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今更に『聖戦の系譜』をやってみた:後編

 どうもどうも、S(h)inと申します。

 こちらは『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』のプレイ感想記事です。作品のネタバレになる部分が内容に含まれています。本作は未プレイ者にとってネタバレの影響が大きいの作品なので、そういった部分をご理解の上で読んでいただきたく思います。

 また、こちらの記事は「後編」になります。読んでいただけるなら是非「前編」からどうぞ。

1.プレイ感想:子世代編

1.1.ストーリー雑感

 主人公セリスを中心として、「帝国の支配からユグドラル大陸を救うこと」を目標に話が展開されていく子世代編。各々が望む復讐・かたき討ちを遂げるなど報われる場面がある一方で、この相手との戦いは必要なのかと疑念を抱きながらも進まねばならない場面もあり、単なる逆転劇一辺倒ではないように作られてあったのが良かったと思います。

レヴィンの台詞はセリスを通じてプレイヤーに訴えるものが多かった気がする

 ただ、行動方針がレヴィンの助言で決定する場面が多く、セリスから神輿っぽさが感じられて、話の流れにノれない場面もありました。これは大人のシグルドと子供のセリスで出てくる当然の違いではあるのですが、やはり主人公が受け身がちにストーリーが進む部分は少し面白みに欠けるかなと思います。

 まぁでも単純に親世代で果たせなかったことが次々成就していくところは嬉しかったです。シグルド・キュアン・エルトシャンの3人の息子が同じ解放軍に集い戦ってくれることとか、離れ離れになってしまったリーフとアルテナが無事再会できたことなどがやっぱり印象深かったですね。

 そんなストーリー周りで特に語りたいのはやはり終章なのですが、これはゲームシステム全てひっくるめて語りたいので、別途後回しにさせて頂きます。

1.2.セリスのスペック

 さて、ストーリーについてから子世代編の話をしていましたが、実際にプレイ開始後一番最初に受けた衝撃はそこではありませんでした。

セリス歩行ユニット???
このユグドラル大陸舞台に城を制圧して回る主人公が???
歩行ユニットって正気なんですか?????

 もう子世代編はこれに尽きます。大事な行脚のお仕事があるユニットの移動マス数が6歩ってなんの冗談なんだと。せめて下級騎馬職が妥当でしょうが!
 これが本当に子世代序盤のワクワクしていた私からモチベを削った要因の1つでした。一番このゲームで重要視されている部分が、今までの主人公シグルドから大幅に劣化しているのは本当に堪えました。

 持っている武器は親のシグルドから継いでいるため戦闘で苦戦することはそうなかったのですが、騎馬でないため再移動による位置調整ができないのはつらいつらい。

 なお解決策の1つである「レッグリング」はラケシスからナンナに継がれていたのでしばらく入手不可能でしたし、ナンナ加入後もお金が足りないとセリスへ譲渡できないのでかなりの期間を悪戦苦闘することに。
 第2の手段としてセリスのクラスチェンジで騎馬に乗らせることができますが、それまでは歩兵で動きづらい上に制圧の仕事があるためレベリングの余裕がなく、結局転職したのは終章序盤でした。

ここまで来れば強いけど、本当に育てる余裕がなかった

1.3.他の子世代ユニット

 さて、セリスの話はこれくらいにして他の子世代ユニットについて語りたいのですが、「前編」でお話した通り、初見の私には有名キャラ以外の子世代についての知識がありません。有名の基準は執筆段階で『ヒーローズ』に実装されているキャラ、くらいに考えて頂いて大丈夫です。

 で、顔と名前が分からないとどうなるかというと、第六章開始段階から「このキャラ誰の子供でしょう?クイズ」が始まるわけです。ラクチェ・スカサハは分かりやすいけど…ラナさんって誰の子なんですか!?からスタートです。血筋見れば分かるじゃんと言われればそうなんですけど。
 子供の親の推定には引き継がれたアイテムも鍵となります。レスター君はマジックリングとシールドリング抱えてるからアゼルの息子かぁ、みたいな感じ。


 ん?魔法職の息子が騎馬弓やってるんですか!?

開始早々、ひどいことになったぞ…

 レスターの一件は「ネタバレを避けるための極力初見プレイ」がものの見事に牙をむき始めたことを実感した瞬間でした。最初にさらっと流したラクチェとスカサハの2名も流星剣と太陽剣(同時発動しない)を両所持する面白ユニットになってしまっていたりで開幕からやっちまった感たっぷり。
 親関連の失敗で一番厳しかったのが「追撃無し・怒り一本勝負」のアーサー&ティニーでした。親世代編で扱いづらかったティルテュが増殖したようなもんですよコレ。本当に扱いようがなくて、いつも戦列を後ろから追いかけるだけのユニットになってしまいました。ごめん。

 一方で、作中でオススメ感をにおわせていたカップルの子供は期待通りの仕事ができるユニットになっており助かりました。レヴィンが親のセティとか、ジャムカが親のファバルなどがいい例だと思います。どちらも神器パワーに高水準ステータスを併せ持つ強ユニットとして生まれてきてくれて助かりました。

1.4.子世代を支えたキャラ

 私の組み合わせたカップルから生まれた子供たちはスペックに大きな差ができてしまい、戦力として歪な形です。こうなってしまった以上「結成カップルに依存しないユニット」の活躍に全てを賭けるしかありません。

 第六章でとうとう操作可能ユニットとして登場したオイフェはシリーズプレイヤーから見ればジェイガン枠としか思えませんでした。が、思った以上にまともな成長をする上、ちゃんと馬に乗っているためとにかく便利。削りによるサポートもできて終始頼りになりました。

 同じく第六章で「ヨハン」と「ヨハルヴァ」の説得場面がありますが、迷わず騎馬に乗っているヨハンを選択。そのまま戦闘で回収した勇者の斧をひっさげて戦場をかけずり回ってもらいました。想像以上の活躍に感動したため、お望み通りラクチェとくっ付けてあげました。

終章で会話も聞けて良かった

 それ以外では、神器によるパワープレイでなんとでもなるシャナン・アレス、親世代から続投して強さに陰りのないフィンなどが便利でしたね。カップルの内容が多少アレでも大丈夫なようにできているシステムに助けられたって気分です。

1.5.「神器ゲー」の意味

 思ったよりユニット周りがどうにか戦える内容だったのですが、子世代編はとにかく相手が強い。その代わりこちらのユニットにも「神器継承者」が増えており、どこの戦場でも引っ張りだこです。

 あれ、なんか思ってたのと違うな?

 プレイ前から「聖戦は神器ゲー」とは聞いていたんですが、どちらかというと『白夜』における雷神刀リョウマみたいな「神器持ちが無双できる」みたいな話にとらえていました。
 全然違うじゃん。「神器持ち」を中心にゲームバランスが組まれているせいで一般ユニットに活躍を回すのが難しい作りになってる。「神器ゲー」ってこういうことなの!?

 特に城に籠っていたり、軍勢を引き連れている敵将はもれなくクソ強いので対処に神器持ち+育っているユニットしか使えません。もっぱらそういう戦いにはアレクに頑張ってもらっていました。

アルヴィス撃破もアレク以外不可能だった

1.6.育成の難しさ

 神器持ちがいくら強くとも、他のユニットも育てないと軍全体の戦力が低下してしまいます。そのため、敵の一般ユニットを撃破させてみようと試みますが、子世代にもなればその辺の敵でさえ「雑魚」ではないんですよね。
 特に物理ユニット育成のために柔らかそうな魔法職を殴ろう、とか考えても一般敵が「ヨツムンガンド」とか平気で持ってるので、最低でもこれを耐えないと経験値もらえません。仕方なく、「神器はないけど基礎スぺで対抗できる」ユニットがこういった敵を倒して成長していきます。

 そのため、私のプレイではこんな感じにユニットの成長傾向が分かれてしまいました。育成できなかった面々、ごめんよ。

  • 神器持ち ~ 経験値を吸いまくり強くなる(例:アレス)

  • 高スぺ ~ 露払いとかなら任せられる(例:デルムッド)

  • その他 ~ 余裕がないので前線の後ろに常駐(例:リーフ)

 こうなってしまった要因の1つに「稼ぎプレイをしなかった」というのはあります。いや、厳密には「できなかった」んですけど。

 初見なので「敵の隊長だけ残して補充する部下でレベリングする」やつに関しては、どの隊長がそういうことするのか知らないのでどうしようもなかったです。1度だけ隊長を残してみたことがありましたが、引き返さずにこちらのユニットを潰しやがったので、以降は試してないです。
 また、闘技場については『暗黒竜』、『紋章』の仕様しか記憶にないので「あんな雑にユニットロストする施設使ってられるか」との思いで積極利用はしませんでした。これは本作の「別にロストはない」という仕様を調べなかったのが敗因でした。

 それらひっくるめて、子世代編の軍は戦力に大きな偏りを持ったまま進んでいってしまいました。この状況は進めていく上でつらいなと思いつつ、それを修正できないところがよりつらかったです。

2.終章

 どうにか、そんな凸凹ユニットたちを引き連れて、終章までたどり着きました。こういう物語の最後ってやはり期待感が高まるものじゃないですか。

私、聖戦の系譜において終章が一番面白くなかったんですけど。

 ちょっと具体的な話をしていきますね。

2.1.ストーリー 

ここまでは最終決戦感ある

 最初に思ったのが、敵の精鋭騎士団が温存されていた、とする割に各個撃破させてくれるの?というところ。今までの章と変わらず、因縁のある相手がご丁寧に少しずつ出てくる話の流れがうーん、という感じ。そもそも、最終決戦が長いというのが「ゲーム的にだれる」とは思いました。

 また、城を落とすごとに発生するレヴィンによる説明台詞が多い。そういった伝承にまつわる知識の公開は早めにしてもらいたかったです。勝利を掴むことを目指しているプレイヤーとしては「その話、今なの?」、「勢いよく、気持ちよく進軍させてくれよ」と思っていました。

 後は肝心なユリア関連の話が、どうにかならなかったですかね。そもそも、親世代編のディアドラに引き続いて同じように誘拐されていく場面の時点からツッコミどころはあったのですが、なんか話の持って行き方がずさんなんですよね。
 ロプト教団はさっさと処刑すればいいだけなのに、なんか洗脳やってるの馬鹿じゃないんですか。親世代がやられた黒幕の最後にやることがコレって、情けないじゃないですか。

 この辺が終始頭によぎっていたせいで、なんか話にノって行けませんでした。

2.2.敵勢力のバランス

 物語の最後だし、当然敵も精鋭揃いで苦戦を強いられました。

 が、各騎士団が直に兵を率いてるせいで、城の守りを教団のコピペ司祭が守っているのはどうなんでしょうか。しかも、この司祭を倒して城制圧すると進軍中の騎士団丸ごと消えるので、戦術的にそちらを優先した方がいい場面も出てきて、なんだかなと。

こちらのブリアンさん、先に城が落とされて消滅しました

 とはいえ、相手との正しい正面衝突シーンは捌き切るのが難しくも面白く、とても楽しかったです。特に、ユングヴィとフリージを同時に相手取る辺りは良かったですね。すごい回数を大盾で防がれて唖然とした場面もありましたが…

2.3.ラスボスとの決戦

 終章のラスボス、ユリウスとの戦い。これが本当に面白くなかった。

 周りにいる十二魔将はみんな強いユニットですが、釣りながらの各個撃破で安全に解体できました。すると、以降ユリウスを護衛するユニットは出てこなくなります。本人も高射程武器持ってるけど、その範囲に入らなきゃ何もしないので緊迫感がない。

 黒幕のマンフロイもヴェルトマーに攻め込んで解決。その後、ユリア説得とナーガの書回収にやたらターンを使い、その間に他のユニットは待ちぼうけ。

 いざユリアとユリウスの戦いが始まったと思えば、ほぼイベント戦闘で適宜ユリア側に回復を入れる以外にやることがない。その末にユリウスが倒れ、最後にバーハラを制圧して終了。

こんなつまんないラスボス戦ある?

 まぁラスボスがイベント戦闘になるってのはゲームでよくあることです。しかし、その間に主要人物以外は棒立ちで、ただクリアに向けた作業を進めるというのはなんとも言えない気分になりました。

ユリアが育っておらず、撃破まで時間がかかったのも悪かったかなぁ

3.聖戦の系譜を終えて

 独特の仕様に悪戦苦闘しながらも、どうにかゲームエンドを迎えることができました。正直何回リセットしたかは覚えてないです。

実プレイ時間は72時間くらいでした

 感想をまとめますと「激動の展開を見せるストーリーと他では体験できないシステムが良かったが、子世代あたりからバランスがおかしくなり、特に終章は話を含めて引っかかる点が多くて締まらなかった」というところ。

 ただ、「初見だと躓くが、2周目以降ならコツがつかめて楽しくプレイできるだろうと思われる要素が多く感じた」というのもあります。カップリングもそうですし、地形や兵種、各種仕様などは知識の有無が大きくプレイ感に影響すると思います。そういう意味で「初見でこのゲームをフルに楽しむ」ということ自体が難しかったのかなと思います。

 あー、後は「完全に屋外戦闘のみ」というマップ構成。プレイ開始前から覚悟はしていたのですが、中盤以降は「やっぱ屋内戦闘もやりたい…」と思ってしまうくらいには寂しかったです。近年の作品が飽きさせないように屋外と屋内のバランスよく、ギミック多めな理由がよく分かった気がします。

 まぁいろいろありましたが、『紋章』の次のシリーズ作品としてこれほどクオリティの高い作品が出てきたのは、当時として驚きだったことが想像に難くありません。それくらいシリーズの進化とターニングポイントとなった作品であることを感じるとともに、それをプレイできたことに喜ばしく思います。

4.こぼれ話:音楽

 ああ!ゲームのシステムやストーリーの話ばっかりで大切な要素、作中音楽の話を忘れてました。今作の特徴と言えば各章に固有のBGMが存在していおり聴きどころ盛りだくさん。作品全体の音楽の評価が高いことでも有名です。と言っても、聴いていた余裕があったのは主に親世代なんですよね。子世代編はプレイに手一杯だったので。

 中でも、多くの人気を集める「アグストリアの動乱」は本当に名曲でしたね。あの悲しくも決意を秘めて進むような曲調はとても似合っていたし、戦略を考えているときに聴いていて心地よかったです。

 変わったところだと、「城下町シレジア」もいい曲だったと思います。同じマップのフィールド曲「空に舞う」と同じくスレイベルを用いて雪国っぽさを出してはいますが、優しい管楽器の音色と穏やかな3拍子によって、とても癒されます。

5.おわりに

 よし!これで忘れ物なしのはず!以上で感想の出力は終わりです!
 どうしても内容が濃いため、当初予定してはいなかった前後編にまでなってしまいました。いやぁ長かった。本当にここまで読んで下さった方々、ありがとうございました。またどこかの記事でお会いできるのを楽しみにしております。

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