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私にとっての健康リテラシー

健康リテラシーと言う言葉が最近、少しずつ広がってきているような感じがします。

■『自身を守り家族を守る医療リテラシー読本』松村むつみ著(医師・医療ジャーナリスト)

■『健康・医療情報の見極め方・向き合い方』大野智著(医師)


ま、どちらも医者が書いた本で、当然、EBMという方向から「正しい医療」というものを伝えています。
EBMとはEvidence-Based Medicineの頭文字を とったもの。
いわゆるエビデンスに基づく科学的医療、のことです。

情報を得るのは、公的機関・かかりつけ医・薬剤師から、
また、病気の治療法ガイドラインは、
・厚労省の委託機関、
・「公益財団法人日本医療機能評価機構」の運営する、Minds(EBM普及推進事業)
を推奨しています。

それ以外の情報は、ガセネタだと言わんばかりです。

このMindsというサイト、始めて知ったのですが、なかなか、詳しくガイドラインを網羅しています。本来は医師向けのガイドラインだそうですが、中に「患者・市民のみなさまへ」というコーナーがあります。

そこにこんなPDFがありました。

「診療ガイドライン作成への患者・市民の参加」の基本的な考え方(2016年11月)


この基本的な考え方では、診療ガイドラインを「患者の価値観・希望と医療者の医学的判断に基づいた意思決定のための推奨を提示する文書」としています。(引用)


患者の価値観・希望というおよそEBMに似合わない言葉が出てきてビックリしました。
これは、診療ガイドラインに患者や市民の声を取り入れるべきだ、という国際的な流れから来ているようです。
しかし、基本的に「科学的」であろうとするEBMと、患者という個人の価値観・希望などはどうやってマッチングするのか、はなはだ疑問です。

例えば乳がんなどの場合、生存か乳房温存かどちらを重視するかという統計をとり、一般的傾向や多様性を見る、という例が上がっていましたが、患者間の多様性が多い場合は、一方を強く推奨するのではなく、患者と医療者の話し合いによる意思決定を重視した「弱い推奨」が提示されると、ありました。

そんな難しい言い方をしなくても、要するに、治療法をどうするかを患者さんの価値観や希望をしっかり聞いたうえで決めよう、ということですよね。

つまり、インフォームドコンセントをしっかりしろ、ということ。


それはともかく、健康リテラシーに話を戻しますと、

(このインフォームドコンセントを)理解するには、人間の体や医療についての基本的な知識が役立ちます。その上で「治療の選択肢のメリットとデメリットを比較し、理解する」と言う能力が重要になります。

『自分を守り家族を~』のはじめに、から引用


まさにそうだと思います。
リテラシーの力を上げるには最低限の知識は必要です。

しかし、大事なことは、専門家的知識の泥沼に入り込まない、ということです。
知識の量で比べたら、専門家をしのぐことは不可能だし、その必要もありません。

私たちは、自分の体の専門家ではあって、医療の専門家になる必要はないからです。

医療が扱うのはどこまで行っても、「物質」です。エビデンスとは科学的方法、つまりその対象物は、「計測可能な物質」だ、ということです。

でも私たち は、心や精神を持った計測不可能な、トータルな人間なのです。

私たちの方が、医療より大きいのです。
医療は私たちのほんの一部にすぎません。肉体が私たちの一部に過ぎないように。

それを忘れないようにしたいものです。

もちろん、人間は肉体が全てで、それ以外のものはない、と考える人にとっては医療が全 てかもしれません。


医療者ではない、一人の人間として、リテラシーのあり方を打ち出していきたいと、私は、今、強くそう思っています。

まだ、だれも言い出していないようなので・・・。

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