認知症の母に会いに行く

今、私は、介護施設で働いている。
そして、母は、介護施設にいる。

母の介護は、遠距離のため、ほとんど
していなかったけれど、施設にいる
利用者さんをみては、「この方は、
ちょっと母みたいだな」と思う。
「あの小ささが似てる」や
「ずっと訳わかんないことを
言って怒っているところが似てる」
とか様々だ。

ウチの施設でもここ最近、室内で
家族が面会できるようになった。
よく来てくれる家族もいれば、全く
来ない家族もいる。

会いに来ないから、親への想いがないと
いう訳ではないと思う。

変わってしまった親を受け入れるのは、
子どもにとって、辛く苦しい。

会いたいけれど、会うと辛くなる。
自分のことを忘れてしまった母に。
昔とは、別人のようになってしまった
母に会って帰ってくるといつも
悲しい気持ちになる。

しばらく、母のことを考えるのを
やめたくなる。

それでも、母に会いに行こうと思う。
あと何回、会えるかわからないのだ。

会って、辛くなってもいい。
会っておけばよかった後悔をするよりきっと。