軍事境界線で響き渡るBTSの"Dynamite"
ここ数日、ちょっと体調を崩して記事の間隔が空いてしまいました。
ウンウンと臥せっていて、ふと、新人記者だった頃に先輩から授かった格言を思い出したりも。
「原稿より健康」
先輩が伝えたかったのは、新人お約束の警察担当(いわゆる「サツ回り」)の激務で頑張り過ぎて体調を崩すなよ、という配慮。一方で、今さらではありますが、寝込んでみて痛感したのは「健康であってこそ原稿も書ける」という、至極当然のことでした。
さて、私事はこれくらいにして、東アジアではキナ臭さが強まっています。
ここでは朝鮮半島についてです。
(写真は対北宣伝放送用の大型スピーカーを載せた韓国軍の車両、韓国国防部HPより)
JIN除隊
BTSのメンバー7人のうち、最年長ということで先陣を切って兵役に入ったJINが、1年半にわたる活動を無事に務め終えて6月12日に除隊しました。
こちのNHK記事、タイトルに「画像7枚」という、普通のニュースではまずつけないような情報を加えています。明らかにファンたち(通称「ARMY」)を意識していますね笑笑
ちなみに、彼の軍での任務は陸軍第5歩兵師団新兵教育隊で訓練を担当する助教だったとのこと。
徴兵制のある韓国。
まだ軍隊に行っていない若い男性アーティストの「推し活」をするようになると、兵役による空白期間が生じて寂しい気持ちになってしまうのは避けられません。グッとこらえて、過去のライブ映像を見返すなどしながら兵役期間が終わるのを待つことを、最近では「待ち活」とも呼ぶそうです。
12日付の毎日新聞は、そうした「待ち活」で韓国語を独学で学んだり、入隊者の家族らが使うための専用アプリをダウンロードしてJINの所属部隊の活動や日々の食事(!)をチェックしていたという女性の話を紹介していました。
そして、この女性は、朝鮮半島の緊張に関するニュースも意識するようになったといいます。
我が子を兵役に送り出した韓国の母親と同じ心境ですね。
北「汚物風船」vs南「宣伝放送」
北朝鮮による「汚物風船」飛ばし、6月2日にいったんは金強一(キム・ガンイル)国防次官が談話を出して「韓国の連中に、散布された紙屑 を拾い集めるのがどんなに気持ち悪くて多大な手間がかかるかを十分に体験させた」とドヤ顔をみせたうえで「とりあえずここで中止する」と表明しました。
しかし、韓国の脱北者団体が6日に北朝鮮に向けてまたビラを飛ばすと、北朝鮮も8日に「汚物風船」飛ばしも再開させたのです。ソウルなどでは、車のフロントガラスが割れるといった被害まで出始めています。
北朝鮮の低俗な振る舞いに業を煮やした尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、伝家の宝刀を抜きました。軍事境界線沿いの大型スピーカーから各種の放送を流して前線の北朝鮮軍兵士らを揺さぶる「宣伝放送」の再開です。
なぜこれを私が「伝家の宝刀」と紹介したかというと、韓国からの先制的な軍事攻撃はあり得ない中、この宣伝放送が最も効く攻め手なのです。実際、この放送で流されたK-POPを聴くうちに韓国への憧れが抑えきれなくなって脱北した兵士たちもいます。今回、BTSのヒット曲"Dynamite"や"Butter"も流されたということです。
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