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実践としてのMBA/社会的手抜き(リンゲルマン効果)

こちらの記事は、実務における経験と大学院での学びが交わった内容についての記録を目的としています。


4月から大学院に通うことになりました。

早速入学式の日に4つのテキストを配布され
GW明けの講義開始前までに通読しておくようにとの指示がありました。
最も興味のあるHRM Strategyから読み始めています。
(HRM : Human Resource Management,人的資源管理)

もう一つ4月といえば新入社員、弊社でも新しいメンバーを迎い入れ現在は研修の真っ只中。
そんな新メンバーをフォローする形で
管理職や管理部門の人間が登録されたメーリングリスト(以下ML)が用意されています。全関係者が登録されているので数十人という規模です。

新メンバーの面々は日々の研修の報告書を添付したメールを、毎日ML宛に送信しているという運用です。
MLに登録されたメンバーは、それぞれある程度の役割が決まってはいますが、研修の中で発生する定型的なミッションに対する割り振り、という程度です。

当然の事ながら、フレッシュな新メンバーの彼/彼女らは、それぞれスタートラインが異なれば歩む速度も異なりますので
定型的なミッションの役割という範囲ではカバーしきれない事象が発生します。

つまり担当者未定の課題が発生するわけですが、ML内にあれだけ沢山の管理職をはじめとする関係者が登録されているにも関わらず、想定外のタスク発生時に誰かが能動的に動いているようには見えないのです。

これで良いのか?と思って個人的に何度かアクションを起こしてみたものの、後に続く様子は見られませんでした。
これはテキストに記載されている下記事象との関連があるのではないかと思い、記録する事としました。

社会的手抜き(リンゲルマン効果)
リンゲルマンは、(中略)集団作業時の個人レベルでのパフォーマンスが、独力で取り組むときよりも下がる傾向があることを見いだした。さらにその傾向は、集団の規模が大きくなるほど顕著になることが明らかになった。

『SBCP HRM Strategy』産業能率大学 , 2018 , p.122


そして、当テキストでは次のように続きます。

社会的手抜きの抑制
社会的手抜きが起こらようにするマネジメントには、集団におけるメンバーそれぞれの役割の明確化や、目標・課業の設定が必要である。

『SBCP HRM Strategy』産業能率大学 , 2018 , p.125

上記のことを踏まえて今回の事例を改めて眺めてみます。
「集団におけるメンバーそれぞれの役割」の設定はされていました。

しかし、役割の細分化や明確化が不足していたように感じます。
設定した役割に該当しない事象が早々に起こった際に、関係者の大多数が「私はその事象の担当ではない」という立場に陥ったのではないか、そんな仮説が立てられます。
なお、今回は仮説の検証にまでは踏み込みません。

「役割の細分化や明確化が不足していた」と記載しましたが、現場にいる人間の感覚では、起こりうる全ての事を予め想定しておき、担当を割り振っておくというのは不可能な話です。
ではどうしたら良いかというと、想定外は発生するものとして、それを拾い上げる運用責任者という役割が必要なわけです。

振り返って、この新人研修の責任者って誰なのだろう?と考えてみると
どうやら問題の本質はそこにあるように感じました。


メモ

計画のグレシャムの法則とは、日々のルーティン(定型的)作業が優先され、重要な将来を考える仕事が後回しにされやすい状況を意味している。(中略)垂直分業の大きなメリットは、上述した「計画のグレシャムの法則」を回避できる点にある。

『SBCP HRM Strategy』産業能率大学 , 2018 , p.243-244

当記事は大学院での講義と実務をリンクさせ、自分の中での気付きを見つける事を目的としています。
あくまでも記事作成時の考えであり考慮不足や偏った視点もあり得ますので、必要に応じて適宜修正を予定します。

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