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偏食のこと(つづき

「偏食のこと(その前に」のまとめを前提としています。

偏食のことの続きを書こうと思ってから、書いては消してを繰り返していてました。どうしてこんなに書きにくいのだろうと考えて、普段私は一般的な偏食の話ではなくて、目の前にいるこの子と、その保護者に向けた偏食の対応を答えているからだ、と気づきました。
たとえば、「野菜を食べないので見えないように小さくして好きなものに混ぜたり、上に好きな物を乗せて隠したりして食べさせています」と保護者に言われた時に、「ああ、それはいいね」と言えるお子さんもいれば、「できればやめた方がいい」と思うお子さんもいるからです。
それぞれに理由があって、それはいいねの場合も、やめたほうがいい場合も、その理由を説明した後に、条件をつけて変更していくことや別のやり方を提案するようにしています。そういう仕事なので、個別のお子さんがいないと、説明がものすごく難しくなるのです。

食べることに直接関わる偏食対策の中で、一般的なのは食べ物に工夫することだと思います。元々ミルクだけを飲んでいた時期から離乳食に移行する時点で、まずは食べ物を薄めたり潰したりして受け入れやすい離乳食自体が食べ物の工夫であるので、工夫することそのものは当然のことだと思います。なので、食べることを始めて自分で食べることがまだ少ない時期のお子さんには、食べ物に工夫することをむしろ積極的に進めています。味だけでなく食感の違いや大きさなど細かな変化を加えることで食べられるものが増えてくれるのであれば、それがより良いと思えるからです。離乳食の時点で食べるもの、食べないものの差が激しいお子さんは、偏食が強く出る可能性が高いので、食形態をあげていくの細やかな配慮が必要だと考えていいと思います。

食べないものを好きなものに混ぜたり、小さくして入れたりするなどの工夫をすることが比較的推奨されるお子さんは、まず、一緒に遊んで共感のアイコンタクトがあり、コミュニケーションが良好なお子さんです。例えば子供が苦手な顔を拭くとか、行動を止めるとかをした際に、コミュニケーションで気持ちを収められるタイプのお子さんです。顔を拭いたら泣くけれど、大人が謝って代替案を出したら怒りながらも泣き止んで機嫌を直してくれる子、行動を止めたら、だめなんだと気づいてやめる子は、食べ物を工夫して食べさせてみるということをしてもいいと思っています。
次に、そうやって食べた時に、その違いに気づくかどうかによって変わってきます。少しでも違いに気づいて出すようであれば、その後そのやり方はお勧めしません。ご飯を出してくれる大人との信頼関係に関わるからです。
すごく極端な言い方をすると、自分を世話してくれるはずの人が毒を盛るかもしれないと思ったら、全ての食べ物を疑って食べなくなることがあるからです。

食べ物に工夫をして食べられるのであれば、偏食のメイン対応をはそれでいいと思います。
けれど、食べ物に工夫をすることを勧めないお子さん。
食べ物に工夫をしたけれど、気づいて食べないお子さん。
そういうお子さんにはどうしたらいいでしょうか。

次回はそういう話をしていこうと思います。

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