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ザ・タイガース 同窓会の音楽性について語る

ザ・タイガースが「同窓会」と称して復活を遂げた1982年、とっくのとうにグループサウンズブームは過ぎているので、もしかしたら当時

"タイガースは復活したらどんな音楽をやるのか"

と思っていた人もいたのかもしれない。

ということで今回はザ・タイガース 同窓会の音楽性について解説していきたいと思います。


参考アルバム:THE TIGERS 1982


①シングル曲は"歌謡テクノ"っぽくなる

「十年ロマンス」以外のシングル曲は従来のギター、ベース、ドラム(あってもストリングスとかピアノとか)といったスタンダードな楽器を中心としたビートルズ調の"グループ・サウンズ"サウンドから、シンセサイザーの音を中心とした"テクノ"に近いサウンドへと大きく変化しています。
それこそ「銀河旅行」はゴリゴリにシンセがメインだし。

アルバム曲は生楽器中心ですが、シングル曲は結構シンセを多用しています。しかしめちゃめちゃテクノ寄りというわけでもないので、
僕は"歌謡テクノ"に近いものだと思っています。

あと恐らくこれは僕の予想なのですが、
もしかしたらタイガース運営陣が「タイガース復活してどんな曲調や音楽性で攻めよう…」って考えた時に

"今YMOやYMOメンバーが提供したテクノ系の曲が流行ってるからテクノ風にしちゃうか!"

となったのかもしれない。

ちょうど1982年という年代的にもそのあたり。

ただ間奏のソロパートや後述のアルバム曲は生楽器なので"要所要所では生楽器を大事にしている"ことが感じられます。

そもそもこの頃のタイガースは沢田さんとシローさんでタンバリンボーカルが2人いるし。

②曲はしっかりメンバー自身が書いてる

曲は初期のシングル等のプロデューサーが書く体制と違って、しっかりメンバーが作曲しています。

アルバムの全曲の編曲は基本すぎやまこういちさんと伊藤銀次さんだけど伊藤さんは結構生楽器系のアレンジをする方だからシンセを使ってアレンジするように頼まれたのかな?

洋楽調の曲はほぼ伊藤さんのアレンジだし。

ただ、すぎやまさんと伊藤さんの共同アレンジの曲(「新世界」、「野バラの誓い」、「朝焼けのカンカータ」「生きてることは素敵さ(かつみさん作曲)」)は結構"歌謡曲色"が強いので、そこはすぎやまさんがメインでアレンジされてるのかもしれない。

一番テクノな「銀河旅行」のアレンジは川島裕一さんという別の方がされています。


③アルバム曲、沢田さんや太郎さんの作曲した曲は結構1980年代初頭の海外のロックに近い音楽性のものもある

それこそグループサウンズ+80年代洋楽のようなものがあったり。

「抱擁」「BA-BA-BANG」「めちゃめちゃ陽気なバンドのテーマ」「LOOK UP IN THE SKY」あたりは当時のイギリスのロックに近いし、ちょっとビートルズの要素もあったりする。

ただその2人の書いた曲でもすぎやまさんと伊藤さんの共同アレンジになると歌謡曲色が強くなる。

④かつみさんの作曲は純フォークソングに近い生楽器中心のもの

かつみさん作曲の「時が窓を開けて」や「夢の街」は優しい純フォークソング調でサウンドもギター、ベース、ドラムとストリングスなど生楽器中心のもの。

結構かつみさんの色が強く出ているし、沢田さんや太郎さんと作る曲の方向性が違うことも読み取れる。



結論:

①シングルは「歌謡テクノ」に近い

②アルバム曲は沢田さんと太郎さん作曲の曲は「80年代初期洋楽+ビートルズ」

③かつみさん作曲の曲は「純フォークソング」

④曲は基本すぎやまこういちさんと伊藤銀次さんによる編曲であるが、2人の共同編曲になるとすぎやまさんがメインでアレンジをされているのか"歌謡曲色"が強くなる。

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