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デジタル田園都市国家構想は地方を救うか?

『新しい資本主義』と聞いてどんな印象を持たれますか?
「そんなこといきなり言われても…」ですよね。かく言う私もイメージできているわけではありません。
というわけで、内閣官房のホームページを覗いてみると、ありました。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html

「『成長と分配の好循環』と『コロナ後の新しい社会の開拓』をコンセプトとした新しい資本主義」。正直言って、あまり目新しさは感じられませんが、とにかくそういうことらしいです。岸田総理大臣が誕生した直後に『新しい資本主義実現会議』が設置され、既に3回の会議が開催。2回目の終了後には緊急提言が発表されています。

熊本のような地方にいると、あらゆる面での格差を実感することになります。それは男女間も含む個人所得の格差であり、大規模と中小零細との企業間の格差、都会と地方の格差、地方の熊本県内でも都市圏域の一極集中による地域間格差が拡大しています。その格差の原因全てが資本主義ではないのかもしれませんが、新型コロナウイルスの影響もあり、より深刻さが増す現状を鑑みると、『新しい資本主義』なるものに期待したくもなります。

私は地方の立場でものを考えるくせが染み付いており、先ほどの緊急提言を読み進めていくと『デジタル田園都市国家構想』という言葉に目がとまりました。地方からデジタル実装を進め、新たな変革の波を起こし、デジタル実装を通じた地方活性化を推進するというものです。
その部分を抜粋すると

地方を活性化し、世界とつながるデジタル田園都市国家構想の起動
(1)テレワーク・ドローン宅配・自動配送などデジタルの地方からの実装
(2)地域金融機関を含めた地域の中小企業の DX の面的・一体的な推進
(3)いわゆる 6G(ビヨンド 5G)の推進
(4)教育の ICT 環境の整備
(5)デジタル田園都市国家構想実現会議とデジタル臨調の設置
(6)地方活性化に向けた基盤づくりへの積極的投資
① 農林水産業の成長産業化の推進・家族農業や中山間地農業などが持つ多面的機能の維持
② 防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策の推進・豊かな田園都市国家を支える交通・物流インフラの整備
③ PPP/PFI の推進
④ 2025 年大阪・関西万博の準備の円滑化
⑤ 観光立国復活に向けた観光業支援

どうです。
今どきの言葉が羅列されていて、国土強靭化や万博など、色んな気配りも見受けられます。否定するつもりはありませんが、『新しい資本主義』の恩恵を受ける必要がある弱い部分への光明になるのか少々疑問です。

そして問題はその進め方。例えばテレワークやドローン宅配、自動配送などは、新しく開発されたエリアに導入するもいいですが、もっとも不便な地域から実践していってほしいものです。例えば熊本県内でいえば、有人離島の湯島や御所浦。それから地元住民が自嘲気味に『陸の孤島』と称されていた八代市の五家荘など、そういった地域からから実践して、「人口の流出に歯止めがかかった」くらいの成果を見せて欲しいものです。

『新しい資本主義』や『デジタル田園都市国家構想』が、『アベノミクス』や『一億総活躍社会』などのように、「そういえばそんなこともあったよなー」と過去の遺物にならないことを切に願っています。

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