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イノベーションってなんなのさ! / 『ストラテジー&イノベーション』第7,8章の要約

大学院で作成したレポートをnoteに記録していきます。
守秘義務に関わる内容があった場合は該当箇所を書き換えて掲載する事があります。

テキスト『ストラテジー&イノベーション』第6章の要約。
A4用紙1枚程度、記述形式は自由、ファイル形式はword。
(2023/6/24 提出)

第7章 戦略とイノベーション

イノベーションとは

シュムペーターによるイノベーションの定義は以下の通りである。
「イノベーションとは、その体系の均衡点を動かすものであって、しかも新しい均衡点は古い均衡点からの微分的な歩みによっては到達し得ないようなものである。」
当テキストにおいてはイノベーションの定義を次のように表現している。
「イノベーションとは、部分システム間の不均衡を新たな技術の開発によって逐次に解消していく階層的な過程である。」
工学的な技術に焦点を当てた場合を狭義のイノベーションとし、一方で企業活動のさまざまな領域において発生する不連続な変化は広義のイノベーションとしている。

イノベーションは組織内から生まれにくい

企業活動の様々なシーンに関連するのであれば、戦略にもイノベーションが必要となる。しかし戦略のイノベーションとは、戦略と環境との適合関係が不均衡であったと認識するところから始まり、それは外部からの視点であることが多い。つまり、戦略のイノベーションとは従来継続した企業内組織からは生まれにくい。
事例から学ぶべき点としては戦略のイノベーションはトップの交代から始まるということである。

イノベーションのジレンマ

日々の製品開発にもイノベーションは必要であるが、それは技術者の創意工夫によるだけでなく、組織のマネジメントも重要な要素となる。
イノベーションとは従来の技術の延長線上に発生するものではない、しかし後発技術が現れた時点では既存顧客のニーズを満たせるものではないため、従来技術を進歩させる事に努力する圧力がかかる
結果として現状の製品の改良のみに資源を集中し過ぎることになるジレンマが起こる。すなわち、イノベーションのジレンマとはマーケティングのジレンマとも言える。

ベンチャービジネスについて

既存企業がイノベーションを起こしづらい一方で、イノベーションはベンチャー企業の特徴とも言える。
ベンチャーの定義は定まっていないが、革新性・成長性・起業家活動といったキーワードがポイントとなる。
ベンチャー企業が生き残るためには事業アイデアに相当するビジネスモデルが必要となる。当テキストではビジネスモデルとはすなわち収益モデルとビジネスシステムであるとしており、収益をあげるための仕掛けと製品やサービスを顧客に届けるための仕組みに新規性が必要であり、その優位性の維持が重要であるとしている。

ソーシャルビジネスについて

東日本大震災以降はNPOをはじめとするソーシャルビジネスの活動が注目されるようになってきた。純粋な営利活動のみでなく社会貢献も目的としており、その度合によってNGOやNPO、中間法人などに分類される。
しかしソーシャルビジネスは営利活動に重きを置かないためにビジネス的な手法が不足しており、そこに携わる人々の収入や活動の継続性に問題を抱えている事が多い。

第8章 組織のイノベーション

長期適合とイノベーション

前章にて既存組織はイノベーションが起こりづらく、イノベーションを実現するためには経営者の交代が必要であると述べられていた。
組織内では日々の生活行動を一定のルーティンの組み合わせによって構成し、それを束ねてレパートリーとする。このレパートリーの範囲内での環境適合が短期適合であり、レパートリーそのものを変化させることを通じて環境適合することを長期適合という。
人間が思考の節約のためにルーティンやレパートリーを利用するように、組織にも変化を望まずに現状維持しようとする「慣性」が働く。
長期適合のためのイノベーションを起こすには「慣性」を打破しなければならないが決定的な手法があるわけではない。組織の変革者としての役割が経営者に求められるが、長年経営に携わっていた人が自組織に変革が必要になった理由を自覚することは実はほとんど不可能なのである。
なぜならば当該経営者が自律的であるならば漸進的な改善行動をしていたはずだからである。

組織の学習

当テキストの最後では、組織は個人の場合と同様に学習するものであると述べられており、「個人学習とは試行錯誤によって新しい知識や認知枠組みを獲得することである。」という定義が紹介されている。それに対して組織学習とは、組織内の分業によって構成員が獲得した知識が有機的連関をもつプロセス、あるいは構成員がもつ認知枠組みが共有されるプロセスであるとしている。
この認知枠組みに近い表現としてパラダイムという言葉があり、時を経てこの言葉は「特定集団のもつ共通の信念や価値観」の意味として使用されるようになった。そして組織はそれぞれ固有のパラダイムを持っており、長期適合のためには失敗から学びパラダイムを変革し学習していく事が必要なのであるとして、暗黙知と形式知をスパイラルしながら組織が学習していくモデルとしてSECIモデルが紹介されている。


今回の学習内容に関連した質問事項

当テキストではイノベーションを起こすためには長年経営に携わっていた人ではなく経営者の交代が必要とあるとし、その理由として「当該経営者が自律的であるならば漸進的な改善行動をしていたはずだから」としています。
しかしイノベーションとは従来技術の改善ではなく、微分的な歩みによっては到達し得ないものであるはずで、漸進的な改善行動との関連性がピンと来ませんでした。
現実世界に目を向けてみると、ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さん、オリックスの宮内さん、国外ではイーロン・マスクやジョブズのように同一企業内で繰り返し何度もイノベーションを起こす創造的イノベーターもいます。
肌感覚としては、経営者の交代が必要というよりは、経営者の特性のように感じるのですがいかがでしょうか。

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