犬を飼うにも

人生において何かを達成したいとか、何者かになりたいとか、他人に勝ちたいとか、あまりそういうことを思ったことがない。

ただ一つだけ、最期の日に「人生最高に面白かった!!!!」って心底思えたら私の人生は大成功だ。他人に評価してもらう必要もないし、何かの条件を満たす必要もない。結婚や出産も必須ではないし、無職になったって何だって、唯一の審査員である私自身が自分の生き方を肯定できるならトータルでは問題ない。

今のところ私の人生は超面白い。
過去に思い描いていた未来は今ここにはほとんどなく、予想もしなかったような素敵な出会いと出来事もたくさんあって、先のことなんて本当に分からないものだと思う。叶うことも叶わないことも、その全てを楽しんで味わって生きたい。

今の自分が望むことや思うことは、言葉にして書いておけば、未来できっと答え合わせができる。それを楽しみに、なるべく文章を残していこうと思う。

最近は自分の家を持つことと犬と暮らすことに憧れがある。

私は音楽を聴くことも楽器を演奏することも好きだけれど、賃貸暮らしでは大きな音を出すことができない。小型防音室を購入する手はあるかもしれないが、間に合わせで住んでいる賃貸ワンルームに無理に適応するよりも、長く住めて自由度が高い自分の城を築くことのほうが魅力的に思われる。

防音室のあるお家がほしい。
シアタールームにワインセラー、ガレージ。
本を買っても買っても埋まらない本棚。

そして叶うことなら、ポメラニアンと暮らしたい。

一体全体いくらお金があれば夢が叶うものやら、現実問題はこれから考えることにして、憧れを並べるのは楽しいものだ。

ところで家はお金さえ工面すればどうにかゲットできるかもしれないが、ペットとの暮らしはどうだろうか。

一人暮らしでペットを飼うのにはいくらかのハードルがある。飼い主不在の留守番は日常茶飯事で、ペットにはさみしい思いをさせるだろう。外泊はしづらい。働きながらの生活で、急な体調不良に気づいてやれるだろうか。自分が怪我でもしたら散歩に連れて行ってやれない。いや、何なら自分が先に死んでしまったら…?

人間ひとりの暮らしは、動物の命を責任持って預かるには何かとリスキーである。飼えないということもないと思うが、ペットにとって幸せな暮らしを約束してあげられるだろうか。

知人で犬や猫を飼っている人は大抵、夫婦や家族がいる。大人が二人以上いればリスクヘッジにもなるし、家族みんなでペットのお世話の負荷を分散することもできる。

つまりペットと暮らし、飼い主の責任を果たし、ペットをきちんと幸せにするには、自分以外の人間が必要になるのではないか。

共同飼い主を募ることを考えてみる。ペットを共同で飼うなら基本的には同居している必要があるだろう。私と同居していただける共同飼い主を募集すればよいだろうか。
共にペットを飼い育てるなら一定の責任感を持ち、話し合いができる必要があるし、そのために同居するとなれば人間同士もお互いの生活態度についてもある程度の理解と許容ができる相手を見つけなければならない。ペットを飼うための同居人なのに、ペットよりも家を散らかし、生活を乱すような人間と暮らす羽目になったらどうしよう。私も大概いい加減だから、相手に厳しく叱られたらどうしよう。金銭感覚や生活リズムがまるで合わなかったら…

…つまりより良くペットと暮らすために同居人を探すとなると、子どもを持つために配偶者を求めるのとほとんど変わらない。ポメラニアンと暮らしたいだけなのに!
家を買ってから相手を探すのか、相手を探してから家を考えるのか、いやもう考えるのも億劫である。明日にでもそのへんでうっかりばったり素敵な共同飼い主候補に出会わないものだろうか。
それとも飼い主に代わってペットと遊び、餌をやり、不調が分かれば飼い主に連絡をくれるようなAI搭載ペットシッターロボットが登場すれば万事解決するかしら。

…なーんて、夢みたいな阿呆みたいなことばかり今日も考えている。
10年後、20年後の私が聞いて呆れるだろうか。
もしかして全部叶っちゃったりするのだろうか。
未来の私よ、きっといつか答え合わせをしてね。

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