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ピカブイ感想:このゲームは誰向けなのか?

 どうも、S(h)inと申します。

 2021年のGW、新しいゲームというよりは「今まで終わらせていなかったゲームにケリをつける」ことを目指して『ポケットモンスター Let's Go! イーブイ』をクリアしました。本記事はその感想文です。

1.そもそもどんなゲームか


 感想に入る前に軽く『ピカブイ』ってどんなゲームだっけ?って人向けの説明をさせていただきます。1998年に発売された『ポケットモンスター ピカチュウ』をSwitchでリメイクしたのが『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』になります。

 リメイク元とは違って看板ポケモンはピカチュウとイーブイの2匹になっていて、物語の初めに彼らと運命的な出会いを果たし、そこからカントー地方を舞台とした冒険を繰り広げるというのが基本内容です。

 なのですが、本作はポケットモンスターシリーズの既プレイ者から少々不評を受けています。せっかく初代ポケモン(のマイナーチェンジ版)のリメイクで懐かしむ部分も多いだろうに、なぜだろう。でも、そういう問題点って実際にゲーム触ってみないと分からないじゃん!ってことで、勢いに任せてプレイしてみました。なお、私がプレイしたのはイーブイ版です。

2.ゲーム始める段階から問題が

 そんなこんなでゲームを開始…した段階でまず「使用するコントローラー」について聞かれます。そこでは、Joy-Conの左右それぞれに加えて本作に連動するコントローラー「モンスターボール Plus」、そして携帯モードの計4つが選択肢になっています。

 ここで私は最初にSwichを「TVモード」でプレイしようとしていたのですが、その場合は選択肢が「Joy-Conの左」、「右」、「モンスターボール Plus」の3択になりました。

 え、コントローラー片手限定?

 そうなんですね。携帯モードでない場合、このゲームは片手での操作しかさせてもらえません。おそらくですが、Joy-Conを分けることで行う2人プレイを可能にするにあたってこのような仕様になってしまったと考えられます。そういう事情を分かりはしましたが、それでも単純に片手のボタンだけで操作するのって疲れてしまうのでプレイ開始して少ししたらすぐに携帯モードでの操作に切り替えました。結果大きな画面でプレイした経験がほとんどないですね…

3.捕獲システムとポケモンGO

 さて、やはりポケットモンスターシリーズでの醍醐味の1つは「ポケモン図鑑完成」を目指すことだと思いますが、本作でもそれは何ら変わりません。が、捕獲方法は従来シリーズと異なります。

 まず、野生ポケモンとエンカウントすると戦闘にならず、即座にボール投げの画面に入ります。次に、好きなボールを選んで投げ、捕まるかどうかのワクワクタイムを経ての捕獲となります。えー、これはプレイしている方ならわかるかと思いますが「ポケモンGO」における捕獲手順をなぞったものになっています。ここが本作の一番の売りのはずであり、一番の問題点だと思います。

 なぜ捕獲方法が従来の「戦闘で弱らせてから捕まえる」ではないのか。それはズバリ「ポケモンGOからメインタイトルシリーズへの顧客流入を狙っているため」でしょう。最新作の「ソード・シールド」が発売されているポケモンのメインシリーズのプレイヤー年齢層が低めなのに対し、「ポケモンGO」は健康目的でお年寄りまで遊んでおり、プレイヤー層があまり被りません。そこで、捕獲システムを「ポケモンGO」に寄せながら、最もオーソドックスな内容である「カントーの旅」をしてもらうことで「ポケモンGOプレイヤーにとっての本編への入り口」となるように本作が作られていると考えられます。

 が、そうなってくると、この「捕獲シーン」はポケモンGOに忠実でなければいけないはずなのに、何故かちょこちょこと仕様が違います。ざっと挙げてみると、この辺が異なりますね。

・カーブボールの概念がピカブイにはない
・ピカブイでは捕獲時の円のサイズがボールを投げた時に止まらない
・ボールヒット時の「Nice!」「Great!!」「Excellent!!!」の位置が異なり、ピカブイの方が全体的に狭い
・ポケモンGOは捕まえたボールが3回揺れた段階で「捕獲成功」だが、ピカブイは3回揺れた後の最後の判定で決定する

 最後のボールの判定タイミングは原作通りなんですが、それ以外は元となる「ポケモンGO」のシステムを参考にしているはずにも関わらず上記のような差異があります。「別のゲームとしての遊びを提供したかった」という意図も考えられますが、じゃあ内容をポケモンGOに寄せる意味がないので何ともどっちつかずですね。これに加えて前述のコントローラー制限もあるので、ポケモンGOから流入したプレイヤーは「スイスイできていたはずの捕獲がやたら難しい」と感じてしまうかと思われます。

4.捕獲率とモチベーション

 そもそも、根本的に本作は「やたら捕獲率が低い」です。特に対象のレベルに応じた「捕獲しづらさの上昇幅」が高く設定されており、序盤に会えて捕まえやすかったポケモンが後半のダンジョンで出会うと全然捕まらない、といった問題が発生します。「Excellent!!!」って表示されながらも捕まらないなどもよくあり「お前はポケモンGOの伝説のポケモンか何かか!?」って感じになります。流石に疑問と思った人も多かったのか、Googleの検索候補に「おかしい」が挙がっています。

 単純にこれは「捕獲」という本作の売りへのモチベーションを低下させる大きな問題です。しかし、過去作の「野生戦闘」が全てこれに置き換わっているので、捕獲を避けると本編内でレベルアップに必要な経験値を獲得する機会が「トレーナー戦闘」のみになってしまいます。全部のトレーナーと積極的な戦闘を行えばゲーム進行上の経験値はギリ足りるかな、といった具合なのでこのゲームにおいて「捕獲」から逃げることはできません。で、いざ実際捕獲をやってみると「捕獲率が低くて捕まえづらい」に話が戻ってしまいます。とうとうゲーム自体のモチベが危ぶまれます。

 じゃあ、その捕獲率を上げる方法はないのか、というと、どれも微妙な手段ばかりです。1つ目は、シンプルにボールを変えること。通常のモンスターボールからハイパーボールに変えれば捕まえやすいですね、みたいな話なんですが、中盤~終盤あたりではこの捕獲率上昇は頭打ちになります。
 2つ目はズリのみをポケモンに与えること。ただし木の実は道中にたまに落ちているものを拾うか、ポケモンを捕まえた際に副産物として貰うしかなく、購入などができません。いや買わせてくれよと。
 3つ目は捕獲時の円に対してタイミングよく投げること。ボールヒット時に「Nice!」「Great!!」「Excellent!!!」って出るやつのことですが、慣れてないと出しにくく、結構神経を使うので決して手軽ではないですね。
 4つ目なんですが、同じポケモンの累計捕獲数に応じて捕獲率に+の補正がかかるので、それを狙うことですね。でも、「このポケモン捕まえづらい」って言ってる人に「そいついっぱい捕まえたら捕まえやすくなるよ」は意味不明ですね。ちなみにこの補正、累計捕獲100匹を超えると急激に上がります。(前述の検索候補にある100匹はそれを指しています)

 これらを踏まえた結果として、「売りでありゲームの中心でもある捕獲があまり楽しくない」という致命的な問題を抱えているのが本作です。これは、私もプレイ前から聞いていた評判なのですが、実際にやってみると本当にモチベーションに響きます。GWを使い「終わらせるぞ!」という意思を持ってようやくゲームクリアになるくらいでした。

5.シリーズ既プレイヤー視点では

 ここまで、だいぶポケモンGOプレイヤー視点で話を進めてしまいました。ですが、それ以外にも「現行ハードでのカントーを冒険してみたい」とか「ピカチュウ・イーブイとの触れ合いを楽しみたい」などの理由でメインシリーズの既プレイヤーもこのゲームに触ると思うんですよね。

 そういう人にはどう感じるか考えたんですが、やはり「野生戦闘」が「捕獲」に変っている部分が引っかかると思います。従来の仕様から変わってポケモンGOの要素を強要され続ける、というだけならいいんですが肝心のその捕獲があまり楽しくないので、「これならいつも通りのシステムでリメイクして欲しかった」ってなっちゃうんじゃないかなと。

 じゃあ、他の従来通りだった部分はどうだったかという話なんですが、それがまあまあよく出来ています。ストーリーはリメイク元から大きい変化がないので「外れがない」感じですし、キャラクターはライバルを筆頭にそこまで違和感なく描写できてました。

 特に戦闘バランスに関しては殿堂入り前までの出来がよく、なかなか楽しめます。相手のベトベトンが「どくどく」、「まもる」、「ちいさくなる」の構成で来たとか、ライバルなどが不利対面でポケモン交代をするといった各種戦術の面で楽しめたのは評価点でしたね。適正レベルを守ればほんと白熱した戦いで遊べます。

 また、個人的にいつもゲームを買った際に注目している音楽面はどれも「王道アレンジ」という感じで無理に尖っていない、原作尊重度の高いものばかりでした。これは癖の強いアレンジで知られる『ファイアレッド・リーフグリーン』の楽曲ファンには少々拍子抜けかもしれませんが、今回の作風にはこちらの方があっているなと感じました。

演出面では大きなポケモンとの戦闘時に体格差が出るのも嬉しい

 こういった捕獲以外の部分のまあまあな出来が「惜しいリメイク」な感じをより醸し出します。結果として「やっぱり無理にポケモンGOの要素入れなくてもよかったのに」と感じさせてしまいますし、この捕獲シーンの悪印象のせいで「シリーズ既プレイヤーをポケモンGOに流入させる」といった点も難しいです。

6.まとめ

 以上が今回私が『ピカブイ』をプレイした際に感じたことから思った感想です。本当にやりながら「このゲームのターゲットは誰なの?」って感じ続けてました。その根幹にある問題はやっぱり捕獲が楽しくないことにあるんですよね。

 ただ、看板になってるピカチュウ・イーブイとの触れ合い要素に関しては良かったと思います。私はイーブイに対して特別好意を抱いていませんでしたが、少なくとも「嫌いになるほどのしつこい推し方」はされてなかったと思います。それでいて、看板としての役割を果たす活躍はしっかり見せてくれますので、それ目当てで買う人には幸せな作品のはずです。

普段の作品じゃ見られない眼鏡イーブイとかもできます

 正直賛否両論点はまだいくつもあるのですが、話の軸がぶれるので割愛させて頂きます。とりあえず図鑑完成+裏ボスの撃破までの総プレイ40時間で感じたのは「テストプレイやった?」ってことです。磨けばいいゲームになりそうなのに磨き足りないぞ?という一品なのでまだ購入してなくて買うか悩んでるレベルの人にはあまりお勧めしません。親御さんも安易には買わないでね!

 それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。また、別の記事でお会いできればと思います。


画像出典

[『ポケットモンスター Let's Go! イーブイ』のスクリーンショット]
Swich本体機能で自ら撮影

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