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潜在する『パタハラ』?!~男性の産休制度

「大リーグ・パドレスのダルビッシュ有投手、妻の出産でパタニティリスト入りし登板を回避」とのニュースから、産休制度のことを『パタニティリスト』と呼ぶことを知りました。ちなみに父親が産休制度を使おうとして、上司や同僚などから嫌がらせを受けることは『パタニティハラスメント』と呼ぶそう。日本では制度はあっても利用者が少数であることを考えれば、「もしかしたら『パタハラ』が横行!?」そんな疑念を抱いてしまいます。

熊本市長時代、男性職員の育児休業取得を推奨していたものの、実際に利用していた人はごくわずか。熊本市役所に限らず、どこも似たような状況でした。『パタハラ』まではいかずとも、取得しにくい雰囲気は払拭されず、自制する人もまだまだ多いという現実があります。

●男性が育児休業を取得しなかった理由
1.収入を減らしたくなかった 41.4%
2.職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だった、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかった 27.3%
3.会社で育児休業制度が整備されていなかった 21.3%
(厚生労働省の調査による)

2022年4月以降は男性の育児休業の取得が義務化され、有期雇用労働者の育児休業取得要件緩和や『産後パパ育休』の取得など、柔軟に取得できる環境が整うことになりますが、以上の調査結果からも、すぐに成果が現れるかは微妙なところかもしれません。

男性の育児休業とは異なりますが、慈恵病院の運営する『こうのとりのゆりかご』の検証からは、男性の顔がほとんど見えないことが指摘され続けています。思いがけない妊娠や出産で悩み苦しむのは女性、そこに男性の存在感はなく無責任さばかりが浮き彫りになる、そんな現実があります。妊娠から出産、育児、子育ての男性の当事者としての関わり方、それらは日本社会の問題として底流でつながっているのかもしれません。

前述のダルビッシュ投手は第5子の誕生に立ち会い、復帰第一戦で見事に勝利投手になりました。ツイッター上で、ダルビッシュ投手が「大変な思いをして産んでくれた妻には感謝しかありません」とつぶやけば、妻の聖子さんは「選手の人生、家族を尊重し、大切にしてくださる主人の職場には感謝しかありません」「次の試合の準備をしながら、子供達の世話、私のケアもしっかりしてくる主人にも感謝です」とつぶやき返します。感謝、感謝、祝福の中で、新たな生命の誕生です。そして、出産は女性にしかできないことですが、出産や育児の喜びや大変さ、子どもに対する責任は、2人で分かち合うものであることを教えてくれています。

こんなことが大リーグだけでなく、日本プロ野球界でも、そして日本社会でも、当たり前のこととして広がっていくことを願うばかりです。

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