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「高専」って結局、何かね?

地元に戻ってきた関係で、高専の先生とたくさん喋る機会があった。
基本的に帰省って休暇としての意味ももちろんあるけど、それよりも「母校がどんな具合になっているのか」をちょっと見に行きたい、話を聞きに行きたいという側面も強かったりする。いろいろ大変みたいだ。

「言われるほど素晴らしくも、いっぽうで言われるほど悪でもない」くらいが現実的な「高専」なのではないか

僕は「高専向け学習塾」というのを運営することによって、「学校教育の補助」という観点で高専という学校と対峙している。そんな中で実感するのはやっぱり現役生を直接的に通じて見える高専の内部事情だし、想像以上に泥臭くてリアルな教育事情だったりなんかする。

「高専」ってのは相当にでかい組織なわけだし、そりゃまぁハッキリ言って、その蓋を開けて中を見たときに、「綺麗に整然とした状態」になんてなっているわけがない。実際問題、高専の中で行われている「学生教育」の内情は、蓋を開けてみればぐちゃぐちゃのがんじ絡めになっているし、そこにはどこからどう見ても巨大な歪みがあるし、その割りを食うのは現場の先生と学生だったりもする。

でも、高専という学校には「一方で」さまざまな大きなメリットもあるという確信が僕らにもある(きっと現場の先生たちにもある)ので、この双方を「天秤にかけて」高専という学校を現実的な視点で見ていくべきだと思うし、僕は「天秤にかけた結果なおメリットがある」と信じているから、こういう「高専」がらみの活動を続けているわけです。

ところが、高専に対する論調は、かなり極端に二分される傾向があって、
・外部からの「正のバイアス」 (高専生はすごい!高専生は優秀!)
・内部からの「負のバイアス」 (高専はクソ!高専は闇!)
が同時に発信され続ける結果、結局高専という学校がどんなもんなのかよくわからないというふうに思われがちなのである。よりによって、最も高専の現状を伝えなきゃならない中学校や塾の先生とか、受験生、保護者さんに対して「ほぼ全く正確に伝わっていない」から逆に面白い。

しかし、僕は少なくとも信じているが、本当の高専像って絶対にこの「絶妙な間」のところに真の姿がある。
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ただ、外部からも内部からもとにかく、どっちかに偏った発信ばかりがなされる。そして結局本当の姿が何なのか、外から全然わかってもらえない。ここをなんとか「フラットな立場で」「正確に高専像を」伝えようというのが、「みんなの高専チャンネル」という取り組みだったりする。

とある記事に感じた違和感

なんでこんな話を急にしはじめたのかというと、先日、とある筋からこの記事が共有されてきたんですよね。なんの記事かというと、ちょっと前に秋葉原で行われた「高専キャリア」のイベントの「高専教育事情レポート」のまとめ記事。

ちなみにこの「高専キャリアイベント」はかなり凄かったですよ。で、僕はこのイベント自体を否定するつもりというのはなくて、なぜかというと、高専の良い面にスポットライト当てることっていうても必要だと思うのでね。「やみくもに良いほうばっかり見せる」のはそりゃ駄目だと思うけど、このイベントはそうじゃない。

だって僕このイベントに呼んでもらったとき、「高専教育の内情についてぶっちゃけトークをしてほしい」という形でオファーを頂いてね。へぇー、すごいな、キラキラした上位層の話だけじゃなくて、ちゃんとそういうところにもフォーカス当ててくれるんだ、とちょっと驚いて、そうか、じゃあぶっちゃけ話で高専教育の現状もドカンと伝えてこよう、と意気込んでいて。

で、そしたら高専の先生たちと一緒にパネルディスカッションという流れになったということで、事前打ち合わせで「ぶっちゃけ話しましょう」ってめっちゃ言ってたんですよ。ところが、ところがこの記事読むとわかると思いますが、

「あまりにも綺麗に終わってしまった」わけです。

僕実は、このイベント内で「ぶっちゃけた高専教育の内情」を必死で発言しようとしました。で、他の2名の先生もおそらくそうだったと思うんです。しかし、しかしですね。全然喋れなかった。結局、なんか気がついたら話題はキラキラした方向に移っていたし、それを軌道修正することも出来なかった。

で、記事読んでみたら、やっぱりそりゃぁもう綺麗に綺麗にまとまっていて。
最後なんて、IoTやディープラーニングで活躍する人が多いからもっと周知しなきゃって論点に結局持っていかれちゃってるもんなぁ。

なぁんか、なぁんかなぁ。

僕ねー、正直落ち込んでねぇ、これ。

自分は結構、空気を無理やりにでもひっくり返すことで会場全体を巻き込んで「高専って実際こんなところもあるからな」「いいとこばっかじゃないぞ」「悪いとこばっかでもないけどな」という、「現状トーク」をうまくできる自信があったんだけど、この時ばかりはまったく、まったく出来ませんでした。

お呼びでないよ〜。そんな話誰も聞きたくないよ〜。って、会場全体に門前払いされてしまった気分。結局「高専教員のキャリア」みたいな話でこれ終わってたけど、「高専の内情」の話をせっかく洗いざらいできるであろう我々が、会場の空気に引っ張られてキラキラ話だけして帰ってきてどーするよ。

上からも下からもスポットライト当てるイベントにしたかったから、下からスポットライトもちゃんと1回は当てとこうと思ったけど、誰もそうさせてくれなかったし、俺はそれを出来なかったし、みたいな悔しさ、未だにあるんだよなー。

とかって話を、高専の先生と喋りながら思ったのです。

まぁ、すいませんねこれ愚痴みたいな、めんどくさい話しちゃったんですけど。

こんな話を高専の先生と話しながら思ったわけです。
実際の中身なんてのは、外から見えないようになっていて、でも中で渦巻く多々の問題点は、根本的な破綻をガムテープで必死で修繕しながらなんとか回しているみたいな状況がここ何年も何年もずーっと続いていて。

ガムテープ貼るのは現場の先生だし、

そのほころびの割りを食うのは現役学生だし。

でも外からはそんなの見えなくてね。

言われるんだ。「高専生はすごい!!!優秀〜!!!」って。

僕はそこに対してなんか出来んのかな。自信が。。。自信が。。。



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