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Ⅲ Bienenの章

次の日【シュピ】は
【星の木】の上で飛んでいる
ある【かたち】に出会います。



【かたち】は
何かを撒いているようです。

 




「こんにちは。」
と【シュピ】が話しかけると



『おう。』
と【かたち】が応えます。



「ぼくは【シュピ】。
あなたはだあれ?」



『俺様か?
俺様は【ビー】だぜ。覚えときな。』



 

その【かたち】は
蜂に似ている【ビー】でした。

 




「うん、覚えとくよ。
ところで【ビー】
あなたはここで何をしているの?」

 



『俺様が何をしているかだって?』



「そう?
何か撒いているようだけど…。」
と【シュピ】が言いかけると


『アハハ!
俺様は凄いことをしてるんだぜ。
聞いて驚くなよ。
俺様は
“この木”を輝かせることが出来るんだ。』
と【ビー】は得意げに応えました。

 





【シュピ】は
何を撒いているのかが
知りたかったのですが

【ビー】が話しながら動くたびに
その羽から
キラキラしたものが落ちて
それが“星の木”に降りかかると
“星の木”がキラキラ輝きだすので

きっとそれは

“そうゆう役割のもの”

なんだろうと思いました。

 

そこで【シュピ】は
【マイゼン】に言われた
あの言葉を思い出して言いました。

 

「ねえ、それはあなたの役割なの?」



『ん?役割?
ああ、そうなのかもしれねえなぁ。
そうゆう使命があるのかもしれねえなぁ。

いやね、俺様は旅が好きでよ

こっそり“金の星”を抜け出して
水晶の星ここにたどり着いたんだけどよ。

そんときは
この辺りは真っ暗でな。


何にも見えない中
フラフラと飛んでたわけよ。

それで、うっかり
“この木”にぶつかっちまってな。


そしたらよ


なんと不思議なことに


突然“この木”がキラッキラ輝きだしてよ。




まあ
そりゃあ綺麗ったらありゃしない。


まるで星屑でも降ってきたかのようだったよ。



そしてよ,ふと見たら
すぐそこに“池”があるじゃないか。

これは、きっと“この木”が
俺様を助けてくれたんだと思ってなあ。

そりゃあ
ありがたく“その池”の水で
喉の渇きを潤して
それで何とか生き延びて
また“金の星”に戻ることが出来たってわけよ。


それからだな
俺様が“この星”に
毎日来るようになったのは。


だってよ、もし俺様が来なくなって
“この木”が輝かなくなってしまったら
嫌だろ?


きっと“この木”には
俺様が必要なんだろうからよ。』


と、【ビー】は愛おしそうに
“星の木”をさすりながら言いました。

 

 

ですが



【シュピ】はそれどころではなかったのです。



目を大きく見開いて固まったまま

 

「ねえ、ねえ、“金の星”って何?
ねえ、【ビー】は別の星からきたってこと?
ねえ、どうやって来たの?
どうやったら行けるの?」

と【ビー】に詰め寄りました。

 

『お、お前…
なんにも知らないんだなぁ。』

 

「うん…。生まれたばかりだからね。

ねえ、ねえ、もっと教えて。」

 

『そうか。
しょうがねえなぁ…。

じゃあ俺様が教えてやるよ。』

 

と【ビー】はなんだか誇らしげに


宇宙そらを指さして


あの金色に光る丸いものが
俺様の住む“金の星”で
そこから【ビー】は飛んで来たこと

そして【ビー】は
その“金の星”の王子なこと

“金の星”一面には
様々な“花”が咲いていて
その“花の蜜”が
とってもおいしいこと

“金の星”には
【ビー】のほかにも
金色の【かたち】の生き物がいること


そして
“金の星”から見上げた“この星”が
とても美しくて
どうしても行ってみたくなった

【ビー】は周りの目を盗んで
こっそり旅に出たということ

でも“この星”の周りには
小さな水晶の欠片でできた
“銀の河”というのがあって

そこを渡るのは
とても危険だと言われていたこと

でも俺様はラッキーだから
秘密のルートをみつけちゃって

そこを通って
毎日“この星”に来ていること

それはそれは、色々詳しく
【シュピ】に教えてくれました。

 

そんな【ビー】は
【シュピ】にこう言います。

 

『まっ…色々教えたが
聞いただけじゃダメだぜ。

旅は経験してなんぼだからな。

それに【シュピ】は生まれたばかりだろ?
【シュピ】は【シュピ】の旅を楽しまないとな!


おっと、そろそろ戻らないと気づかれるな。

また明日も来るからよ!
じゃあな!』

と、訳のわからないウインクをして
そそくさと去っていきました。

 

【ビー】の去ったあと
【シュピ】は“金の星”を見上げて

「うん。ぼくは、まだまだ知らないことだらけ…

でも、いつかはぼくも
【ビー】みたいに宇宙そらを飛べるようになるかも。
そしたら、ぼくも
“金の星”に行って
美味しい“花の蜜”飲んでみたいな。」
と呟きました。

 

もう辺りは、すっかり暗くなっていました。

“星の木”も【ビー】がいないせいか
なんだか寂しそうです。

「また明日あえるよ。」

と【星の木】をポンポンと叩いて
【シュピ】も“静かの森”へと
帰っていきました。

 

そして

誰に教わるでもなく描いた
【シュピノス】に
疲れた身体を預けると

どこからか心地よい風が吹いてきて
【シュピノス】を
優しく揺らしました。


その風に揺られた【シュピ】は
気持ちよさそうに
眠りにつきました。

 

 

その夜


【シュピ】は夢をみました。



“金の星”で
【マリ*マリ】
【アーマイゼンたち】
【ビー】も一緒に

“金の野原”で
美味しい“花の蜜”を飲みながら
楽しく踊っている

そんな幸せな夢でした。

なぜなら
みんなが笑顔だったからです。
 

 

そんな夢の中の【ビー】が
あなたに向かって飛んできて


こう尋ねます。


 

 

 

「あなたの夢は何?」

 

 

 

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