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定年と雇用延長/昭和44年生まれのライフプラン

企業で働いている人にとって、定年というのは、ゴールのようなイメージかと思います。

しかし、現在は一昔前のように、60歳で定年退職して、そのあとは悠々自適に老後を満喫するという状況ではなくなってきています。

また、人生100年時代と言われるように、仕事をリタイアしてからもたくさんの時間があります。

今回は、定年と雇用延長の状況について書いていきます。

■定年
定年は、正社員のような期限がない雇われ方をしている従業員の雇用の上限年齢です。
法令では、「従業員の定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上とする必要があります。」(高年齢者雇用安定法第8条)となっています。

現状では、60歳を定年としている企業が大勢を占めます。
一方で、従業員数31名以上の企業で、定年年齢を65歳以上としている企業や定年そのものを廃止している企業の割合は以下の通りです。

・65歳を定年としている   :17.2%
・66歳以上を定年としている : 2.2%
・定年を廃止している    : 2.7%

(出典:令和元年「高年齢者の雇用状況」集計結果)


上記を合計すると22.1%となります。割合は少ないものの年々増加傾向にあります。

やはり、少子高齢化等の理由で働き手を確保できない状況が続いているため、高齢者にも長く働いてもらう傾向が強まっています。


■高年齢者雇用確保措置とは

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条第1項に基づき、定年を65歳未満に定めている事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)
を講じなければならない。
① 定年制の廃止
② 定年の引上げ
③ 継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等※)の導入
※ 継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。なお、平成24年度の法改正により、平成25年度以降、制度の適用者は原則として「希望者全員」となった。ただし、24年度までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた場合は、その基準を適用できる年齢を令和7年度までに段階的に引き上げているところである(経過措置)。
(出典:厚生労働省ホームページ(筆者一部改))


高年齢者雇用確保措置の実施済み企業は、従業員数31名以上の調査で99.8%となっています(出典:令和元年「高年齢者の雇用状況」集計結果。経過措置企業を含む)。

経過措置を適用している企業は、労使協定書や就業規則に以下のような記載がされています。

<期間>                   <基準の適用年齢>
平成25年4月1日から平成28年3月31日まで    61歳
平成28年4月1日から平成31年3月31日まで    62歳
平成31年4月1日から平成34年3月31日まで    63歳
平成34年4月1日から平成37年3月31日まで    64歳

この記事を投稿した日の時点では、「希望者全員63歳まで雇用する。その後会社の基準等を満たす者は65歳まで継続雇用することがある。」という記載が労使協定書や就業規則に謳われていると思います。

ちなみに、この基準の適用年齢は、男性の老齢年金(特別支給の老齢厚生年金)の受給開始年齢とリンクしています。

令和7年に4月からは、男性は65歳にならないと老齢年金を受給できなくなります。これは昭和36年4月2日生まれ以降の方が該当します。

※老齢年金の繰り上げ受や繰り下げ受給も可能です
※女性の老齢年金受給開始年齢も引き上げ中です。女性は昭和41年4月2日生まれ以降の方は65歳が老齢年金は受給開始年齢となります。


■雇用延長
高年齢者確保措置が実施されているため、例えば60歳で定年を迎えても、希望すれば65歳まで雇用が延長されます。
経過措置を実施している企業も、働き手不足のため、規則通り63歳などの年齢で雇用が終了するケースは少ないようです。結果として経過措置を実施していても65歳までは働くことが可能となっています。


■法令の改正
今のところ、民間企業の定年年齢を60歳以上から引き上げるという議論はされていないようです。
現在議論があるのは、国家公務員の定年年齢を3年に1歳ずつ引き上げるという制度です。まずこれが先行する者と思われます。

また、雇用延長について現在議論があるのは、65歳超70歳までの雇用確保です。高齢者が希望すれば70歳まで 働き続けられる制度です。
これは、現在開かれている通常国会で議論される予定です。早ければ、令和3(2021)年の4月から努力義務という形で65歳超70歳までの雇用確保が企業に求められることになる可能性があります。
内容は、定年廃止や再雇用制度など雇用機会を確保する措置を現行の65歳から70歳まで延長するのに加え、起業支援や社会貢献活動に従事する場合の資金提供なども選択肢とするようです。


■昭和44年生まれの定年・雇用延長
70歳までの雇用確保が努力義務として制度化される見込みですが、いずれは、各企業に義務付けられる可能性は大いにあると推察されます。
一方で定年年齢は、令和7年に男性の年金受給開始年齢が65歳になりますので、このあたりから議論が出始める可能性もあります(あくまで可能性です)。

昭和44年生まれは、9~10年後に60歳を迎えます。その頃に、定年年齢や雇用延長の制度が変わっている可能性は少なからずあるように思われます。

平均寿命も延伸している状況です。働き方や内容は違うかもしれませんが、60歳を超えても働き続けるということが当然になっていることでしょう。まあ、今現在でも当然になっていますが。。。



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