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SBD(Serendipity Books Dialogue)に参加してみた(後編)

SBDにご参加くださったコピーライターの蓑田雅之さんが、参加者の立場から書いてくださった体験記「SBDに参加してみた」後編になります。

前編はこちらからごらんください。▼▽▼▽▼


みんなで相談して“読みたい本”を選んでから読む、新しいスタイルの読書会「SBD(セレンディピティ・ブックス・ダイアローグ)」。前編では1回目の様子を紹介しましたが、今回は2回目にどんなことがあったのかを書いてみます。

1回目のワークショップから2週間の時を経て、同じ曜日の同じ時刻に、2回目のワークショップが開催されました。
この間に私はネット通販で課題図書を取り寄せて、ざっと目を通しておきました。

「読んだ」ではなく、「目を通した」といったのには、ワケがあります。正直いって、あまりピンと来なかったんですよね、この本に。
自分が本選びに参加していうのもなんですが、結構読むのに骨が折れました。

私たちのグループが選んだのは、「誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる」という本。

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もともと文字がぎっしりの書物は苦手なうえに、その本にはソーシャルイノベーションを起こしたさまざまな人たちの実例が延々とこと細かに載っていて、翻訳の文章ということもあり、途中で何度か挫折しかけました。

それでもなんとか読み切れたのは、待っている人がいてくれたからです。

待っている人、、、
それはもちろん、1回目のワークショップで一緒になったグループのメンバーです。
SBDでは、1回目と2回目を同じメンバーでワークするんですね。

前回、40分もの時をかけ、ああでもないこうでもないと熱く語り合い、一緒に本を選んだ仲間が待っています。内容が難しいからといって、途中で投げ出すわけにはいかないでしょう。

そういう心理も後押ししてくれて、この歯ごたえのある一冊をなんとか読み切ることができました。

それに、ちょっと楽しみだったんですね。この本をグループのみんながどんな風に読み解いてくるのかということが。

それを聞くためにも、自分も最後まで読んでおかなくちゃ。そんな心理も働きました。
ひとりぼっちで読んでいたら、たぶん途中で投げ出していたでしょうね(笑)。

さて、そういうわけでいよいよ2回目のワークショップが始まりました。
最初は画面に集まった全員で、1人1分ぐらいずつ、課題図書を読んだ後の感想を述べていきました。自分ひとりの読後感をみんなでシェアするという感じですね。

そして、前回と同じように、「いってらっしゃーい」のかけ声と共に、ブレイクアウトルームに飛んでいきました。

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画面に入ると、すでに顔なじみの人たちが揃っています。前回のワークショップでさんざん語りあった仲なので緊張はありません。

しかも、同じ課題図書を読んできているので、そこはかとない連帯感もあります。
そうして前回より10分多い50分という時をかけて、課題図書についてじっくり対話を交わしていきました。

2回目となる今回も、まんなかに据え置かれたのはセントラルクエスチョン。
「“見えない”時代を生き抜くために、私たちに必要な変化は何だろう?」
この問いについて、課題図書の内容と照らし合わせて語りあっていきます。

こうしてメンバーと話してみると、自分の読み方がいかに“ザル”であったかがよく分かります。

「○○ページにはこんな言葉があったよね」というひとことにハッとさせられたり。
「ラベルで物事を見ない」とか、「ジャズの即興に近い」とか、本の中にある大切なキーワードがばんばん会話にのぼってきます。

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まるでパズルの欠けたピースがはまっていくように、自分が読み落としていた部分が、他者との対話によって補われていきます。

前回同様、50分という時間があっという間に過ぎていきました。

今回も、話題はとりとめもなく広がっていきましたが、メンバーの中のおひとりが、広がった会話の風呂敷を上手に畳んでくれたので、なんとかグループの意見としてまとめられました。

そうして、全体画面で各グループの代表が対話の内容を報告し、2回にわたるSBDは終了しました。

面白かったのは、ワークが始まる前の読後感と、ワークを終えてからの読後感にかなりの変化があったということ。
いろんな人の見方や意見に触れることで、自分自身の本の見方も変わっていくのですね。

目次だけ見たとき→題名を知ったとき→1人で読んだ後→みんなで読んだ後。
それぞれの段階で1冊の同じ本に対する印象が変わってくるのも、SBDの醍醐味かもしれません。


「セレンディピティ」という言葉には、「偶然の出会いによってもたらされる幸運」とか「掘り出し物」みたいな意味があるそうです。

今回、この新しい読書会に参加してみて、私は2つの「セレンディピティ」を感じました。

ひとつは課題図書との偶然の出会いであり、もう一つはそれを一緒に読んだ仲間との出会いです。

課題図書については、私はたぶん本屋さんでこの本を見かけても、手に取ることもないでしょう。それぐらい、いまの自分とはかけ離れたところにある本です。

でも、実際に読んでみると、やっぱりいろいろな気づきや発見がありました。
そして、ちょっと読みづらいこの本を、みなさんの力を借りて最後まで読み通せたことに、ある種の達成感を覚えました。

頭も体と同じで、“自分の好き”ばかりを追っていると鈍りますよね。
こうやって、いつも使わない頭や感性を使うのも、たまにはいいなと思いました。
ジムに行って、普段使わない筋肉をあえて動かしてあげる感じですね。

そして、もうひとつ、一緒にこの本を選び、読んでいった仲間と出会えたのもよかったと思います。
前編でこの読書会の対話のことを、「梅干しとご飯」に喩えましたが、まさに対話を共有したグループの仲間には、“同じ釜の飯”を食べたような親近感を覚えました。
また、ぜひどこかでご一緒できたらいいなと思います。

2日間の読書ワークを経験して、最後に思ったのは、この読書会を企画した人はなかなかの策士だということ。
選ぶ本のタイトルを伏せたり、見出しだけをチラッと見せたり、ほどほどに抽象度の高い質問を置いてみたりと、さまざまな仕掛けによって「読書会」にゲーム性を与え、知的エンターテインメントに仕上げています。

SBD、機会があったらまた参加してみたいと思います。
次はどんな本、どんな人との出会いがあるのでしょうか。楽しみにしています。


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今回の感想記事を書いてくださった蓑田さんは、
「もう不登校で悩まない! おはなしワクチン」という書籍をご出版されています。

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蓑田さん、全2回にわたってSBDを鋭い洞察力とユーモアあふれる文体で綴ってくださり、本当にありがとうございました。

セレンディピティとは、見えない意味を探り当てつなぎ合わせる洞察力がある人だからこそ訪れるものだそうです。
まさにですね!

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