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おすすめ本:「ビジョンとともに働くということ」

就労支援をする上で企業やビジネスのこともちゃんと知らないといけない、と思って利用しているのがNewsPicks。サイト内によく登場するのが山口周さんです。お名前は前から知っていたものの、ちゃんと書籍を読んだことがなく、年末年始の休みを使って本書を読んでみました。

もう一人の著者、中川淳(中川政七)さんは、創業300年、奈良にある小さな老舗を全国規模に成長させた中川政七商店の会長で、社長時代に「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げられました。先ほどの山口周さんは独立研究者、著作家でありながら、中川政七商店の社外取締役でもあります(実は、中川政七商店のことも本書で初めて知りました)。

本書は、そんな二人の対談が書籍化されたものでとても読みやすくなっています。話し言葉の文書はスッと自分の中に入り込んできますね。

「ビジョンとはなにか?」
対談の内容は、一貫してこのテーマです。

ものづくりの価値基準はこれから、「役に立つ」より「意味がある」のほうへ大きく変わると言う中川さん。日本の工芸品の出荷額は、1980年の5,400億から最近の数字では900億に落ちているようで、自社を取り巻く外部環境のことも交えながら、
・なぜビジョンが大切なのか
・今、ビジョンに求められること
・ビジョンとは何か
について、分かりやすく話が進んでいきます。

ビジョンが重要である理由は、「会社の存在意義」「会社の力」「ブランド価値の時代変遷」「経営が楽になる」の4点。山口さんは、「求心力をつくる」という言葉で表現され、対談は盛り上がっていきます。

ただ、この後では、「ビジョンと事業の整合性」の話に移っていき、ビジョンの現実にどう落とし込んでいくかの難しさが語られています。

ここでは共有できないので読んでのお楽しみになりますが、本書では「日本の工芸を元気にする!」をどのようにして現実に落とし込んでいくかも図示されています。シンプルな図でビジョンを分解して定義づけされていて、これを見ると、自分の法人のビジョン、事業所単位で作ったビジョンや行動指針についても、スタッフみんなで話し合って具体的に言語化することに意味があると感じました。

本書を読み、ビジョンの奥深さを改めて感じます。そこがまた面白い。「WILL」「CAN」「MUST」の重なるところにビジョンがあり、長い時間軸のなかでブレないビジョンにする。ここがポイントのようです。

僕が所属する社会福祉法人北摂杉の子会は「地域に生きる」が法人理念。法人が設立されて25年経ちますが、ブレることなく、今も最上位の概念です。そして、今年度から始まった第5次5カ年中期計画は5つのビジョンで構成されています。
・杉の子マインドの浸透
・地域と共に
・suginoko brandの確立
・多様な働き方
・みんなでつくる法人

ビジョンをどのようにして現実に落とし込み、どんな事業でビジョンの実現を目指すのか。本書にたくさん書かれた中川政七商店の取り組みは、とても参考になります。「ビジョンとともに働くこと」は、これからも大切にしていきたい一冊です。

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