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お引越し最終日。母が旧住まいの清掃を手伝ってくれた。父は新居で家電の搬入の立会いとガス水道電気の開通の手続きをしてくれていて、多分俺と顔を合わせないようにの配慮だった。俺が前回父を一目見て体調を崩したせいだろう。俺がだめにしてからの父は俺の前でなんだかすごく遠慮がちな、というか罪悪感ヅラのような加害者意識のような覇気の無い顔をしていて俺に対して必要最低限しか喋りかけないけれどぎこちなく優しい。昼頃に新居に運び込みそびれた荷物を新居に運びに行ってインターホンを押すと父が出た。覚悟を決めていればそれほど恐ろしいわけでもなく、不意打ちで会うのがしんどいだけらしい。俺が荷物を解く間父が無言で部屋を出て行ったのが申し訳なかった。荷物を解き終えて新居を出ると階段横の壁の隅に父が立っていて、俺が喋りかけると当たり障りの無い返答があった。父は俺が去ったのを確認するとまた部屋に戻って行った。俺は父が怖いけれどそれ以前から父が好きなことや感謝してることや親愛を抱いていることをどう伝えればいいのか産まれた頃からある申し訳なさをどうすればいいのか遺書には少なくともちゃんと書いておかなきゃなと思いながら涙腺がジリジリしながら帰宅して寮母さんに出くわして俺は寮母さんが苦手なので精神を沈ませ頓服を2錠飲む。最後にスーツケース3つ分の荷物を運ぶのを全部父が請け負ってくれたので父の居ないまま俺と母だけが近くの店に入り、俺は申し訳なさで泣きながら昼食を食べ、というか今日記を書きながらボロボロ泣いているのだがほんとうに俺は父が好きなのであんな申し訳なさそうな顔をさせているのが申し訳なくて俺の情緒とは関係の無い場所で笑ったり機嫌よく喋りかけて来て自信げに経済の話や世界情勢の話を楽しそうにする父であって欲しいと思っていて、俺のせいで父のそういった姿は失われたのがすごく悲しくてただただしんどくて顔を合わせる度に怒られてた頃よりも二度と怒らなくなってからの方がずっとしんどいので1年前に一人暮らしを初めてそういったものを見なくて済むようになって安心して以来ずっと現実逃避をしている。帰宅して、母も寮母さんに出くわしたらしいが俺が寮母さん苦手なのがわかると言っていた。今日の寮母さんはどうもイライラしている。2000円のトースターをイオンで買った。新居は荷物で埋まっていて家具買わんとなあと思いながら崩れるように毛布に包まって眠った。毛布の向こうで父がエアコンの電池をわざわざ買ってきてくれたのを聴いてありがとうを言った。
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