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ラピッド・スピード・ストーリーズ

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ハイテンポな痛快娯楽パルプ小説集。派手なアクションが多め。メインコンテンツ。
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2018年8月の記事一覧

ファントムの電脳空間ツアー

 ふんふーん、ふんふーん……ん? おい、お前。一体全体こんなところで何やってるんだ? ……おい、なんとか言ったらどうだ……ああ、ここの〈黒い氷〉に囚われてるのか。どんくさい奴だ。おおかた、カネに目がくらんだマヌケか、腕自慢のアホか、何も知らないガキか、その全部ってところか? ……ちっ、仕方ねえなあ。  ふんふん、たいしたこたぁねえな。〈黒い氷〉の中でも最底辺クラスのしろものだ。ふん、こんなもんに引っかかるたぁ、お前さん、相当なマヌケでアホだな。ちょっと待ってろ……カチ、カチ

おれの店にて

「だから、行かねえつってんだろ」おれは言った。  おれは、バーカウンターの上にクラスマンの端末機器を滑らせた。端末は2回スピンして停止した。端末機器から、おれ達の前に立体映像が浮かび上がる。それは、緑色のグリッドで形成された、いびつな長方体だった。それはシダラマ・ダンジョンの小型モデルだった。 「なんでだよ。これは落ちてる金を拾うようなもんだぞ」クラスマンが言った。  おれはクラスマンの目を見た。奴の目は、ゴーグルのように横に細長い、サイバネアイになっている。立体映像を