼女にとって父は『通行手形』だと言うこと。

それは世間への通行手形だったり、お役所への通行手形だったり。とにかく女性ひとりでは恐ろしく生きづらい世の中ですから。
全ての名義が『父』にあるのも、理由の一つでしょうか。

母の口癖は「お父さんは、どんな姿でもいてくれた方が助かる」です。
まさに窓口的存在。

母は影なる司令塔

『ダメンズ』の父を上手に動かすのも、母だけに与えられたスーパーパワー。

ガチガチの昭和男である父が、それでも頑張って筆者のパートナーと仲良くしているのは、母の説得のおかげです。

仕事の都合で、今は離れて暮らしているパートナーですが。
毎晩のようにビデオチャットしています。もちろん両親も含めて。
日本語が話せないカメルーンBOYと、方言丸出しの昭和男。全く噛み合わない会話が繰り広げられます。

それでも父は、しごく楽しげ。
身振り手振りで「帰ってきたらウィスキーを飲もう」「ロト6を買いに行こう」とか何とか。
「OK」と「YES」のみですが、英語を使うことも増えました。

鶴(母)の一声で、新しい扉を開いた昭和男。陽気なカメルーン人とビデオチャットするとは・・・一昔前の父からは想像もできない姿です。

実際、筆者が実家に戻ってきた当初に比べて、父はかなり性格が丸くなりました。

生活スタイルも何となく変わってきています。
母と並んでハリウッド映画を字幕で観るようになったり、明るい色の服を着るようになったり。野菜をたくさん食べるようになったり。
ほんの些細な変化ですが、『俺がルールだ』の昭和ダメンズに新しい習慣をつけさせるのは、至難の業です。

果たして本人はその変化に気づいているのか否か。

何となくピッタリのふたり

娘の立場から見れば、正反対の両親。
それでも、お互いにとっては心地よい存在のようです。
『自分ができないことは相手がカバーする』と、母は筆者によく話していました。
夫婦になったら「そう言う人だもんね」と受け入れるのが一番だと。

暴力をふるったり経済的に虐待したりするような相手は受け入れるべきではありませんので悪しからず。

父はダメンズですが、常に母をリスペクトしてきた男でした。声を荒げることはあれど、その日のうちに謝罪していた父。
どんなに腹を立てても、必ず父の食事を準備していた母。

筆者ごときヒヨッ子には、わかりえない深い絆があるのかも知れません。

そんなふたりを眺めながら、今夜も美味しくご飯をいただくのであります。

おっと、どうやら今夜は『シュワちゃん』の映画を御所望のようですな。
ではワタクシめが検索して差し上げましょうぞ・・・。

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