「狂言×歌舞伎 オンライン公演」が出来るまで①

今回のタイトルを書いたとき、「縁を起こすとはこういうものなんだろうね」という弘太郎の言葉を思い出しました。
この話をする前に、弘太郎が発信しているメディアのひとつであるArtistspoken(https://artistspoken.com/lp/)について触れたいと思います。

2020年4月〜6月の話です。
なかなか劇場公演再開の見通しが立たないなか、何かしら発信をしていくことで得られるものもあるだろうと、まずはInstagramの開設を私は弘太郎に勧めてみました。
歌舞伎界でもちらほらと発信している方がいらっしゃったこともあり、とりあえず始めたという状況でした。
この時の弘太郎は娘さんの家庭教師状態で、ほとんどの時間を自宅で過ごしており、それまでの人生では経験の無いものだったと思います。
あれだけ全国各地に飛び回っていて毎日やることに追われていた人でしょうから、生活スタイルの激変ぶりにストレスも凄いものがあったのではと思い返しています。
ご飯や金髪にした写真の投稿をしていたので、なんとか発信をしようと頑張っていたのだと思います。

そんな中で7月になってから、私の広告会社時代の後輩である井上さんから社内ベンチャー制度でArtistspokenというサービスを立ち上げるので古典芸能分野で発信してくれる方を是非紹介して欲しいとの依頼がありました。
そこで弘太郎へ尋ねてみたところ、「面白い!是非やってみたい!」となりサービス立ち上げの初期メンバーとして発信をすることが決まりました。
ちなみにこの時期も弘太郎は「生きるために生きる」というスタンスで自宅でじっとしていました。
やりとりしていたLINEを振り返ってみたところ、まだ「zoomする」という言葉は定着しておらず「ビデオミーティング」と呼んでいました。
この頃からちらほらと映像作品として何か挑戦してみようかという話は挙がっていました。
BARIKIの山本に相談し始めたのもこの時期でした。

Artistspokenがサービスを開始したのが2020年9月で、この頃になると弘太郎の生活も徐々に動いていたと記憶しています。
8月に歌舞伎座が開いて出演は無かったものの仕事はあり、9月からArtistspokenでの対談や映像作品プロジェクトをやるならどのようにやるかという打合せをzoomで行っていましたので、鬱々とした気持ちも少しは紛れていたのではないかと思います。

話を冒頭に戻します。
「縁起とは縁を起こすこと。」
これはArtistspokenで、おてらおやつクラブの福井良應さんと弘太郎が対談した際に伺った言葉だと記憶しています。
すでにある縁や新たに持つことができた縁、それらを繋げて自分の意思で物事を起こすことが「縁起」であり、当たり前だと感じていたことを見つめ直す機会にもなると改めて感じました。
弘太郎にとって舞台に立つことは日常であり、市川猿翁一門にあって脈々と受け継がれてきたことを体得しながら、いつものメンバーと劇場公演を作る日々が「すでにある縁」だとすると、
コロナ禍により「すでにある縁」が一時的とはいえ途絶えた一方で、一人の時間やArtistspokenでの対談などを通じて「新たな縁」を得られたことは弘太郎にとっては大きかったように思います。
尚且つ自身の決断により行動を起こすということが、「すでにある縁」をより強いものにするということに気づいたからこそ出てきた言葉であり、「狂言×歌舞伎 オンライン公演」を実施するに至ったのだと思い返しております。

次回は、
・何故狂言との合同作品になったのか
・どのようなスケジュールで準備や制作を行ったのか
をお話ししたいと思います。

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