見出し画像

神経の癒着を考えるための3つのポイント

こんにちは。

Furyo(Furyo74178058)です。

今回は、前回の「末梢神経障害、我々は何を考えるべきか」

からの続きで、

末梢神経の癒着についてお話したいと思います。

末梢神経障害というと膨大な知識と量になってしまうため、

今回も「絞扼性神経障害」にフォーカスをしてお話させていただきます。

note概要
文字数:8500文字
スライド:16枚
引用論文:15

みなさんは、神経が癒着していると聞くとどの様なイメージが浮かびますか?

スクリーンショット 2021-02-15 5.53.14


感覚低下や筋力低下もあると思いますが、

今回は神経の癒着と疼痛に関してお話していきます。


まず今回の話を結論からいうと

「神経の癒着≠痛み」です

ユチャク ノットイコール イタミ

と覚えてください。

(ちょこちょこ出てきます。その都度こう読んで頂くと、頭に残りやすいかと思います。)


少なくとも、私はそう思っています。


「癒着することで、筋肉や神経が動きが悪くなるのだから、痛いでしょ。」


「私は癒着した症例を見てきた、みんな痛みを出していた。」


そう思われるかもしれないです。

決してそれは間違っていないと思います。

しかし、皆さんは神経が癒着をすると、

なぜ痛みが生じるか、

きちんと説明ができるでしょうか?

どこに痛みが生じるか説明ができるでしょうか?




今回は、今「ドキッ」と思った方々に、

神経が癒着をするとどうなるのか

少し理解していただる内容になっていると思います。

これを読み終わった後には、「癒着」に関する考えが変わると思っています。


癒着の共通認識

進むにあたり、このnoteにおける癒着の共通認識を皆さんに持っていただきたいです。

このnoteでは

「癒着には程度がある」

という認識のもとで言葉を使わせていただきます。

そもそも「癒着」という言葉には、その程度(強度)に関して含まれていません。

それなのに、多くの医師またはセラピストがイメージする癒着は、

"強固な線維性構造"

"鉗子などで剥離する強度のもの"

という印象が強いと思います。

これは腹腔内の手術などをご存知の方は、「そりゃそうだろう。」と思われるかもしれません。



当然、それも癒着であると認識しています。

しかし、いきなり組織間が強固に接着されるでしょうか?

そこには段階があると私は思います。


その段階を、接着剤に例えてみます。

夏休みの工作で木工用ボンドを使用した際、

ボンドが乾く前に剥がしてしまった経験はありませんか?

あの”状態”が、強固に接着される前の段階に近いと思います。

まだ癒着(接着)していない状態、癒着不全と言っても意味としては間違っていないかもしれません。

このnoteではあの様な状態を

”癒着の程度が軽い”

と表現させていただきます。

スクリーンショット 2021-02-26 11.40.29(2)


ちなみに、この癒着の程度に関しては、

Yukio Abe et al. An experimental model of peripheral nerve adhesion in rabbits :Br J Plast Surg. 2005 Jun;58(4):533-40. doi: 10.1016/j.bjps.2004.05.012

白石吉彦.他編:The 整形内科.南江堂,2016

木村裕明.他編:解剖・動作・エコーで導くFasciaリリースの基本と臨床 筋膜リリースからFasciaリリースへ (Fasciaの評価と治療).文講堂.2017

これらにも報告されています。

スクリーンショット 2021-02-26 11.44.44(2)

今回も参考にさせていただいているため、一度目を通していただけると、より理解が深まると思います。

ちなみに、

腹腔内、産婦人科の手術をされている先生方の中にも

癒着スコアを使用されている先生もいらっしゃいます。

スクリーンショット 2021-02-15 15.20.09


このnoteは

これらの論文と、他いくつかの論文の知見を参考にしています。

そこに私の臨床の経験を少し踏まえて「神経の癒着とは」をお話させて頂きます。

深い話ですが、ここまで深く神経の癒着を説明しているnoteはおそらくないと思います。


それでは

より、神経の癒着の"深み"へと一緒に進んでいきましょう。



神経の癒着を考えるための3つのポイント

ここから先は

6,872字 / 13画像

¥ 250

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?