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わたしのヒーロー、黒柳徹子

子どもの頃のヒーローってみんなは誰だったんだろう?
やっぱりウルトラマンとかセーラームーンとかそういうあたりだろうか。
消防士の人とか職業的なのもありそうだな。

じゃあ、そんなことを書いているわたしはどうだったかというと、
人生最初のヒーローは、その頃欠かさず見ていた「世界ふしぎ発見!」という番組で毎週坂東さんと競っていた黒柳徹子さんだった。
本当に博識で、玉ねぎ頭からは飴をだすこともあるという、パンダ好きのおばあさんがめちゃくちゃかっこよかったのだ。
何かの番組で、芸人の人が「黒柳さんって黒船の頃からいるらしいっすよ」みたいな冗談のような発言が好きで、そういう不老不死っぽい噂があるのも、わたし的好きポイントが高かった。

好きになってから、彼女が日本で最初ののTV女優のうちのひとりだったこととか(その頃がめちゃくちゃ美人だったことも)、ユニセフの親善大使をやっているところなんかを知ってそういうところも大好き。

そんな徹子さんファンだったわたしに、祖母と母が薦めてくれたのが「窓ぎわのトットちゃん」だった。確かに変わった人だとは思っていたけれど、子どもの頃からこんなに面白い人だったのかと衝撃を受けたのを思いつつ、どちらかというと大人になってからの女優の話や疎開先での出来事なんかの方を長く記憶していたように思う。

そんなわたしが、今回アニメーションになった「窓ぎわのトットちゃん」を先日鑑賞してきた。最初の感想は教育論として見てしまうなぁというものだったのだけれど、後々(というか今日)おまけの夜さんというYouTubeを見て、言葉にできていなかった、実は拾っていた部分を丁寧に言語化していらっしゃるところを見て、涙でボロボロになってしまい、負けじと今文章を書いている。


おまけの夜さんもサムネに書いているように、「特別な他者との出会い」を丁寧に描いている点が素晴らしく、そして80年近く前に徹子さんが実際に体験したことであり、泰明ちゃんが実際にこの世にいたことが、わたしにはひどく愛おしかった。そしておまけの夜さんも自分の体験談を重ねて語れるように、この物語を通して、自分の話ができる・したくなるところが本当に良い物語であることを示しているように感じる。

それに実写ではなくアニメーションであることも、徹子さんの自由さとあっていたのかなぁと今考えると思う。彼女が考える世界というのは今回の映画のように色鮮やかで、すぐに境界を越えて未知なる世界に飛び込み、やりたいことをやりたいようにやる。だからこそ、これがもし実写だったら、徹子さんほど自由ではないわたし(たち)には、つい現実に引き戻されてひいてしまったりしたのかもしれない(汲み取りの話とかプールの話とかで)。

今回この文章を書くために、映画の舞台挨拶や黒柳さんのYouTubeチャンネル、初耳学の動画も見てみた。

https://youtu.be/75Lf42ZRcuE?si=rTZajQIcgu6FCsqN


劇中とYouTubeでの語りをあわせて「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ」という言葉を小林先生からもらえたことが、どれだけ黒柳さんを祝福したのか心から震えるほどである。人からもらった言葉は祝福にも呪いにもなる。この言葉がどれだけ祝福になるか。

わたしもこれからどんどん年老いて、言葉をもらうことが多い立場から、言葉を与える立場になっていくことを考えると少なくともわたしが伝えた言葉が呪いにならないような努力はすべきだと思う。
もちろん間違えるときはあるだろうけど、人の柔らかな心を傷つけない精神を育んでいきたいし、それを育むためには、映画の冒頭にもあった小林先生の「世に恐るべきものは「目あれども美を知らず、耳あれども楽を聴かず、心あれども真を解さず、感激せざれば燃えもせず」の類である」という言葉もヒントになるのかもしれない。


おとなになるにつれて、摩擦なく人と過ごすことの難しさに直面し、そこから戦争なんかも起きてしまうことを理解してしまうことがある。けれど「窓ぎわのトットちゃん」はそれは本当にそうかしら、と引き留めてくれる作品のように感じる。

わたしのヒーローは黒柳徹子。
忙しい(実際はそう思い込んでいたのかもしれないけど)日々にすっかりそのことを忘れていたけれど、幼いころから今まで、こうなりたいと思う憧れの人だ。

物知りで、パワフルで、おしゃれで、平和を求めていて。
そうありたいと思っていた原点だったことを映画を見て思い出せたことが本当に僥倖だったと思う。今度は忘れない。



※徹子さんの動画としては、絶対みてもらいたいので、最後にこれだけ貼らせてもらおう。

https://youtu.be/UyKLhwluneo?si=z0lhvjErmKa6FkMM


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