「皮膚むしり症」

■ 有村藍里「皮膚むしり症」を公表、無意識に…やめたいのにやめられない
https://news.yahoo.co.jp/articles/09d78c8381cb0d6c2f13d3fb130e713aa132e445

よく考えてみれば、この「皮膚むしり症」という言葉がネットニュースで大々的に取り上げられたことって今までにあったのかな。思わず咄嗟に記事を読み、noteを開き、この文章を書いています。

「皮膚むしり症」

この「精神障害」(Wikipediaの記載にのっとってあえてこう書きます)を知ったのは、僕もつい最近のことでした。これは、「指先や足などの皮膚の皮を無意識にめくって剥がしまくってしまう」というもので、好きでやっているわけではなく、ほぼ無意識です。時期によって症状の波はありますが、ひどいときだと手や足が血まみれになったり、皮膚をめくりすぎて手が痛くてペンが持てなかったり、足が痛くて満足に歩けないなどということもあります。しかし、そんな痛い思いをして、その後回復をしてもまた無意識に皮膚をめくってしまい、同じことが繰り返されます。

僕は実は、幼少期からこの症状の持ち主で、未だ改善はほぼ全くされていません。改善しようと試みることもありますが、無意識は止められない。僕は手の指先のタイプなので、気づけば手の指先がボロボロになっているのは日常茶飯事で、仕事に支障があるときは指先が絆創膏だらけになります。

症状が強さは、どうやら自分の場合ストレスの強さと連動しているような感じがあります。とはいっても、それだけで片付く問題でもなく、なかなかに複雑な要因が絡み合っているように思えます。

「癖」ではなく「精神障害」

この症状を僕は長年「厄介な癖」と捉えていたのですが、あるとき症状が非常に悪化し、「これはいくらなんでもおかしいのではないか」とネットで検索をしてみたら、takiさんという方のYoutubeであるCueCubeの動画にたどり着き、これが「精神障害」であることを知りました。そして、全国に同じ症状に悩む仲間がたくさんいらっしゃることを知り、気持ちが一気に楽になったのを覚えています。

周囲の声との戦い

で、この症状、周囲の声との戦いが結構しんどいのです。ひとつが「やめなさい」という声。僕も幼少時代からそうでしたし、恐らく同じ症状をお持ちの方も同じかとは思うのですが、主に親などから「なぜそんなことをするのか」「やめろ」ということをしきりに言われてきました。しかし、先にも述べたとおり、「やめよう」と思ってやめられるものなら、こっちだってやめたいのです。しかしやめられないからこそ、悩むのです。

先程の有村さんの記事のコメント欄にも「やめたほうがいい」「心療内科に行ったほうがいい」という声があって、後者はまだしも、前者の意見を見ると「やっぱりこういう声は大きいのだなぁ」と小さくため息が出ます。

もちろん、周りの人たちも、悪気を持って言っているわけではないことは重々に分かっているのですけどね。ただ、だからこそ辛い。

もうひとつの声は「指どうしたんですか?」という心配の声。友人などから声をかけられることが多いのですが、「どうしたのか」はむしろ「こっちが聞きたい」くらいの感じなんです。「気づいたらこうなっていた」と言っても伝わらないし、「自分でやりました」ともなかなか言えないし。「ちょっと料理してて怪我をしました」なんて嘘をついてその場を凌ぐことも多々ありましたが、料理してて手の指先の皮が全部の指で剥けるなんてことは普通ありませんから、なかなか苦しい言い訳なのかなと感じることもあります。

自分の手を誰かに見られるのが辛い

そして、自分の手がボロボロの状態になっているのを、人に見られることがだんだんと辛くなります。必然的に手を隠すようになったりもするのですが、それはそれで心のなかの葛藤があります。

さらに、今ってコロナ禍じゃないですか。お店に行くたびに出会うのが「手指消毒液」。あれが毎回指先にしみてめちゃくちゃ痛いということなんかも、地味に辛いことだったり。こういう「細かい辛さ」も日常生活の中にたくさん隠れています。

自分は「言ってしまう」ことで少し楽になれた。

この症状を、僕は人に隠し続けていました。「ちょっと怪我をしてしまった」「やけどをしてしまった」とその場しのぎの嘘でごまかしたり、人に見えないところに手を置き続けたり。しかし、それを続けることがストレスになり、それでまた皮膚むしりの症状が加速してしまったり、やはり良いことはありませんでした。

で、僕は「これは精神障害なのだ」と知ったとき、「もう、正直に言ってしまおう」という気持ちになったのです。それから、SNSに「自分は皮膚むしり症という症状を抱えている」という旨を書き込み、友人などにも「こういう症状にずっと悩んでいる」ということを正直に話すようになりました。

すると、意外にも周囲の人は理解をしてくれることに気が付きました。「どうせ理解などされない」「きっとまた怒られる」という刷り込みが、長年かけて蓄積していたのが原因で、そのように思い込んでいたのでしょう。しかし、意外にも現実はそうでもありませんでした。

さらに、「実は自分も」という人が思いの外周りにも多い事に気づきました。実際に僕は周囲の知人から「実は自分もその症状を持っている」「癖だと思っていた」という声を聞くことが何度もありました。

それによって僕は少し気が楽になりました。多分、今回の有村さんの公表も、そういう揺れ動きが今までに多々あった上でのことだったのかもしれないな、などと思いました。

うまく付き合おう

この症状は、結構な度合いで日常生活への支障をもたらしますし、かといってそう簡単に改善できるものではありません。ですから、自分はこの症状と「上手く付き合っていく」しかないのだな、という気持ちに切り替えることにしました。「まぁもう仕方ない」「改善しようと努力はするけど、そううまく行かなかったとしてもそういうものなんだ」「自分はストレスを測るバロメータを持っているんだ」というメンタリティにシフトをしました。

今でもこの症状が軽減されている感じはほとんどしませんが、まぁいいかという気持ちで逐一気持ちを切り替えることに専念しています。このほうが、生きるのが楽だと気づきました。これでいいのだろうな、と思っています。

今回、こういう形で「皮膚むしり症」というワードが全国に広まることになり、一人でも多くの方がこの症状を認知してくれるキッカケとなればいいのかな、と考えました。そして、この悩みを抱えている人が、少しでも「付き合う上でのヒント」に気づくことができれば良いなと思います。「仲間」って言い方はちょっと変なのかもしれないけど、意外にも同じ悩みを持っている人はいっぱいいるのですし。

雑多な文章でしたが、このへんで。ありがとうございます。

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