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海の子ども、山の子ども

 先日、高円寺やら荻窪やらあの辺りに住んでいる友人が、神奈川の方へ引っ越したいと言っていた。海が恋しいと。

それを聞いて一生わからない感覚かもなと思って、今noteを書いている。

海が恋しいってなんだろう。
海のそばで散歩したり、日常的に波の音やウミネコの声が聞こえたりすることだろうか。乾いた風とか海に足を浸す感覚、或いは毎年海水浴に行くとか。

全て想像なのだけど、なんだか想像の中の彼女がいきいきしている気がして良いな、と思うと同時に、高円寺やら荻窪辺りに住んでいる彼女のイメージも好きだったのでほんのちょっと寂しく感じた。

私は生まれこそ違うけれど、長らく海までは遠い、山々の麓で暮らしてきた。快晴が多い地域だったけど、山脈の間なので空も狭く、日が暮れるのが早い。
普段は気づかなかったけれど、高所なので日も強いし、湿度も低くてお盆を超えると夜は冷えてくる。
山の中へ特別遊びに行くこともなかったけれど、黒い湿ったむき出しの土とか、剪定された真っ直ぐな杉とか、木の上葉っぱが重ならない感じとか足下の木の根とか、恋しいとは思わなかったけれどしっかりと想像出来る。

彼女は海の子ども、私は山の子ども、なのかもしれない。

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