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子どもたちの命を守るために

『命のバトン』をつなごうという尊い取り組みがある一方で、乳幼児の死亡率が世界最低レベルを誇る日本でも、生まれてすぐに命を絶たれたり、虐待によって亡くなる例は少なくありません。

そんな命を救おうと『こうのとりのゆりかご』を運営する慈恵病院が、今度は母親が自身の身元を明かさずに出産できる『内密出産制度』を提案し、自ら実施に移そうとしています。『ゆりかご』がドイツを模範として実施されたように、この制度も欧州ではすでに一部の国で導入されています。『ゆりかご』の検証会議では、子どもたちの『出自を知る権利』を確保すべく、制度導入の検討が求められてきたものの、日本での法制化の動きは鈍く、政府の「あまり関わりたくない」もしくは「一般化したくない」との姿勢が見え隠れしたものでした。今回の内密出産制度への国の対応は、以前とほとんど変わっていないように思います。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211029/k10013326631000.html

また、実親の死亡はもとより、病気や障がい、虐待等、何らかの理由で親もとで育てられない子どもたちは、2016年1月現在で約4万6千人。そんな子どもたちは施設や里親、養子縁組など、新たな環境のもとで育つことになります。

欧米に比べて日本では施設で育つ子どもたちが多いことから、「少しでも家庭に近い環境を」と『里親養育包括支援(フォスタリング)機関』を設置するなど、全国的に里親制度を普及させる動きも始まっています。ところが現実は、昨日の『赤ちゃん養子縁組』と同様に、なかなか厳しいようです。偏見とまではいかなくても、養子縁組や里親制度を特別視する風潮は、今も根強く残っています。

『バトン』のつなぎ方はさまざまです。多様でなければ対応できないほど社会は複雑な問題を抱えています。加えて、長引くコロナ禍の影響で、貧困や孤立といった問題はより深刻になっています。制度化を促すのも、制度化されたものに実効性を持たせるのも、私たち自身にかかっています。

まずは現状を知る。そして、子どもたちの幸せを願い、命をつなぐために一生懸命の人たちがいることも受け止め、その上で自分事として捉えてみることが大切です。

あなたが、『命のバトン』をつなぐためにできることを考えてみませんか?

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