見出し画像

身近でとっつきにくい木 オニグルミ考

 オニグルミ。いかつくてとっつきにくい名前。でも、近所に身近に生えていて、むしろそうでもない木。

 ずっと気になっていた。春先、ざっくりとした枝分かれの先端から、やたらおおぶりな葉がぐんぐん育つこの木は何なんだろう。ふつう、他の木は枝の先っちょだけでなく、途中からも芽を出し、葉っぱを出していく。でもこの木は、あんなにすらりと伸びた枝の、ほんとうに先端からしか(!)葉を出さない。なんなんだ、と異様さを感じていた(今も感じている)。

 しかも、妙な感じで枝の先端から大ぶりなはっぱを展開した後、なが~い毛虫のような、だらりとした穂(花)を垂らす。それがまた、先端だけについた葉っぱの付け根からたくさん垂れさがるものだから、さらに異様な感じがする。

 私はずっと、この異様な木はきっと外来種だろう、と思っていた。だって、外来の植物は、なんだか周囲の風景にどこか馴染まない、独特の形状があるものが多い(と、私は感じている)。なぜか線路わきにぽこぽこ群生するビロードモウズイカや、バイパス道路沿いにやたらいるイタチハギなどの外来植物は、植物全体または花の形・色が特徴的だ。あれらは、なんだか小さい頃は見なかった気がするし、奇妙な形をしている、だから外来種だ、と安易に思っていたりする。たぶん当たっているものも多くあると思う(もちろん外れているものもあるはず)。

 だから、後から名前を調べて知ったオニグルミも、外来種だと思っていた。けど、そうじゃなかった。正直、調べが足りないから私の近所で昔からあったかは分からない。けど、Googleレンズ(写真を撮るだけでものの名前などを調べられる機能がある。すごい!)で写真を撮ってみたら、オニグルミという木で、なんと外来ではないらしい。縄文時代からあった、らしい。え、そうなの。あんなに他の木と比べて変な感じなのに。と内心不承不承な気持ちだった。でもそう書かれているからしかたない。

 ただ、そんな春先~初夏までの姿が苦手なオニグルミも、垂れ下がっていた穂がすっかり落ち、葉っぱを茂らせるともうふつうの木になってしまう。むしろ、ときどき落ちている葉っぱの整った形状や、果物みたいに枝との接続部から葉っぱの軸がきれいにポロっとはずれている様子が好きだ。さらに、そのあと、ころころした丸いみどり色の実が鈴なりについていく様もおもしろい。ちなみに最近まで、このまんまるの実の中身がくるみとはしらず、少し驚いた。

 と、ここまで書いてみたが、ただただ、私が今年、ずっと異様な木だと思っていたオニグルミについて、自分の中で小さな発見がたくさんあり、驚きがあったのでそれを言葉にしてみたかった。何てことない、こういうことについて語れる仲間がほしい、と思う日曜日の昼下がり。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?