見出し画像

西城秀樹さんのセルフカバーアルバム「LIFE WORK」の収録曲を原曲と比較して全曲レビュー

今回は西城秀樹さんのセルフカバーアルバム「LIFE WORK」をセルフカバー前の原曲と比較して1曲ずつレビューしていきたいと思います。

秀樹さんは結構セルフカバーアルバムをリリースされている方なのですが、このアルバムの収録曲のアレンジは秀樹さんのバンドで長くギターを務められていた芳野藤丸さんが担当されているので、その点でも人気のアルバムです。

むしろ、「Bailamos」以外のリメイクアルバムの中では、一番原曲をアレンジしているアルバムになると思うのですが、その分藤丸さんからもとの編曲者へのリスペクトも感じるようなアレンジになっています。

何ならこのアルバムは、今かなりプレミアがついていて値段がかなり跳ね上がっています、、、

レコーディングメンバーも渡辺直樹さんや岡本郭男さんなどAORファンにはお馴染みのミュージシャンが参加されています。

それでは全曲レビューに移りたいと思います!

参考アルバム:LIFE WORK



①ギャランドゥ

原曲は大谷和夫さんの作る複雑なフレーズのギター主体のアップテンポロックですが、このアルバムのver.は、「これぞ芳野藤丸!」という雰囲気のブラスとファンクギター主体のアレンジが施されています。
どこか藤丸さんがお好きなサンタナの要素も感じさせます。

余談ですが、藤丸さんが秀樹さん亡き後に秀樹さんへのリスペクトを込めて「ギャランドゥ」を演奏される際はいつもこのLIFE WORKのアレンジで演奏されます。
発売当時のツアーやテレビ番組、最近の秀樹さんのLIVE「THE 50」などでもこのアレンジで演奏されていますね。

②激しい恋

余り原曲からの大きな変化はありませんが、やはりブラスの主張などでファンク色が強くなっていたり、随所のフレーズが藤丸さんを感じさせるフレーズに変わっていたりします。
円熟味を帯びた秀樹さんの歌声、ギターの藤丸さん色が最高ですね。

③YOUNG MAN

この「YOUNG MAN」はシンセのフレーズのループから原曲のブラスによるイントロが始まり、曲が始まってからもシンセのフレーズがずっと流れっぱなしというアップテンポアレンジになっています。

藤丸さんはAB'Sの曲やソロの曲などで結構フレーズのループを使った曲を作る傾向があるのですが、このYOUNG MANもその作りに近いです。キメのドラムやブラスのフレーズは藤丸さん色が強いですね。

サビ前のブラスのゴリ押しの部分がブラスによるフレーズになっているところや、間奏にラップが入っているところ、最後ゴスペルのようになるところなどはこの藤丸さんのアレンジならではです。
掛け合いの部分は秀樹さんの持ち味である力強さを感じます。

ただ個人的に藤丸さんは大谷さんがアレンジした原曲のアレンジを凄い尊重してアレンジされているように思えますね。

④青春に賭けよう

最初から藤丸さんのAORギターを全面に出したAORカントリーのような雰囲気でアレンジされていますね。
よく聴くと裏で物凄いギターが鳴っています。各パートのフレーズも動きまくっています。
そこに力強いドラムが最高です。このドラムは岡本さんかな?

落ちサビはドゥーワップ風になっていたりして非常に面白いアレンジになっています。
それでも原曲の雰囲気は崩れていないのが良いですね。
最後のフェイクは藤丸さん御本人の声?

⑤ブーツを脱いで朝食を

主体の音がエレキのカッティングとリードギターからアコースティックギターになっています。
原曲はブラスが無くてストリングスが主体でしたが、このアレンジではストリングスのフレーズがブラスとシンセストリングスに変わっていますね。

サビ前のギターはもしかしたらクラシックギターとかスパニッシュギターとかそっち系のギターかな?いやシンセギターかもしれない。

結果物凄く雄大さを感じさせるアレンジに仕上がっています。
秀樹さんの歌唱力が上がり過ぎてほぼ別曲のように感じますね、、

⑥炎

原曲はかなりフューチャーシンセとベースが主体で、サビ前までギターは「鳴ってるなー」くらいの印象だったのですが、このアレンジは「YOUNG MAN」と同じようにループのギターのフレーズが主体となっています。テンポも少し早くなっていますね。

他にもコーラスがガッツリ入っていたり、ブラスや色々な音色のシンセの音も入っていますね。原曲のソロはギターメインでしたが、このアレンジはキーボードソロ多めです。
僕は個人的に単音シンセの音によるキーボードソロが凄い好きです。

ラストのギターソロが藤丸さん全開で最高です。

⑦抱きしめてジルバ -Careless Whisper-

藤丸さんは凄いボサノバがお好きな方なので、かなり「ボサノバシティポップ」のようなアレンジになっていますね。夜の海岸を感じさせるような雰囲気ですね。テンポも少しゆっくりになっていますし。

ギターソロもボサノバギターソロで僕はこのアレンジ凄い好きです。サックスの音(フレーズは原曲のものをそのまま使っている気がします)やYAMAHA由来のシンセの音色も、曲のムードを引き立てています。

Dメロがめちゃめちゃ「藤丸さんのAOR」を感じますよね。
「抱きしめてジルバ」は「Careless Whisper」という原曲がありますが、やはり藤丸さんが洋楽をアレンジすると藤丸さんのものになりますよね。オシャレなフレーズが差し込まれたり。
これは「瞳の面影」の時もそう感じました。
アルバム内ではかなり原曲からの変化がある曲です。

⑧南十字星

原曲の激動な雰囲気を感じるストリングス中心のバンドアレンジから藤丸さんのアコースティックギターのサウンドを中心にシンセやバンドサウンド、コーラスを添えた形の「90年代バラード」調のアレンジになっています。勿論ストリングスも間奏などでしっかり使っています。

「藤丸さんが頭の中に思い描く南十字星ってこんな感じなのか!?」と驚かされました。
個人的に秀樹さんのボーカルも原曲よりこっちのほうが好みです。

⑨情熱の嵐

この曲は大幅にコード進行や曲調を変えています。
ギターと生ブラスが主体でアップテンポだった原曲と比べるとシンセブラスとピアノの音が主体となっています。キーボードソロがあったり、かなりシンセが多くなっていますね。

曲のテンポも少しゆっくりになって「若さの塊でエネルギッシュ」な原曲に比べると、少しジャズなどの「大人の雰囲気を感じる」情熱の嵐に仕上がっています。

⑩ブーメラン・ストリート

あまり原曲を大きく崩してはいないのですが、藤丸さんの刻みギターとソロギターが主体のバンドアレンジとなっており、「藤丸さんがギターメインでブーメラン・ストリートをアレンジしたらこんな感じなんだろうな」というものそのものになっています。
原曲にあったブーメランの音は無くなっています。

原曲に比べて秀樹さんの歌声が渋いですね。

⑪傷だらけのローラ

ギターやブラス、当時のフューチャーシンセと「純昭和歌謡」だった原曲に比べると、シンセの音色も新しい音を使ったり、カッコイイギターのフレーズを差し込んだり、生楽器とシンセのハイブリッドサウンドで「オシャレになっている」ような印象があります。

ただ原曲の方が若さというか疾走感がありますね。

⑫ナイト・ゲーム

この曲も割と疾走感がある生楽器サウンドだった原曲と比べると、8分刻みのベースや動き回るベース、ずっと鳴っているパーカッションや、ブラスサウンド、随所に差し込まれるオシャレなギターのフレーズなどで、完全に「藤丸さんのAOR"ナイト・ゲーム"」になっています。
テンポもゆっくりになっていますね。僕は原曲のシンセサウンドが好きだったのですが、無くなっていますね。

躍動的な原曲より、少し軽めな雰囲気が出ていて曲の解釈が結構変わってくると思います。

⑬ブルースカイブルー

ストリングスとブラスが全開な壮大な昭和歌謡だった原曲と比べるとピアノ中心の主旋律、大きく変えたコード進行に合わせたピアノサウンド、ガッツリコーラスが入っているなど「1997年のブルースカイブルー」になっている印象があります。最後の方は90年代っぽいシンセ多めだったり。

後半に藤丸さんのギターソロがあるのですが、イギリスのロックのギターソロを思わせるような凄まじいギターソロで、「この曲がアルバムの最後に来る意味」みたいなものが分かりました。


以上です!秀樹さんと藤丸さんのファンなら聴いても損はないと思います!おすすめです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?