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パワフルおばあちゃん【タリーズ編】


私は強烈キャラの人と出会う確率が高い。私は強烈キャラの人と出会う確率が高い。

その一人がおばあちゃんだ。

ここで紹介するおばあちゃんは、母方の祖母である。

このおばあちゃん、御年86歳、
数々の逸話を残している。
今日はおばあちゃんとタリーズに行った時のことを紹介する。

まだ結婚する前、実家にいた時、
家の近くに商業施設ができた。
その一角にタリーズが併設された。

その商業施設ができてすぐの頃、
おばあちゃんが、
私と妹二人と一緒に、みんなでタリーズに、ゆっくりお茶でもしに行きたい。と言っていた。

予想外のところからの、カフェの誘いに戸惑いながらも、
私たちはおばあちゃんと一緒にタリーズに行くことにした。

念のため、おばあちゃんに
「おばあちゃん、タリーズ知ってるの?」と聞くと
「新しくできたところだろ?
おばあちゃん、新しいもの好きだからなんでも知ってるんだよ」
という、自信みなぎる返答があった。

「おばあちゃんでもタリーズって知ってるんだ」と、私はどこか心の中で、タカを括っていた。

いざ、家を出て、みんなで
タリーズまで向かおうとすると、
「あんたたち自転車遅いからおばあちゃん先行って待ってるね」と
言って、一人出発していた。

おばあちゃんのチャリの速度は半端なく速い。
昔から速い。

確実に、今からカフェでゆっくりしに行く人のスピードではない。笑

それも絶対に、自転車に乗る時、年配の方特有の
片足かけて乗るスタイルで、乗り始める。
おばちゃんはこの乗り方を、「お姉さん乗り」と言っているけど、私は絶対違うんだろうなと昔から思っていた。(以下画像参照)

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※画像お借りしました。

私たちもタリーズに着くと、
おばあちゃんは、すでに到着していて、
私たちのことを待っていた。

「それじゃあ、行こうか」と、
なぜか神妙な表情で言っていた。

え?カフェだよね?
これからゆっくりお茶しに行くんだよね?
なんかタリーズを別の何かと勘違いしてないよね?と思うほどの表情だった。

すると次の瞬間、おばあちゃんが驚きの行動に出る。

まず、いらっしゃいませ〜と言った店員さんに、
「はい、これお願いね」と
自分の背負っていたリュックを預けようとしていたのだ。

店員さんは、目が点になり、プチパニックになっている。
当のおばあちゃんは「ここいい?あとお水もお願いね〜」と勝手に席に着いている。

完全に、注文取りに来てくれるスタイルと勘違いしている。

私たちは未だプチパニックになっている店員さんから 「すみません!」と荷物を預かり、おばあちゃんの元に向かった。

私たちは、おばあちゃんに
「タリーズってあそこで最初に注文するんだよ。
あと荷物も預けるタイプじゃないから」と言った。

おばあちゃんは「え?そうなの?いつもスガさんたちと行く珈琲館は注文取りに来てくれるけど」
と言っていた。

珈琲館ね。伝統あるタイプのカフェだよね。
ホットケーキ美味しいところね。

おばあちゃんの中で、カフェ=珈琲館っていう
風になっちゃってるんだね。確かに年配の方のお客さんも多いしね。

百歩譲って、注文の仕方がわからなかったのはわかった。
でも荷物は預けないよね?ホテルのフロントじゃないんだから。と思っていた。

そんなこと思っていると、
おばあちゃんが、
「おばあちゃんよくわかんないから、あんた達買ってきて。お金あげるから。おばあちゃんホットコーヒー。お釣りはいらないから全部使ってきて」と言ってきた。

出た!
おばあちゃんの
「お釣りはいらないから全部使ってきて」方式!

この言葉が出てきたら、もらった分だけ使い切らなければいけないということを意味する。

よく聞くのは「余ったお釣りはお小遣いとしてあげるよ」とかだと思う。

そうじゃない。

あくまでおばあちゃんの場合は、使い切らなければいけない。残ってもくれない。

そのままお釣りを返そうもんなら、
「なんで使わなかったの?この分使いなって言ったのに」と怒られる。

感覚おかしいよね?笑

この時、おばあちゃんが渡してきたのは五千円。

妹たちと相談して、
これをどう使い切ろうか話し合う。
タリーズで五千円札って多くないか?

別にそんなお腹すいてなかったけど
コーヒーやらケーキやらお菓子やら買って、
なんとか五千円を使い切った。

なんなら事情を察した店員さんから、
こんなのもありますよ?とか見たことない商品を提案されたりもした。

おばあちゃんは、注文したコーヒーを飲むと、
「このコーヒー、珈琲館のより美味いね」
と言っていた。

ようやくタリーズの様式に慣れてきたかと
思った矢先、また店員さんに

「今日の新聞どこに置いてる?」
と聞いていた。

やっぱり珈琲館スタイルを引きずっている!
カフェの基準が完全に珈琲館になっている!

店員さんに、
新聞は置いていないです、と言われると、
ちょっとがっかりした様子で席に戻り、
「新聞置いてないみたいだから、もう帰るわ」
と言って、残ったコーヒーを、まるでジョッキビールを飲むように飲み干して、
「あんたちはゆっくりしてきていいから」
と言って帰って行った。

そんなに新聞読みたいか?
ゆっくりしに行きたいって言ってたのは、どうしちゃったんだよ。笑

妹たちと「おばあちゃんはやっぱり珈琲館が良いのかもね」なんて話しながらゆっくりしていた。

後日、土曜の午後、
私が家でくつろいでいたら、
家電が鳴った。

おばあちゃんからだった。

今、週3で参加してるグランドゴルフの
仲間と次の試合に向けて、話し合ってるんだけど、おばあちゃんのノートを忘れたから持ってきてほしいと、言われた。

場所を聞くと、なんと、
この前行ったタリーズ!!!笑

え!?珈琲館じゃないの?
この前、早々に帰ったよね?

というか、次の試合ってなんだよ。笑
試合に向けての話し合いって、
中学生の部活かよ。笑
とか思いながら、タリーズに向かった。

タリーズに着くと、
おばあちゃんと同じ年代の人が
大人数集まって、なんか資料を見ながら、
ワイワイ話し合っていた。
何気におじいちゃんもいた。笑

おばあちゃんにノートを渡して
「おばあちゃん、いつも珈琲館じゃなかったっけ?今日はタリーズなの?」と聞くと、
「もう珈琲館は飽きたから、今度はこっちにしたんだよねー」と仲間と顔を見合わせて、あっさり言っていた。

え、え、え。
あんな珈琲館リスペクトしてたのに?
全てのカフェを珈琲館基準にしてたのに?
いくら新しいもの好きでも、こりゃ非情だよと思った。

おばあちゃんは続けて
「またこっちが飽きたら、珈琲館行くよ」と
言ってのけた。

え、こわ!
恐るべしおばあちゃん。

でも、カフェ側はこういう太客がいたら、ありがたいんだろうな。とも思う。

ちなみに、カフェでの、作戦会議の結果、違う町内会との試合にも勝ったらしく、優勝カップが家にあった。

しばらくしたら、優勝カップの中に、なぜか、よくわからない植物の種みたいなのが入っていたけど。笑

そんな、おばあちゃん。

今は、別の商業施設の中に
カフェドクリエができたらしく、
タリーズを早々に捨て、
今度はカフェドクリエに通い詰めているらしい。


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