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転移性乳がんの治療方針において何が重要か?

What Is Important When Making Treatment Decisions in Metastatic Breast Cancer? A Qualitative Analysis of Decision-Making in Patients and Oncologists

Oncologist. 2019 Oct;24(10):1313-1321. doi: 10.1634/theoncologist.2018-0711. Epub 2019 Mar 14.

 意思決定の共有は質の高い医療を実現するための重要な要素です。患者が治療法に関連するリスクや利益について説明を受け、意思決定に個人の嗜好や価値観を取り入れるために、医師と協力して意思決定を行うことです。これは、昔の医師のパターナリズムとは違います。40%のがん患者さんが意思決定において積極的な役割を望んでいますが、ほとんどの方は望む意思決定の役割に不一致を経験しています。

転移性乳がんでは、意思決定に患者を参加させることが特に重要です。転移性乳がんは、最も多くの治療選択肢があります(2018年で45種類の薬物療法)。

意思決定のためのオタワフレームワーク(https://www.healthliteracy.jp/decisionaid/otawa/otawahow.html)は、医療上の意思決定のあめのニーズ、意思決定支援、意思決定の質が含まれます。

この研究では、転移性乳がんの治療における意思決定について、患者さん・大学のオンコロジスト・地域のオンコロジストの視点を得るために、意思決定についてインタビューを行いました。

患者さんについては1対1の半構造的な質問を用意したインタビュー。

オンコロジストはアイデアや意見交換のためにフォーカス・グループ・インタビューを選びました。

インタビューの質的データは内容分析を行い、アンケートは統計解析を行いました。

結果:20名の患者さんにインタビュー。医師は11人にフォーカス・グループ・インタビュー。

意思決定スタイル:患者さんの見方・視点は、大タスの患者は意思決定における役割分担を希望することで、意思決定の自立性を求めていた。しかし、個々の患者さんの意思決定スタイルや自律性の欲求は治療法を決定する際に重要だと考える情報源とのバランスをとるための手法は様々でした。

意思決定スタイル:オンコロジストの見方・視点は、意思決定プロセスに王手患者と役割分担をしていると回答した医師は60%でした。しかし、質的データによると、患者が意思決定において自立性を求めていることに対する石野認識にはばらつきがありました。

文脈上の視点:患者さん。患者とオンコロジストの意思決定は予後を含む文脈上の要因に大きく依存していた。患者の予後不良時の治療に対する嗜好にはかなりの違いがあった。

文脈上の視点:オンコロジスト。医師は文脈的要素の重要性についても述べています。患者の余命と全身の健康状態は、治療に耐えられるかどうかの重要な判断材料でした。ほとんどのオンコロジストは、がんが進行していて予後が悪いと感じたとき、危機感を感じていました。

個人の好みの要点:患者さん。意思決定スタイルと文脈的要因に加えて、治療の効果、治療の身体的副作用、治療の精神的副作用、治療の認知的副作用、治療の有効性、費用と経済的負担、最先端の治療オプションや利便性、個人と家族の責任、治療が日常生活に与える影響、重要なイベントへの参加、重要な目標への達成など。

オンコロジストの視点:医師はより限定的な検討を行っており、有効性、副作用、治療費を重視していた。この3つの視点は医師の69%を占めたが、患者は39%であった。医師の意思決定は、共通の目標として、患者の寿命と身体的副作用のバランスをとる責任に大きく影響されていました。

ディスカッション

今回の解析では、患者は治療方針を決定する際に、意思決定への実質的な関与と患者特有の嗜好の考慮の両方を望んでいた。

対照的に、オンコロジストは自分たちは意思決定の主な責任者であると考えることが多い。

治療の意思決定の方法や優先順位は双方で異なっており、これらの違いを埋めるツールの開発が求められる。


さとうの私見:質的研究としてのデザインはよくありませんが、着眼点は素晴らしいと思います。転移性乳がん患者さんとその治療医に焦点を当てて、治療意思決定の課題を抽出しました。同時に、患者さんと治療医はそれぞれを大切に考えていることもわかりました。

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