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イベントレポート:八事読書会3月開催 課題本『吃音 伝えられないもどかしさ』 近藤 雄充 著2024.3.9 @ Book Café Co-Necco

2024年3月9日(土)、名古屋市昭和区八事駅付近にあるBook Café Co-Neccoにて八事読書会を開催しました。今回はこちらの読書会の様子をレポートしたいと思います。


【お店の雰囲気】 


会場のBook Cafe Co-Neccoは名古屋市昭和区八事に2014年に店主のrasukaruさんがオープンしたブックカフェです。
Rasukaruさんはアスペルガーの息子さんをなくした経験があり、息子の様な方々が悩みを相談し合える場所を創りたいと考え、Book Cafe Co-Neccoをオープンしたそうです。
そういった事情もあり、東海地区では最大。
国内でも有数の精神/発達障害者が集まるコミュニティーになっています。
実際、名古屋市はもちろん近隣の自治体や三河地区、他県、関東や関西から来られる方もいらっしゃいます。

コネッコの特徴は初めての来店でもスタッフの方がエスコートしてくださることです。
どういった事情で来店したかをスタッフが訪ね、それに応じて相談相手になりそうなスタッフの方や常連客を紹介してくれます。
常連の方も慣れており、親身になって悩みに載ってくださいます。
そして、そのまま即席お悩み相談会が出来上がるといった事情です。

普段は自身の障害を隠している方も、周りはほとんど障害者ということもあり、自然に自身の悩みを打ち明けられるそのような雰囲気が最初から出来上がっています。

また、コネッコでは障害者同士が悩みを話し合うイベントや障害年金の勉強会、季節のイベント、読書会など毎週様々なイベントが開催されていることも魅力です。
イベントを通してコネッコのファンになる方も多いそうです。


Book Cafe Co-Necco

【イベントの雰囲気】


参加者は主催者の私をむくめ7名。
内、吃音を持たれている方が3名。
全員、男性メンバーでした(キャンセルを入れた3名のうち2名は女性)

なお、参加者の内2名はこの本にも描かれている当事者の方でした。
7名の内、読書会に参加したことがない方が4名。
残りの3名の内、2名は1,2回ほどの参加経験。
ほとんどの参加者の方が読書会ほぼ初参加です。
そのためか、みなさん最初はかなり緊張した様子で会はスタートしました。

ただ、自己紹介で行われたアイスブレークを機に雰囲気は穏やかになり、話が弾み始めました。
また、吃音者が3名ということもあり、普段以上にお互いの意見をしっかりと聞こうとする雰囲気が生まれ、お互いに傾聴する姿勢が強く促されたように思えます。

自己紹介とアイスブレークが終わり、それぞれの気になる点を最初に発表し合います。
その結果、最初の話すテーマが設定されました。
その後は、とどまることもなく会話が続いていきました。
設定したテーマ以外にもほかの参加者の関心点なども適宜踏まえつつ、参加者がお互いよりそれぞれの話のテーマを深められるように配慮して話をしてくださっていた印象です。
これは普段から相談しあう環境ができているこねっこの常連客が多い中でのイベントだったからこその特徴だと感じました。

最後の感想でも満足された方が多い印象です。
それぞれの参加者の方々もしっかり自分なりに会の内容を総括されていました。
会全体で和やかでありつつも、内容の濃い会となりました。

【トーク内容】


話し合った内容は主に以下の点になりました。

①    自殺するほどの苦しみを受ける吃音―北海道の事件の事例をもとに悩みを共有できる場所の必要性を考える
②    答えがない吃音対応―コミュニケーションの不安をいかに緩和させるか
③   言友会の実態と変化―様々なサードプレイスが生まれる昨今の事情
④   やっと認知し始めた吃音、問題への具体的な対策はこれから


①自殺するほどの苦しみを受ける吃音―北海道の事件の事例をもとに悩みを共有できる場所の必要性を考える


このテーマはこの本で実際に挙げられている吃音を持った北海道の看護師の方が自殺した事件についての話です。
実際、参加者の一人がこの方と知り合いだったこともあり、当時の様子を実際に聞くことができました。

この話の中では、吃音という問題以上に仕事の悩みを相談できる環境があるかどうかが大きな課題になってくるという意見が出ました。
実際、昨今ではサードプレイスの重要性は頻繁に叫ばれており、都市部ではそういった様々な場所はできつつあります。
しかし、地方ではそもそも人口が少なくそういったサードプレイスも限られてしまうといった問題も挙げられていました。

② 答えがない吃音対応―コミュニケーションの不安をいかに緩和させるか


また、かりにそのようなサードプレイスがあったとしても吃音を持つことでコミュニケーション自体に関する不安が生じてしまうことも問題としてあがりました。
実際、吃音を持っている方にしても症状はそれぞれでどういう対応をとってほしいかも、ばらばらだということもコミュニケーションの複雑さを助長しているようです。
さらに、吃音を持たない方にとってもどう対応していいかわからず、コミュニケーションを遠慮してしまうといった事情がある要です。
自身が吃音者であることを提示するカードや具体的な配慮事項を明示するカードを渡すなどいくつかの施策はとられているようですが、まだまだ試行錯誤の段階なようです。

③ 言友会の実態と変化―様々なサードプレイスが生まれる昨今の事情


サードプレイスの例として、書籍にも取り上げられている言友会の話にもなりました。
ちょうど参加者の一人が長年言友会で活動されているそうで、吃音を持たない方にはイメージが浮かびづらい言友会の活動を聞ける貴重な機会となりました。
一言に、言友会といっても支局によってかなり差があるそうで、私自身の持っている吃音克服のトレーニングをしているといった印象は言友会の活動の一部でしかないようでした。実際には、吃音者同士のサークル的な意味合いが多く講演会やBBQなど様々な活動を行っているようです。

しかし、言友会も高齢化が進んでおりそれ以外の吃音者団体が昨今ではたくさん生まれているようです。
また、そういった団体以外にも「注文に時間のかかるカフェ」などイベントのような形で吃音に対する認知と理解を広げる試みが広がっていることも意見として出てきました。

④ やっと認知し始めた吃音、問題への具体的な対策はこれから


総括としては、吃音問題はまだ個別の問題に対応する以前の認知が少なく、やっと認知される土台が出来上がってきたという印象を吃音を持っている方は感じているようでした。

この会と記事が少しでも吃音の認知について貢献できればと思います。

【イベントの内容まとめ】

●吃音にかかわらず悩みを共有できるサードプレイスが重要
●コミュニケーションや障害に関する不安を明示しやすい社会と仕組みの構築が必要
●現状、まだまだサードプレイスの在り方やコミュニケーションもあり方について変化と試行錯誤の時代


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